我が家には一度もツバメが巣を作ったことがない。
子供の頃、親戚の家には毎年ツバメが来るのに、なぜ我が家には来ないのか不思議に思ったので、尋ねてみたことがあった。すると、母だったか、親戚の叔母だったかが、「
巳年生まれの家族がいる家には、ツバメは巣を作らんのよ」と言っていた。
なぜツバメは人間家族の干支を知っているのか不思議だとは思ったが、子供心にはなんとなく納得したような気がする。我が家の父は、巳年
生まれなのである。
というわけで、父を恨むわけにもいかず、子供心に毎年ツバメが巣を作る家が羨ましかった。でもそのうち、気まぐれなツバメか、前年の家の場所を忘れたツバメが、我が家の軒先に迷い込んでくるかもしれないと、かすかな希望を持っていたが、とうとうそれが現実となることはなかった。
以前は数軒以上あったこの集落の親戚も、近しい親戚はもう1軒しかない。その親戚の家に、
最近ツバメがやってきている。タイミングを見計らって、写真を撮らせてもらった。
≪2羽います。わかりますか?≫
つがいであろう2羽が一緒に帰ってきて、飛び立つ時も一緒だ。そうして、1羽は巣の近くで見張っているかのようで、もう1羽は巣の中に入り、口にくわえたわらのようなものを巣にくっつけている。そうして少しすると、その1羽は巣の中にしゃがみこんでしばらくもぞもぞしている。もしかして卵を産んでいるのだろうか?それとも生んだ卵を温めているのだろうか? ツバメは1年に2度卵を産むらしい。
聞けば、この親戚の家に来るツバメは、
2年ぶりに帰ってきたという。なぜ、昨年ツバメが来なかったかについては、従兄弟が話してくれた。悲しい・むごい事件があったようだ。
このての話が苦手な方は、どうかこの先は読まないで下さい。かわいそうなので、私も一部伏せ字で書くことにします。
従兄弟の話は、以下の通りである。
ある日、伯母さんがふとツバメの巣を見てみると、○○が壁を這って○の中に頭を突っ込んでいたそうで、こりゃ大変とばかりに、棒で○○を叩き落し、やっつけたのだそうだ。すると、○に○○○の○○を○○えており、それをなんとか助け出し、従兄弟がその○○を○に返してあげたとのこと。しかし、その後親鳥が帰ってきてから、その○○は親鳥に○から落とされてしまったそうだ。従兄弟の話によると、身体に○○が付いていたのだろうか、だから親鳥は落としたのではなかろうか、と言っていた。それ以来、ツバメは来なくなっていたとのことで、今年2年ぶりにやってきたそうだ。
それにしても、今回やってきているツバメは、2年前に生まれたツバメなのだろうか? なぜ、親戚の家に巣が残っていることを知っているのだろう? なぜツバメは、一度巣を作った家が判るのだろうか?
なんとも不思議で、渡り鳥の超能力はすごい。