何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

佐竹寺-(2) (常陸太田)

2022年04月26日 | 寺社巡り-茨城

【茨城・常陸太田市】戦国時代の天文十二年(1543)、兵火により全山を焼失するが、同十五年(1546)に佐竹氏18代佐竹義昭が居城である佐竹城(太田城)の裏鬼門除けとして現在地に再建した。 安土桃山時代の天正十八年(1590)には六支院と3ヶ坊を要する大寺として隆盛を極めたが、関ヶ原の合戦で反徳川方となった佐竹氏は江戸初期の慶長七年(1602)に出羽に移封されたため、佐竹寺も次第に衰退した。
江戸時代には水戸藩から寺領の寄進など庇護され、坂東三十三観音霊場22番札所だったことと、江戸中期に選定された領内(水戸藩)三十三観音霊場第11番札所だったことなどから広く信仰を集めた。 明治維新の神仏判然令により吹き荒れた廃仏毀釈運動により荒廃し、昭和二十四年(1949)まで無住寺だったが再興された。

●どこまでが「撮影禁止」なのかを確かめたかったが、早朝の訪問だったせいか仁王門傍に建つ寺務所兼納経所はまだ開いていなかった。 開放的な境内なので「10メートル以上離れた所からの撮影なら許されるだろう」と勝手に決めて、拝観しながら撮影を行った。 本堂の周りに板柵が巡らされているが、「撮影禁止」の標識とあいまって、人が近づくのを拒んでいるように思えたのは考え過ぎか。
約480年前の室町時代に建立された「観音堂」と呼ばれる桃山建築様式の本堂は、苔生した小棟造りの茅葺屋根で古色蒼然たる佇まいだ。 しかし、特に屋根の傷みがかなり進んでいて、中央が波打つように歪み、軒先の線が乱れ、隅降棟の茅の一部が剥がれている。 身舎四方に杮葺の裳腰を設けて吹き放しの板縁とし、正面の裳腰に一間の唐破風の向拝があり、しみじみとした味わいを感じさせる。

△銀杏の巨木から散り落ちた黄色い葉の絨毯から眺めた本堂(観音堂という)

△境内のほぼ中央に枝を広げて聳え立つ銀杏の古木....周囲に散り落ちた黄色い葉が鮮やかな絨毯のようだ

△寄棟造茅葺で杮葺の裳腰を設けた本堂(重文)....室町時代の天文十五年(1546)、佐竹義昭による再建

△豪壮な構えだが荘厳な佇まいの本堂(観音堂).....桃山時代建築物の先駆といえる遺構を残している

△苔生した屋根は傷みが進んでいるようで、中央が波打つように歪んで軒先の線が乱れ、右側の隅降棟の上部の茅が一部剥がれている

△桁行五間梁間五間で、身舎四方に杮葺の裳腰を設けて吹き放しの板縁、正面の裳腰中央に一間の杮葺唐破風の向拝

●本堂に近づいて驚いた。 正面の至る所に貼られた千社札だ。 最初は何かの模様か意匠かなと思ったが、よく見ると、身舎の壁、柱、貫、窓そして向拝天井、虹梁など所狭しと張られているのだ。 また、趣のある桟唐戸に「撮影禁止」の標識が張られているが、どちらも趣のある古建築の風情を大きく損ねていて残念だった。 いままで多くの国宝や国指定重要文化財の建造物を拝観してきたが、多くは堂内の撮影禁止はあっても外観はOKなので、本堂の「撮影禁止」には失望した。 確か、鎌倉の某寺では本堂どころか境内さえ撮影禁止だったと記憶してはいるが....。
帰宅後、ネットで「佐竹寺」について調べたら、理由は分からないが2018年~2019年の間に「撮影禁止」となったようだ。 茅葺屋根の本堂は今年(令和四年)改修が行われるそうだが、萎びた風情を色濃く残す改修前の本堂の姿が見られてラッキーだった。

△境内参道から望遠で撮影した裳腰に設けられた裳腰の唐破風....身舎正面の中央間三間は桟唐戸、両側に花頭窓....中央の桟唐戸は連子と格子入り、その両脇は連子入り(所狭しと千社札が貼られている)

△軒廻りは一軒疎垂木、組物は出組で中備は台輪の上に蓑束....四方の杮葺裳腰は吹き放しの造り

△境内の紅葉が本堂の荘厳さを引き立てている

.△放生地越しに眺めた苔生した茅葺小棟屋根の本堂

△本堂は傷みが激しいため、今年(令和四年)に改修が行われるようだ

△仁王門の傍に建つ切妻造桟瓦葺の寺務所兼納経所....帰路に就く間際に人影が見えた

△社務所の左側の源氏塀(と思う)の奥に建つ切妻造桟瓦葺の庫裡

△庫裡前から眺めた源氏塀、寺務所(納経所)そして仁王門

△門前の駐車場から眺めた庫裡....切妻造銅板葺で起り屋根の棟門を設けた源氏塀に囲まれている
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