何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

龍禅寺-(1) (取手)

2023年11月25日 | 寺社巡り-茨城

【茨城・取手市】創建年は明確でないが、平安時代の延長二年(924)に(伝)誉大阿闍梨が三仏堂を道場として開いたのが始まりと伝える。 承平七年(937)に龍禅寺で武運長久の祈願を行った武将平将門が、仁王門や鐘楼を寄進し堂宇を建て直したと伝える。 なお、取手市教育委員会の資料には天慶二年(939)の創建とある。
将門の死後に荒廃したが、鎌倉時代の建久三年(1192)に源頼朝が武将千葉常胤(千葉氏第3代当主でのち御家人)に命じて中興した。 江戸時代に入ると幕府から庇護され、慶安二年(1649)、第三代将軍徳川家光から寺領19石3斗の朱印地を賜る。
宗旨は天台宗、本尊は阿弥陀如来像で脇侍は十一面観音と地蔵菩薩。 龍禅寺は新四国相馬霊場八十八カ所第79番札所、三仏堂は新四国相馬霊場八十八カ所第47番札所。

■関東鉄道常総線稲戸井駅から住宅地を進んで龍禅寺に向かう。 入り口に「天台宗」・「龍禅寺」と記された門柱が建ち、墓所に沿って参道が山門まで延びている。 袖塀を備えた簡素な銅板葺きの山門をくぐると、正面に客殿、右手に庫裡、左手の少し奥に本堂が南面で建つ。
本堂前に保存樹木の「キンモクセイ」と「モチノキ」の老木があり、特に枝を大きく広げた「キンモクセイ」は巨木で、日本一である可能性があるようだ。 山内に花の香り漂わせる季節に再訪したいものだ。

△「天台宗」「龍禅寺」と刻まれた門柱が立つ入り口から眺めた境内

△門前に立つ平成二十六年(2014)造立の大きな「龍禅寺参道」の石碑

△切妻造銅板葺で袖塀を備えた山門....建立年不明

△山門は組物などがない簡素な四脚門....親柱間に扉がない/銅板葺屋根は少し上向きに反った起りのようだが、破風は下向き反った照り屋根

△境内に聳える保存樹木の「キンモクセイ」と「モチノキ」の奥に建つ本堂....巨木の「キンモクセイ」は6分岐で幹回り5m72cm、主幹2m3cm

△2本の保存樹木の間から眺めた本堂

△「モチノキ」越しに眺めた本堂は南面で建つ

■本堂は小棟の寄棟造りで、小棟から向拝にかけてゆるやかな曲線を描いた流れるようなフォルムだ。 正面脇間と側面は殆ど引き違い戸のカラス戸で、唯一、両脇間一間が花頭風の窓になっていて仏堂を感じさせるが、ガラス窓なので少々味気ない。
本堂前に墓所を背にして、地蔵菩薩像と札所碑を従えた小さな大師堂がある。 向拝柱に「第七十九番」の札が掛かっているのでここが新四国相馬霊場八十八カ所79番の札所なのだろう。

△寄棟造銅板葺の本堂....建立年不詳、本尊阿弥陀如来像と脇侍の十一面観音像と地蔵菩薩像を祀る

△正面五間で、中央間は上部に連子入り格狭間を配した両折両開きの桟唐戸....内側の腰高ガラス戸にも格狭間を入れている

△脇間三間の二間は腰高ガラス戸の引き戸、一間は花頭風の窓....頭貫の上は漆喰塗の小壁

△軒廻りは一軒疎垂木、組物は柱上に舟肘木

△向拝は二軒繁垂木、水引虹梁に雲と波のような文様を入れた板蟇股

△水引虹梁に獅子と象の木鼻

△正面の大棟から向拝にかけての屋根のフォルムが美しい....側面八間の内の六間は漆喰塗の小壁と格子を入れたガラス戸の引き戸....周囲に切目縁を巡らす

△本堂前に建つ大師堂七十九番と鎮座する数体の地蔵石仏

△墓所を背にし参詣者を迎えるように鎮座する六地蔵尊像....円光を背負い、赤い前垂れをしている

△大師堂七十九番と霊場石柱そして地蔵尊像が並ぶ

△右手に錫杖、左手に宝珠を持つ地蔵尊石仏/兜巾型石柱の刻字は「新四國第七....」と読めるので、新四国相馬霊場八十八カ所79番碑とみられる

△入母屋造鋼板葺で妻入の簡素な大師堂....妻飾は豕首/虹梁や木鼻や裏甲などに木製の千社札が釘付けされている

△寄棟造桟瓦藁の客殿

△切妻造桟瓦葺で裳腰を設けた庫裡

△左奥に寄棟造桟瓦葺きの建物が連なる








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