何気ない風景とひとり言

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寛永寺-(1) (東京)

2022年06月02日 | 寺社巡り-東京

【東京・台東区】江戸初期の寛永二年(1625)、徳川第三代将軍家光を開基とし、徳川家康、秀忠、家光の三代にわたる将軍の帰依を受けた天台宗の僧・天海大僧正(慈眼大師)によって創建された。 寛永寺は、徳川幕府の安泰と万民の平安を祈願するため、江戸城の鬼門の方角を守護する寺院として上野の台地に建立された。
創建当初は将軍家の祈祷寺(祈願寺)だったが、第四代将軍家綱(厳有院)の霊廟が造営されてからは菩提寺を兼ねるようになった。 山号の「東叡山」は、天台宗の宗祖伝教大師最澄上人が京都御所の鬼門の方角である比叡山に開いた延暦寺(延暦七年(788)創建)にならって、「東の比叡山」という意味で称された。 また寺号の「寛永寺」も、延暦寺と同様に創建時の元号を用いることを勅許され命名された。 宗旨は天台宗(別格大本山/関東総本山)で、本尊は伝教大師最澄が自ら彫ったと伝える薬師瑠璃光如来像。

●JR鶯谷駅南口から、山手線に沿って西側に広がる寛永寺霊園の前の道路を進んで寛永寺に向かう。 5本の筋が入った筋塀で囲まれた霊園の前に、道路に面して格式の高さを感じさせる荘厳な厳有院殿霊廟勅額門が建つ。 朱塗りの勅額門には多くの三つ葉葵紋が配され、また唐破風の軒と梁の間を全て金色の装飾で埋められている。 また、頭貫の禅宗様木鼻の他に、門柱の上部内側に金色の獅子の掛鼻が施されていて、まさに威厳を誇っているようだ。

△筋瓶に囲まれた寛永寺第一霊園の前に、道路に面して建つ厳有院殿霊廟勅額門....門前敷地内に左右各2基の石燈籠が佇む....御霊廟は太平洋戦争の際に殆んど焼失

△切妻造本瓦風銅瓦葺の厳有院殿霊廟勅額門(重文)....徳川第四代将軍家綱御霊廟(焼失)跡前に建つ....厳有院は家綱の諡号

△唐破風の兎毛通は蕪懸魚、軒と梁の間は全て金色の装飾で埋められている....頭貫に禅宗様の木鼻、門柱の内側に金色の獅子の掛鼻

△門扉は両折両開の桟唐戸で、上部に金色の三つ葉葵紋を入れた菱狭間を配す

△台輪上中央に乗る脚間に金色の三つ葉葵紋を配した本蟇股,唐破風と切妻破風の破風に多くの銅製三つ葉葵紋を配している/拝に二重懸魚、妻飾は虹梁蟇股....三つ葉葵紋を配した破風飾金具

△軒廻は二軒繁垂木、前後軒唐破風付で形式は四脚門....両側に菱格子を入れた本瓦風銅瓦葺の脇塀

●更に道を進むと大きな三つ葉葵紋を付けた金属製の門扉があり、閉じられた門扉を通して徳川第五代将軍綱吉霊廟の敷地の奥に建つ常憲院殿霊廟勅額門と二棟の御堂が見える。 突き当りの右手に光明閣があり、その近くで手入れ作業をしていた方の許可を得て霊廟敷地内に入り、まずは常憲院殿霊廟勅額門に。 先ほどの厳有院殿霊廟勅額門とほぼ同じ造りだが、各部に配された三つ葉葵紋の紋数が多く、また脇塀が大きいなどやや豪華に見える。
勅額門の左の少し奥に太鼓橋風の屋根付き渡廊下で繋がれた2棟の御堂が建つ。 徳川御三家の六人の将軍の位牌を安置する入母屋造りの拝殿と、御三卿の位牌を安置する宝形造りの拝殿で、いずれも戦後に再建された簡素な造りの御堂だが、風格を漂わせている。

△三つ葉葵の門を配した門扉を通して眺めた霊廟の敷地内

△軒先に梵鐘を吊るした現代風建築の光明閣

△広大な徳川第五代将軍綱吉霊廟の敷地内の奥に柵に囲まれて勅額門と2棟の位牌堂が建ち並ぶ....霊廟内は通常非公開で特別拝観日のみに柵内に入れるようだ

△常憲院殿霊廟勅額門(重文)....宝永六年(1709)の建立....常憲院は綱吉の諡号

△切妻造本瓦風銅瓦葺の勅額門....厳有院殿霊廟勅額門とほぼ同じ造り.....菱格子を入れた本瓦風銅瓦葺の脇塀は大きく二間ある

△形式は四脚門で前後軒に唐破風付き

△厳有院殿霊廟勅額門より三つ葉葵紋を多く配し、梁全体に金色の花彫刻で飾られるなど少し豪華な造り/三つ葉葵紋を入れた破風飾金具

△常憲院殿霊廟勅額門の左奥に建つ徳川家の位牌所....六人の将軍(4代家綱、5代綱吉、8代吉宗、10代家治、11代家斉、13代家定)の位牌を安置

△太鼓橋風の屋根付き廊下で繋がれた位牌所は、左が徳川御三家の拝殿、右は御三卿の拝殿....現位牌所は昭和三十八年(1963)の再建

△露盤宝珠を乗せた宝形造桟瓦葺の御三卿の拝殿....御三卿は徳川将軍家の一族で田安、一橋、清水の三家をさす

△正面三間で、中央間は引き戸で格子窓を設けた桟唐戸、両脇間に花頭窓、正面と側面に切目縁

△側面六間で、手前一間に格子窓を配した桟唐戸(引戸)、四間と五間目に花頭窓

△入母屋造桟瓦葺で妻入の徳川御三家の拝殿....御三家は尾州家、紀州家、水戸家

△正面三間側面四間で、正面中央間と両脇間はいずれも引き戸で格子窓を設けた桟唐戸....脇間に格子欄間、側面は一間の引き戸の桟唐戸、二間の連子窓

△大棟端に烏衾を乗せた鬼板、拝は切懸魚の変形(と思う)、妻飾は狐格子....水引虹梁の中央に脚間に三つ葉葵紋を配した本蟇股

△両拝殿を繋ぐ太鼓橋風の屋根付き渡廊下    徳川御三家の拝殿前に佇む石燈籠
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