何気ない風景とひとり言

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日本民家園-(4) (川崎)

2017年05月13日 | 史跡探訪-日本編

【神奈川・川崎市】昭和三十年代、古民家の重要性を認識した国(文化財保護委員会)が幾つかの県の古民家調査を行った。 さらに、昭和四十一年~五十二年にかけて文化庁による古民家調査が行われ、その後、古民家が重要文化財に指定されるようになった。
神奈川県の民家で最初に重要文化財に指定されたのは川崎市金程の伊藤家住宅。 県内最古の部類に属し保存状態が良いこの住宅は、横浜の三渓園に移築される予定だったものだが、川崎に「広く東日本全体の古民家を移築する野外博物館を建設し、伊藤家住宅をその第一号とする」ことが認められたもので、これが日本民家園の始まり。

『旧北村家住宅』から更に赤いツツジが咲き誇る坂を下っていくと『旧清宮家住宅』(農家)がある。 土間と広間が格子窓で仕切られた珍しい造りだ。 ここでも囲炉裏に火を入れての床上公開が行われていて、「お上がり下さい」と声を掛けられたので少し休ませて頂いた。 この建物の棟は草花を植える「芝棟」になっていて、何輪かの紫の菖蒲が咲いていた。
『旧清宮家住宅』から園内道に出て『旧伊藤家住宅』に向かうと、直ぐの道脇に江戸時代造立の青面金剛庚申塔3基と2基の馬頭観音の石仏、そして石橋供養塔が佇んでいる。
緩い坂を上ると農家(名主の家)の『旧伊藤家住宅』に着く。 建物の入口の上の柱に魚の尻尾が取り付けられている。 魔除けのためとのことだが、漁家ならわかる気がするが何故農家にと思った。
土間近くに板の間を張り出して設けられた「すわり流し」があり、前の窓が無双窓になっている。
敷地の隅に苔むした屋根の木小屋があり、薪や堆肥用の落ち葉を貯めておく簡素な建物だ。
『旧伊藤家住宅』の近くに養蚕の神様「蚕影山大権現」を祀る蚕影山祠堂が建つが、茅葺の覆堂の芝棟に紫の菖蒲が咲き誇っていて癒された。
蚕影山祠堂の西側の高台に農家(名主の家)の『旧岩澤家住宅』が建つ。 建物全体を撮影できないほど狭い敷地に建ち、右側の土間の軒下に補強が施されている。 また、土間側の妻面と側面の壁に先の『旧山田家住宅』と同じような竹が張られている。

■旧清宮家住宅(県重文)-農家■ 寄棟造茅葺..17世紀後期建築..旧所在地は神奈川県川崎市
  
土間(手前)と広間の間に設けられた格子窓/棟は「芝棟」と呼ばれ、草花を植えている/旧清宮家住宅の傍にある旧小泉家外便所..切妻造板竹葺

旧清宮家住宅前の園内道脇に佇む青面金剛庚申塔(右2基)と馬頭観音(左2基)
 
2基の馬頭観音..左は文字塔で明治十七年(1884)、右は文政十二年(1829)の造立/2基の青面金剛庚申塔..左は享和二年(1802)、右は元禄十五年(1702)の造立
 
享和二年(1802)造立の文字庚申塔(道標)と天保二年(1831)造立の石橋供養塔(右)/嘉永二年(1849)造立の石橋

■旧伊藤家住宅(国重文)-農家(名主の家)■ 寄棟造茅葺..17世紀末期~18世紀初期建築..旧所在地は神奈川県川崎市
  
板の間を張り出した「すわり流し」と傍に水瓶..窓は「無双窓」/無双窓の下から飛び出した排水口/入口上の柱に取り付けた魔除けの魚の尻尾

妻面..合掌部に窓があるようだ..日本民家園誕生の契機となった川崎の古民家

■棟持柱の木小屋(市重歴)-農家付属建物■ 切妻造杉皮葺(一面下屋付)..大正十三年(1923)建築..旧所在地は川崎市
 
旧伊藤家住宅の敷地脇に建つ..身舎に連なるように庇を設け、薪や堆肥用の落ち葉を貯めておく小屋

■蚕影山祠堂(市重歴)■ 覆堂は正面入母屋造、背面寄棟造..文久三年(1863)建築..旧所在地は川崎市
 
養蚕の神様「蚕影山大権現」を祀る宮殿..一間社春日造風こけら葺で正面に向唐破風造/覆堂の正面..虹梁上に蟇股、屋根の棟は「芝棟」
 
覆堂前の手洗石..元治二年(1865)造立..川崎市の東光院境内にあったもの/覆堂の芝棟に咲き誇る菖蒲

■旧岩澤家住宅(県重文)-農家(名主の家)■ 入母屋造茅葺..17世紀末期建築..旧所在地は神奈川県愛甲郡
 
左側は正面を半間後退させて下屋を吹き放しにした座敷/格子窓は居間の窓で、入口は土間..軒下が補強されている
  
土間に置かれた四角い箱は茶を作る道具の「ホイロ」/板床居間に囲炉裏..奥の右が寝室、左が座敷/右手の妻面の壁に竹が張られているのは雪囲いか?
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