何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

法性寺-(1) (逗子)

2022年05月01日 | 寺社巡り-神奈川

【神奈川・逗子市】鎌倉時代の元亨元年(1321)、日蓮宗の開祖・日蓮聖人の弟子・朗慶上人によって創建された。 鎌倉葉ヶ谷に草庵を構えて布教活動を行っていた日蓮聖人は、鎌倉時代文応元年(1260)に「立正安国論」を鎌倉幕府五代執権北条時頼に献じたことがきっかけで浄土教信者らの暴徒により草庵が襲撃され焼打に遭った(松葉ヶ谷法難)。
暴徒に襲われる前、日蓮聖人の前に3匹の白猿が現れ、此の地の岩窟(祖師堂横)に隠れて難を逃れたと伝わる。 宗旨は日蓮宗で、本尊は一塔両尊(題目塔・釈迦多宝如来)。

●門前の道沿いに「日蓮大聖人焼打御避難ノ霊跡」と刻まれた石柱が立つ。 参道の入り口に高麗門形式の山門が建ち、掲げられた「猿畠山」の扁額を護る姿のようにあしらわれた2匹の白猿が参詣者を迎えてくれる。
山門をくぐって暫く参道を進むと、植栽に隠れるように建つ堂宇に着く。 白い門柱から本堂境内に入ると、民家風の雰囲気が漂う佇まいの建物が建つ。 建物は幾つかの堂宇を一塊にしたような造りで、日蓮聖人ゆかりの寺院にしては寂しい気持ちに。 門柱の正面の入母屋破風の玄関が本堂の向拝と思うが、水引虹梁の上に配された精緻な彫刻の2頭の龍がまるで生きているようで目を奪われた。 向拝柱の木鼻の耳の大きな獅子と持送の猿の彫刻も素晴らしい。

△参道入り口の道沿いに立つ「日蓮大聖人焼打御避難ノ霊跡」と刻まれた大正十年(1921)造立の標石/参道に建つ簡素な山門....門前の寺号標石に七字の題目が彫られている

△山門左右に瓦屋根を乗せた袖塀....右側の袖塀には直角方向に切妻造桟瓦葺の板張りの塀を設けている

△切妻造桟瓦葺の山門....控え柱上に切妻屋根を乗せた高麗門形式

△「猿畠山」の扁額が掲げられ、額の両側に日蓮を導いた白猿があしらわれている

△入母屋造桟瓦葺の建物は本堂と庫裡(と思う)の一体構造....繋がった左隣の建物にかけて長い庇が設けられ、明かり障子窓が設けられているようだ

△小さな「法性寺」の表札がある門柱の間から眺めた本堂側

△本堂向拝に入母屋破風の玄関、奥の庫裡に唐破風の玄関....向拝右側のみに天水桶が置かれている

△庫裡の玄関の唐破風は獅子口を乗せ、拝に兎毛通しはなく、妻飾は素式で大瓶束を配す/本堂向拝の玄関の入母屋破風は獅子口を乗せ、拝の懸魚に鳳凰の陽刻を配し、妻飾は豕扠首(と思う)

△向拝の扉は中央がガラス張り引戸、左右には格子を入れた桟唐戸風の戸....引き戸の上に「日朗菩薩墳墓霊場」の扁額が掲げられ、向拝右側の白壁に花頭窓がある

△彫刻が彫られた水引虹梁の上に精緻な2頭の龍の彫刻....木鼻(大きな耳の獅子)と持送(猿?)の彫刻も見事....天井は格天井

●本堂境内右脇の急坂の参道を進んで奥之院に向かう。 鬱蒼と繁る樹林の中に続く参道を上りつめると、彩色され子猿を抱いた白猿の石像が迎えてくれる。 そこから石階を上がると祖師堂、日朗菩薩御廟所そして法窟がある芝生境内の奥之院だ。
正面に日蓮上人坐像を祀る祖師堂、手前右手に四面堂である日朗菩薩御廟所が建ち、四面堂内に日朗上人の宝篋印塔形墓石が納められている。 宝篋印塔は約700年前の鎌倉末期の造立で、塔身に「七字の題目」、基礎に「南無日朗菩薩」の銘が彫られている。 宝篋印塔は、笠が通常と異なる造りで、露盤(六段)がなく相輪ではなく大きな宝珠が乗っていて珍しい。

△裏山の奥之院への石段途中に建つ切妻造銅板葺の手水舎

△石段途中の手水舎から眺めた入り組んだ瓦屋根の堂宇群

△奥之院への参道途中の基壇上に鎮座する切妻造銅板葺の木造の祠/基壇上に鎮座する大きな唐破風を設けた入母屋造の石造り祠

△奥之院境内への石段下に置かれた彩色され子猿を抱いた白猿石像....石段の左手に建つ手水舎/奥之院への石段途中に建つ切妻造銅板葺の手水舎

△奥之院境内入口の切石敷の参道....右の建物は日朗菩薩御廟所

△基壇上に建つ真壁羽目板造りの日朗菩薩御廟所....側面二間の一間に連子窓がある

△露盤宝珠を乗せた宝形造桟瓦葺で真壁造りの日朗菩薩御廟所....正面に「日朗菩薩墳墓霊場」の扁額が掲げられている

△正面は三間で一軒繁垂木で軒天井がある、組物はなく、台輪の上に3基の板蟇股がある(中央間は蟇股形の小壁の中に本蟇股?)....中央間は格子を入れた桟唐戸風、脇間は内法貫と上の腰貫の間に花頭窓

△日朗菩薩御廟(四面堂と呼ばれる)内に日蓮六老僧の一人である日朗上人の墓碑を安置/御廟内の日朗上人の宝篋印塔形墓石....鎌倉末期元応二年(1320)造立で、塔身に七字の題目、輪郭を巻いた基礎に「南無日朗菩薩」の銘....笠に六段の露盤がなく、相輪ではなく宝珠を乗せている



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