【神奈川・秦野市】創建年代や縁起は不詳。 茅葺屋根の山門は江戸時代初期の建立で、市内最古の建造物とされる。 本堂は記録から慶安四年(1651)頃の再建で、創建時の遺構は内陣周りに残っているようだ。 宗旨は天台宗で、本尊は鎌倉時代初期作の不動明王像。 関東地蔵百八霊場第92番札所。
秦野駅の近くを流れる水無川に沿って道を南東に進むと、参道前に聳える巨木の下に「照于一隅」と刻まれた寺号標石がある。
緑樹が茂る参道に梅の古木が立ち並び、途中から真ん中に切石が敷かれた参道になる。 直ぐ右手に芝生の境内があり、緑に包まれて丹塗りの柱と白壁の建物が西面で建つ。 鬼子母神を祀っている鬼子母神殿だ。 鬼子母神殿の境内に石燈籠1基が佇むが、火袋や笠が珍しい形をしていて興味を引いた。
参道に戻って山門に向かうと、門前右手の覆屋に鎮座する六地蔵尊像に迎えられる。 目の前に建つ茅葺の山門は、まるで日本昔話にでてきそうな趣だ。 味わいのある茅葺の山門をじっくり眺めた後、山門をくぐって境内に入ると、直ぐ左右に1本ずつ百日紅の古木が立つ。 左の百日紅はかなり朽ちかけているのだが、幹に菰巻きがあり、枯れつつある枝に支え棒が施されていて、手厚く保護されているのが伝わってくる。
△参道入り口の前に聳える巨木の根元に最澄の聖句「照于一隅」が刻まれた寺号標石がある
△参道脇のヒバの木越しに眺めた境内
△真ん中に大きな切石が敷かれた参道....参道両側に立ち並ぶ梅の木
△山門前参道の右手にある鬼子母神殿の境内
△入母屋造銅板葺の鬼子母神殿....階段上の親柱に擬宝珠が乗り、周りに組高欄付き廻縁
△正面は菱狭間を入れ桟唐戸で、脇間は小脇羽目、側面に花頭窓....古建築風の造りだが、垂木や組物等がない
△石燈籠越しに眺めた鬼子母神殿 △飾手水鉢と珍しい形をした石燈籠
△鬼子母神殿境内に置かれた夫婦狸の置物....昔から福を呼ぶ縁起物とされる信楽焼き(と思う)
△山門前の切妻造銅板葺の覆屋に鎮座する六地蔵尊像
△編み笠を背負い、赤い帽子を被り前垂れをして参詣者を迎える六地蔵尊像
△切妻造茅葺の山門....江戸時代初期の建立
△風情が感じられる茅葺の簡素な山門...用材はケヤキで、当初材をほぼ残している市内最古の建築物
△山門は薬医門形式で、冠木上に男梁を組み、先端に出組斗を乗せ妻虹梁を受けている
△拝に梅鉢懸魚、妻飾りは虹梁本蟇股/一軒繁垂木で、垂木の反りが大きい
△本堂境内から眺めた山門....北側の茅葺に草が生えている
△手入れが行き届いた境内は清々しい雰囲気
△前庭の百日紅の老木(と思う)....幹に巻かれたこも巻き、枝に支えが施され大切に保存されている/古い幹から育つ若木に白い花が咲いている