対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

2つの線分が消えた理由2

2021-12-08 | 楕円幻想
(半径が1の場合と100000の場合が混ざっています。)

ケプラーは円から三日月形を切り取る方法を考えていた。 三日月の幅が最大で0.00429であること、また最大の視覚的均差5度18分の正割が1.00429であることを契機にして、三日月を切り取る方法を見出した。

「平均的な長さを取る所で均差の視覚的部分が最大になる。平均的な長さを取る所で三日月形つまり距離の短縮分が最大になり、ちょう最大の視覚的均差の正割100429 が半径100000 を上回る分になる」。正割と半径の差100429 -100000=429 と三日月の幅429が共鳴したのである。そして、「平均的な長さを取る所で正割EA100429の代りに半径EB100000を用いると観測結果FA100000のとおりとなる」と推論した。EA→EB→FAの3段階である。

これがケプラーの目覚めである。図を見ればEFは正確に429ではないことがわかる。数値のずれよりも捉えた切り取る方法が重要であることはいうまでもない。しかし、山本義隆は逆に考えているように思える。0.00429にこだわりFB=1-0.00429から始めている。

FA=FBsec(5°18′)=(1-0.00429) (1+0.00429)a≒a=EB

正割と最大の視覚的均差5度18分の位置がケプラーとは違い、3段階の推論が、EB(半径)→FA(観測結果)の2段階に矮小化されている。ここでは正割と火星-太陽間の距離が同じになっている。これは「正割の代わりに半径を用いる」ケプラーとは違ったものになっている。

山本義隆の「目覚め」の分析は、半径(直径距離)と火星-太陽間の距離が等しいという指摘にとどまっている。そこには「正割の代わりに」が抜けている。それは正確に、線分AE、AKを消去した山本の発見図と対応しているのである。しかし、これではケプラーの「目覚め」を解明することはできない。ケプラーの「目覚め」の個所は半ページほどで、そこを「引用」すれば避けられたと思うが、それをしなかった。「新しい光に眠りから覚まされた」だけを引用し、2段階の目覚めを展開している。

2本の線分を消した理由は何だったのだろうか。

つづく



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