対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

袋のなかの白い豆

2018-03-08 | アブダクション
下はパースのアブダクションの説明である。『アブダクション』(米盛裕二著、勁草書房、2007)参照。
(引用はじめ)
わたくしがある部屋に入ってみると、そこにいろいろな違う種類の豆の入った多数の袋があったとする。テーブルの上には手一杯の白い豆がある。そこでちょっと注意してみると、それらの多数の袋のなかに白い豆だけが入った袋が一つあることに気づく。わたくしはただちに、ありそうなこととして、あるいはおおよその見当として、この手一杯の白い豆はその袋からとり出されたものであろうと推論する。この種の推論は仮説をつくること(making a hypothesis)と呼ばれる。
(引用おわり)
この推論は次のように定式化されている。
アブダクション(仮説)
(1)この袋の豆はすべて白い(規則)、
(2)これらの豆は白い(結果)、
(3)ゆえに、これらの豆はこの袋の豆である(事例)。

規則、結果、事例は三段論法の大前提、結論、小前提に対応しているが、はたして、これは「仮説をつくる(making a hypothesis)」推論の説明になっているのだろうか。なっているような気もする、なっていないような気もする。

(注)
演繹と帰納は次のようである。
演繹
(1)この袋の豆はすべて白い(規則)、
(2) これらの豆はこの袋の豆である(事例)、
(3)ゆえに、これらの豆は白い(結果)。
帰納
(1) これらの豆はこの袋の豆である(事例)、
(2) これらの豆は白い(結果)、
(3)ゆえに、この袋の豆はすべて白い(規則)。

『アブダクション』(米盛裕二著)参照

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