対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

上山春平の弁証法論理学

2019-11-04 | アブダクション
上山春平はプラグマティズム論理学(パース、デューイ)をヘーゲル弁証法の発展形態と見て、マルクス主義論理学と並行して捉えている(『弁証法の系譜』未来社1963、こぶし書房2005)。上山は、まず「論理的なものの三側面」(ヘーゲルの『小論理学』での規定)を問題解決の過程として捉える。
問題解決の過程弁証法的な論理のモメント
認識論的過程論理過程
(1) 問題のない段階定立命題(正)悟性的モメント
(2) 問題をもつ段階矛盾命題(正と反)否定的理性的モメント
(3) 問題の解決した段階 統合命題(合)肯定的理性的モメント
次に、その3つの段階に、プラグマティズム論理学、マルクス主義論理学、ヘーゲル論理学の要素を次のような表にまとめている。
問題解決の過程プラグマティズム論理学マルクス主義論理学ヘーゲル論理学
探究の過程認識の過程理念の過程
(1) 問題のない段階         
(2) 問題をもつ段階1) 問題    
2) 仮説1)アブダクション1) 感性的認識1) 直観1) 生命
3) 推論2)ディダクション2) 理性的認識2) 思考2) 理論的理念
4) テスト3)インダクション3) 実践3) 実践3) 実践的理念
(3) 問題の解決した段階5) 言明   4) 絶対的理念
(上山)(デューイ)(パース)(毛沢東)(レーニン)(ヘーゲル)
わたしの立場からいえば、大枠は間違っている。しかし、中央部の次のような「3つ組」の対応は継承できるのではないかと思われる。

2) 仮説  1)アブダクション 1)感性的認識 1)直観 1)生命
3) 推論  2)ディダクション 2)理性的認識 2)思考 2)理論的理念
4) テスト 3)インダクション 3)実践    3)実践 3)実践的理念

これまで、アインシュタインの思考モデルに、パースの3つのダクションの対応を図に示してきた。

ここで、
 アブダクション(仮説)――  EJA
 ディダクション(演繹)――  AS
 インダクション(帰納)――  SEA
である。
この図は上山春平が求めた弁証法論理学の図解としても有効ではないかと思えてきた。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿