1 悟性と理性の違い
茅野良男は『弁証法入門』のなかで悟性と理性の違いをおよそ次のように述べていた。
理論的な認識の範囲は経験である。感性による直覚を通して与えられた多様な現象は、悟性概念(カテゴリーと判断力)により綜合され統一を与えられて認識が成立する。悟性は思考し判断する能力だが、感性のおよぶ範囲すなわち現象界の内部でのみ資格と権利をもつ。
悟性を理性とくらべると、理性は原理の能力であり推論する能力であり、悟性のさまざまな規則を原理のもとに統一する能力である。悟性はカテゴリーを通して現象にかかわり統一を与える。一方、理性はこの悟性の機能を統治するだけであり現象界と直接のかかわりはもたない。理性は悟性の働き方のすべてを一つの絶対的な全体に綜合し包括する。
悟性は現象界と関わるが、理性はこの悟性の機能を統治するだけで現象界と直接の関わりをもたない。この違いの説明は自己表出と指示表出の捉え方を一歩進めた。すなわち、自己表出は関係の表出であり理性に基づいている。指示表出は指示の表出であり悟性に基づいている。表出の根拠が明確になったのである。
茅野良男は『弁証法入門』のなかで悟性と理性の違いをおよそ次のように述べていた。
理論的な認識の範囲は経験である。感性による直覚を通して与えられた多様な現象は、悟性概念(カテゴリーと判断力)により綜合され統一を与えられて認識が成立する。悟性は思考し判断する能力だが、感性のおよぶ範囲すなわち現象界の内部でのみ資格と権利をもつ。
悟性を理性とくらべると、理性は原理の能力であり推論する能力であり、悟性のさまざまな規則を原理のもとに統一する能力である。悟性はカテゴリーを通して現象にかかわり統一を与える。一方、理性はこの悟性の機能を統治するだけであり現象界と直接のかかわりはもたない。理性は悟性の働き方のすべてを一つの絶対的な全体に綜合し包括する。
悟性は現象界と関わるが、理性はこの悟性の機能を統治するだけで現象界と直接の関わりをもたない。この違いの説明は自己表出と指示表出の捉え方を一歩進めた。すなわち、自己表出は関係の表出であり理性に基づいている。指示表出は指示の表出であり悟性に基づいている。表出の根拠が明確になったのである。