西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

シューベルト・付随音楽「キプロスの女王ロザムンデ」

2007-12-20 10:51:16 | ロマン派
今日は、シューベルトの付随音楽「キプロスの女王ロザムンデ」が初演された日です(1823年、ウィーン)。
シューベルトは、リート作曲家として有名だが、「未完成」や「グレート」などの交響楽作品それにピアノ曲や室内楽作品も多く聴かれています。しかし、大規模な協奏曲を書いていないということと同様に劇音楽も書いていないのではと言う人がいるかも知れませんが、これは間違いです。シューベルトは20近い劇音楽作品を書いています。しかし初演後評判を取り、長く上演され続けたという作品はとうとう一つも残しませんでした。私は、断片も含めできればそのすべてを聴いてみたいと思っているのですが、以前も述べましたが、「アドラスト」ヤ「ザクンターラ」はその片鱗さえCDなどが出ているというのを聞いたことがありません。非常に残念なことです。しかし「グライヒェン伯爵」など聴けないと思っていた作品が出されたりして、最近シューベルトのこの分野に光が当てられるようになったことは嬉しい限りです。
「キプロスの女王ロザムンデ」は、オペラではなく付随音楽です。序曲と9曲の楽曲よりなりますが、序曲は少し前に作曲されたオペラ「アリフォンゾとエストレッラ」のそれを代用しました(「魔法の竪琴」の序曲を用いたと主張するアインシュタインのような学者もいます)。だからシューベルトが「ロザムンデ」のために書いた曲は9曲ということになりますが、間奏曲やバレエ音楽はいかにもシューベルトならではの音楽という気がします。一度聴けば好きになってしまうような曲ではないかと思います。今手元にこれらの音楽がなかったので、第3曲bにあたるロマンス「満月は丘の上に輝き」を聴きました。これも佳曲だと思います。しかし「ロザムンデ」も2回上演されただけで終わってしまった。シューベルトはこの舞台用作品「ロザムンデ」を「無駄に作曲した」のであった。