西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

チャイコフスキー・歌劇「スペードの女王」

2007-12-19 09:29:32 | オペラ
今日は、チャイコフスキーの歌劇「スペードの女王」が初演された日です(1890年、ペテルブルク)。
チャイコフスキーの歌劇では、第5作「エフゲニー・オネーギン」が特に有名で、次がこの第9作にあたる「スペードの女王」でしょう。チャイコフスキーは全部で、10作ほどオペラを書いていますが、初期のオペラはあまり舞台にのることはないようです。「エフゲニー・オネーギン」がやはり最も重要な作品で、私も好きなオペラの一つですが、第6作にあたる「オルレアンの少女」を聴いた時、私はその中のジャンヌが歌う「さようなら故郷の丘や畑よ」の旋律をすぐに好きになってしまいました。本場物の演奏で(ロジェストヴェンスキー指揮)、チャイコフスキーの作品ならと、4枚組みのレコードが出たとき迷わず購入しましたが、作曲者の他では見られない旋律美を発見したように思いました。
「エフゲニー・オネーギン」では、レンスキーのアリアがこれまたチャイコフスキーの名旋律の一つと言っていいでしょう。オーケストラ曲の「ポロネーズ」も魅力的です。演奏は、ヴィシネフスカヤをタイトル・ロールに起用したロストロポービチが指揮したものが第1にあげられるべきでしょう。
「スペードの女王」を聴いた時、印象的だったのは幕開け早々にある「子供たちの合唱」でした。何か似たようなのを聴いた覚えがあるなと思ったら、作曲者自身も言っているようにビゼーの「カルメン」にヒントを得たと言うことです。(そのようなことを曲の解説か何かで読んだように思います。)これもヴィシネフスカヤをタイトル・ロールに起用したロストロポービチが指揮したものが良いと思いますが、これはオーケストラは指揮者が国外に出るようになったからでしょうか、ロシアのものではなくフランス国立管弦楽団です。
一般に、チャイコフスキーのオペラは有名なもののみが取り上げられるようで、「地方長官」や「オプリチニク」などは断片を聴くだけですが、できれば全曲版を聞いてみたいですね。そのような中にもチャイコフスキーしか書けないような旋律があるものと思っています。