西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

バルトーク「管弦楽のための協奏曲」

2007-12-01 10:15:53 | 20世紀音楽
今日は、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」が初演された日です(1944年、ボストン)。
今日、久しぶりにこの作品を聴きました。多くの人が言うように傑作なのだと思いますが、今ひとつ自分では掴みかねていません。バルトークは、この曲を書く前しばらく作曲から遠ざかっていたということですが、クーセヴィツキー財団の委嘱で作曲に取り掛かりました。バルトークはこの作品後、ピアノ協奏曲第3番とビオラ協奏曲を手掛け、これら最後の大作3曲を遺して、45年に亡くなります。バルトーク理解のためには、ぜひこれらの作品に込めた作曲者の思いを掴みたいと思っています。レコードで、B面の残りに「弦楽のためのディヴェルティメント」が収まっていて、これも一緒に聴きました。暗雲ただようヨーロッパを離れる直前に作曲したものということですが、第1楽章のはじめの部分など何か緊迫した感じを受けます。無名の青年作曲家時代に、交響詩「コッシュート」を書き、オーストリアからの独立を目指した英雄を描いた愛国者バルトークにとっては、祖国を離れることは大きな決意が要るものだったと思います。惜別の念がこの「弦楽のためのディヴェルティメント」にはあるようにも思います。