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怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

柚木裕子「虎狼の血」「狂犬の眼」「暴虎の牙」

2025-07-05 20:41:50 | 

柚木裕子の小説は全く読んだことがなかったのですが、佐高信の読書日記でよく出てくるので興味を持って図書館で見つけて読んでみました。

いや~読みだしたら止められない。一気呵成に読んでしまい、その勢いでさらにシリーズ第2作、第3作を続けて読んでしまいました。

これは柚月裕子による「仁義なき戦い」。舞台は広島で広島市はそのままの名称ですが、呉原市、福中市と微妙に変えています。それでも読んでいると映画のあの場面、この場面と彷彿させられるところが多々あります。

暴力団から裏金を受け取り、癒着を厭わないけど成績抜群の暴力団担当のベテラン刑事の大上。警察の監察には目をつけられているが、独自の情報網から上層部の弱みを握り、暴力団組織からは一目置かれ、荒っぽいことも厭わないところはダーティハリーを想起させます。そして相棒を組まされる新米刑事の日岡。二人の眼を通してみる暴力団の血なまぐさい抗争。すさまじい暴力の応酬の中での欲望剥き出しでメンツと保身の狭間で揺れ動く人間模様。

「虎狼の血」では、日岡が大上の相棒となり違法捜査を繰り返しつつ、暴力団と対峙し、血で血を洗う抗争のすさまじさの中で、大上が亡くなるまでを描く。

「狂犬の眼」では、広島の山間部の駐在に飛ばされた日岡を主人公に、組長を暗殺されたことにより全国を抗争の渦に巻き込んだ山口組、一和会の抗争を下敷きに実行犯の国光の生きざまを描いています。

「暴虎の牙」では再び大上が主人公に、愚連隊呉寅会のトップで手を付けられない凶暴さでのし上がってきた沖虎彦、まさに暴れる虎のごとく手あたり次第に、暴力団の賭場を荒らし薬の取引を襲う。結局大上に逮捕されるのだが、出所後も沖の無茶な行動は変わらない。その時には大上はいないのだが、日岡が大上の跡を継いで呉原東署の暴力団担当の刑事となって関わっていく。そう言えば仁義なき戦いでも愚連隊あがりの凶暴なのがいたな。確か若き千葉真一が演じていた?

兎に角あまりの暑さで外出する気力もなくエアコンを効かせた家にこもって読むにはもってこい。頭の中ではジャン、ジャン、ジャンと仁義なき戦いテーマ音楽が鳴り響き菅原文太とか松方弘樹とか北小路欣也とかずるくて人間のエゴ丸出しの金子信夫とかくせの強い面々を頭に思い浮かべながら読んでいました。でも作者の柚月裕子さん、初めて読んだのですが、こんな男くさい暴力と欲望渦巻く血なまぐさい小説を書くタイプなのでしょうか。

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