日々雑感

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10-62少年仏師

2012年07月13日 | Weblog
少年仏師

夕方4チャンネルTVを見ていたら、少年仏師が取り上げられていた。少年は高校生でありながら、お寺のふすま絵もかいた。彼の9才の頃に描いた仏画
の巧みさには驚いた。天性のものを持っている少年で、ある種の天才だろう。
仏像を彫刻する中高年の中でもモテモテで、どの人も彼の天才ぶりを認めている。
彼曰く「木の中に仏様が見えている」 彼にとって仏像を彫ると言うことは木の中に存在する仏様が木からでやすくするために、周りの木を彫って取り除いていく。そうすると、中から仏様が出てくると言うのである。不思議と言おうか、天才と言おうか、普通の人は同じ彫刻刀を持っても、そこまでは行かないのが当たり前でそれ以上は、不思議の世界になる。

京都の有名な仏師松本師は次のように言う。
「この木の中には仏さんがおられる。早く余計なものを切りとって仏様をでていただくようにしなければ。」
仏師と言われる人には皆こういう現象が起きているのだろうか。
物理的には木の中のことが見えるはずは無い。だけどこの少年仏師にも松本師にも同じ現象が起きている。心眼では見えているのである。
「見るものが見れば分かる世界」なのだろう。が、普通人にはこういう現象は起こらない。
少年は仏像芸術家になりたいと希望する。そして松本師は早く彼の工房に少年が弟子入りしてくるのが楽しみだそうだ。

こういう現象を見ると仏像彫刻に限らず、芸術の世界は、宗教の世界と渾然一体としていて、それを彫刻で出すか、音楽で表現するか、絵画に表すか、によって芸術のジャンルが分かれるのだろう。
宗教世界が根底にあって、それが多種多様な形をとって普通人には芸術として提供されるのだと思う。
だから芸術を生み出す母胎は宗教であると僕は信じている。