モノ・語り

現代のクラフトの作り手と作品を主役とするライフストーリーを綴ります。

鴨下蓉子さんのジュエリー

2009年04月11日 | モノ・こと・ことば


「かたち21」のHP






私は自分では装身具を身につけることはないですが、
ジュエリーには興味があります。ミニチュアの彫刻とか、オブジェとして愉しめるからです。
もともとジュエリーは宝石とか貴金属とかの意味で、高価なイメージのものです。
しかし現代では素材が安価なものであっても「手作り」であるとか、
デザインがあまり見たことがないといったこととかが価値として受け入れられています。

札幌在住のジュエラー鴨下蓉子さんの近作は、素材が真鍮です。
真鍮は「ドアノブのように使い込まれていきいきしてくる素材」だと鴨下さんは言うのです。
でも、だれの身の周りにもある、ごくありふれた金属ですよね。
鴨下さんはそれを「使い込まれていきいきしてくる」と見てるんですね。
そういうまなざしが創作の世界というものを生み出すのです。そういう面白さが、
ミニチュア彫刻としてのジュエリーにはあります。

「最近は紙コップ、チョコレートの包み紙など、用が済めば捨てられてしまうだけのものの造形を、
拾い上げジュエリーを作る事を試みています」と、鴨下さんからの便りにありました。
いうならば「ありふれたもの」ですが、ありふれたもののなかに美の契機を見出していくところが
「彫刻」なんですね。そして「使い込まれていきいきしてくる」というところがジュエリーです。

ただ宝石のように輝いているものだけがジュエリーではありません。
作り手が長い年月をかけて培ってきて、結晶化したものもまた現代のジュエリーです。





鴨下蓉子さんの作品はこちらでも見れます。





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