モノ・語り

現代のクラフトの作り手と作品を主役とするライフストーリーを綴ります。

第7回アート鑑賞いろは塾のお知らせ

2013年06月29日 | アート鑑賞いろは塾
第7回アート鑑賞いろは塾を下記のように開催します。

日 時: 7月27日(土)P.M.2:30~
会 場: 可喜庵(町田市鶴川)
テーマ: 現代美術の考え方
講 師: 笹山 央(「かたち21」主宰)
受講料: 2,500円(飲物代込み)
推薦展覧会:
「<遊ぶ>シュルレアリスム展」(損保ジャパン東郷青児美術館・7月9日-8月25日)

  ※マイカップをご持参ください。

参加お申込みはこちらから。


今回のテーマは「現代美術の考え方」です。
「現代美術」というと「難解」というイメージを持たれがちのようなので、
これについて言及しておく必要があるということで、このテーマを設定しました。

現代美術を成り立たせている柱として、ここでは2つの事項を挙げたいと思います。
ひとつはスキャンダリスム、もうひとつは自己批評機能です。

スキャンダリズムというのは、要するに、「美術を取り巻く社会情勢にどうやってスキャンダルを巻き起こすか」ということであって、そういうことを四六時中考えているのがアーチストだということです。
美術には関心がなくても、世の中に発生するスキャンダルには好奇の目を向ける人は多いようです。

スキャンダルにもいろいろありますが、いいにつけ悪いにつけそこで何かが「暴露される」というところに、「好奇の目」が向かっていくように思われます。
社会的な事象としてのスキャンダリスムは、新聞、雑誌、ラジオなどのマスメディア、および写真、映画などの複製メディアが登場し、発展していく19世紀以降の、市民社会の主要な関心事のひとつとなっていきます(このあたりは前回の「複製メディア社会の美術・工芸」のおさらいを含みます)。
現代美術が発生するのもそのような社会状況を背景としており、マスメディアおよび複製メディアを意識して自己組織化していったのが「現代美術」の成立基盤です。

現代美術におけるスキャンダリスムは、「自己批評」という枠組みの中で発生していきます。つまり「美術とは何か」という問いかけそのものをビジュアル(造形)化していくわけです。
この自己批評機能は「自己言及機能」と言い換えることもできます。
「自己言及」とは「私とは何か」問いを私が私自身に仕掛けるということです。

この自己言及機能を「ムズカシイ」と思い込めば「現代美術は難解」になるし、その成り立ちを「マスメディアおよび複製メディア向けの自己組織化」として解釈していけば、「難解さ」は氷解していきます。

可喜庵のブログもご参考まで。










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「布の美展」開催まであと2日

2013年06月05日 | 展覧会・イベント
「布の美展」開催まであと2日となりました。
今日、明日と2日かけて飾り付けをします。
今日は、可喜庵のフローリングスペースの展示構成の大枠を確定しました。


中野みどり作の紬織り着物「遠い日」と仁平幸春作の糸目友禅「レースの帯」 手前の茶碗は陶芸家桶谷寧作の天目茶碗

壁面のひとつでは、中野みどりの代表作のひとつである紬着物「遠い日」に、
仁平幸春の糸目友禅のレース柄の帯を並べての展示としました。
もうひとつの壁面では、中野の紬着物の新作「変わり格子」と仁平の染め額小品2点の併陳です。
「変わり格子着尺」の仮仕立ては中野自身の手によるものです。昨夜縫い上げたばかりということです。
また両壁面の間、部屋の中央寄りに、西川晴恵のイラクサ素材の帯を数点まとめて展示しています。


中野みどり作「紬織変わり格子着物」と仁平幸春作の染め額2点

それぞれのコーナーの見た目は画像でご覧になるとおりですが、
そこに立ち上ってきた空気というか、空間の情趣は画像や言葉ではお伝えすることが不可能です。
美と美、わざとわざ、感性と感性が出会い、取り合わされて独特の雰囲気を醸し出してます。


西川晴恵作イラクサ織りの帯数点

そもそも「ものの美」ということは、そのもの自体を直接に感覚体験することでしか得られないことを含んでいます。
コンセプチュアルな局面は画像でも言葉でも伝えることができますが、「ものの美」は伝わらないということです。
その意味では、時間が許される限り是非ご来場して、この空間を体験していただくほかありません。

展示会場はフローリングスペースだけでなく、床の間のある和室でも「布の美」をたっぷり愉しんでいただけます。

和室とフローリングスペースの間の部屋では曜変天目茶碗の陶芸家 桶谷寧の茶碗とぐいのみの展示コーナーを、「同時開催」として設けています。
会期中、ご希望の方に桶谷寧の天目茶碗で呈茶いたします(一服1,000円)。
お茶の味が全然違います(気のせいではなく、ちゃんとした科学的な理由があります)。
是非お試しください。

「布の美展」についての詳細は、こちらで。
中野みどりのブログでも詳しく紹介していますので、ご覧ください。「中野みどりの紬きもの塾」
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