モノ・語り

現代のクラフトの作り手と作品を主役とするライフストーリーを綴ります。

長谷川沼田居美術館を訪ねる

2017年08月17日 | 長谷川沼田居の絵
第13回「かたち塾」のお知らせ


抽象円体 1956年       
 
かきつばた 1960年


タイトル―――長谷川沼田居美術館を訪ねる
講 師――――笹山 央(かたち塾代表・工芸評論)江尻 潔氏(足利市立美術館学芸員)
日 時――――2017年9月10日(日).
会 場――――長谷川沼田居美術館(足利市)・足利市立美術館・大川美術館(桐生市)
受講料――――3,000円(かたちの会会員 2,500円 ) 各美術館での観覧料は各自負担
受講者数―――10名様まで(要予約)


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長谷川沼田居資料

 長谷川沼田居は、戦前から戦後にかけて栃木県足利市に在住して創作活動を展開した日本画家です。
若年から眼に障害があったようで、次第に悪化していって晩年には両眼とも眼球摘出するのですが、生涯絵を描き続けた人です。

沼田居を知ったのは2015年に渋谷区立松涛美術館で開催された「スサノヲの到来」という展覧会においてです。
この展覧会は足利市立美術館学芸員の江尻潔氏が中心となって企画が立てられたようで、
足利市とその周辺に在住して活動しているアーチストが多数出品していました。
その中で、沼田居という名前は初めて見たのですが、「かきつばた抽象」と題された作品が妙に私の眼底に焼き付いたのです。
翌年夏、足利市立美術館を訪ねたときに、たまたま沼田居の作品展が開催されていて、感動を新たにしました。

ここにこんな絵描きがいたんだと、掘り出し物を見つけたような心境でした(宮沢賢治を発見した草野心平の心境に重ねられるような気分でした)。
沼田居の絵が広く現代の人の眼に触れられることを思わないではいられなくなりました。
その作品を1人でも多くの人に見てもらいたいと思って、足利市の沼田居美術館を直接訪ねる企画を立てました。

沼田居の創作についてはいくつかの論点がありますが、ここでは総括的に「暗がりを凝視する絵画」と言っておきます。
かたち塾との関連で言えば、昨年の第9回で「茶事の中の光と音」をテーマにした時、そして前回のジャコメッティの創作でも、“暗がり(乏しい光の中で)”ということが、「見ること」の問題として浮上してきています。
“世界を暗がりにおいて見る”視覚と、失明後に描かれた“明るく透明な世界”を巡って、
初秋の光の中のひとときを過ごしたいと思います。

沼田居美術館の後は足利市立美術館と桐生市にある大川美術館を訪ねます。当日は
  足利市立美術館―――「生の根源をめぐる四つの個展」を開催中
  大川美術館―――――「大川美術館ベストコレクション展」を開催中
     ※ 日本近代絵画(洋画)の最も良質な部分がコレクションされています


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