第4回公開講義「現代工芸論」のテーマは“現代工芸とは?”です。
現代工芸の“現代”たる所以はどこにあるでしょうか?
一つの考え方として、現代の技術と素材を使うということがあります。
素材は主として複製素材(工業的に製造された材料)が使われることが多いので、
この点は条件を満たしていると言えます。
現代の技術ということで言えば、IT技術や3D、AIの技術が代表的です。
たとえばコンピュータを導入して工芸作品を作っている例は多く見られるようになりました。
3Dやロボットなど、積極的に取り入れていけばよいかと思います。
しかしそう考えたときに、伝統的な技術(たとえば、手作りそのもの)の上に成り立っている工芸制作は、
現代工芸と言えるのか、という問題が他方で発生してきます。
用途を否定したオブジェ作品が、手作りで成立している場合というのがこれですが、
厳密には、こういうのはむしろ伝統工芸の延長上に成り立っているものと考えるべきではないでしょうか?
(伝統工芸の定義の中には、「伝統的な技術と素材を使っている」ということが含まれている、
ということを、前回はお話ししました。
伝統工芸の中にも、直接の用途のない置物がたくさん制作されています。
オブジェ作品というのは、それが手作りなどの伝統的技術を主体として制作されている場合は、
伝統工芸の範疇で見るべきではないかという気がします。
今回はその辺の問題提起もしたいと思います。