モノ・語り

現代のクラフトの作り手と作品を主役とするライフストーリーを綴ります。

‟現代工芸”とは?

2018年06月27日 | 公開講義「現代工芸論」

第4回公開講義「現代工芸論」のテーマは“現代工芸とは?”です。
現代工芸の“現代”たる所以はどこにあるでしょうか?

一つの考え方として、現代の技術と素材を使うということがあります。
素材は主として複製素材(工業的に製造された材料)が使われることが多いので、
この点は条件を満たしていると言えます。

現代の技術ということで言えば、IT技術や3D、AIの技術が代表的です。
たとえばコンピュータを導入して工芸作品を作っている例は多く見られるようになりました。
3Dやロボットなど、積極的に取り入れていけばよいかと思います。

しかしそう考えたときに、伝統的な技術(たとえば、手作りそのもの)の上に成り立っている工芸制作は、
現代工芸と言えるのか、という問題が他方で発生してきます。
用途を否定したオブジェ作品が、手作りで成立している場合というのがこれですが、
厳密には、こういうのはむしろ伝統工芸の延長上に成り立っているものと考えるべきではないでしょうか?
(伝統工芸の定義の中には、「伝統的な技術と素材を使っている」ということが含まれている、
ということを、前回はお話ししました。
伝統工芸の中にも、直接の用途のない置物がたくさん制作されています。
オブジェ作品というのは、それが手作りなどの伝統的技術を主体として制作されている場合は、
伝統工芸の範疇で見るべきではないかという気がします。

今回はその辺の問題提起もしたいと思います。

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第4回公開講義「現代工芸論」開催のお知らせ

2018年06月20日 | 公開講義「現代工芸論」

公開講義「現代工芸論」音声版の3回目(第5講、第6講)をアップしました。

テーマ:❝伝統工芸”とは?

第5講 日本伝統工芸展と(財) 伝統工芸品産業振興協会の各々の“伝統工芸”の定義
第6講 “伝統”と“工芸”はなぜ結びつきやすいのか。

こちらからアクセスできます。


第4回の公開講義は
日時 6月30日(土)3:00p.m.~4:30p.m.
会場 狩野グラススタジオ(港区元麻布

です。

テーマは「現代工芸とは?」です。
伝統工芸が一般に浸透しているのに対して、現代工芸というとほとんどの人は、“なんのこっちゃ”という感じで受け止めます。
でも、伝統工芸という言葉ができる前に“近代工芸”という言葉があって、近代工芸から現代工芸への言葉のつながりがあるのです。

前半は近代(現代)工芸の成り立ちを、その歴史的経緯を追って解説します。
後半は、現代工芸の特徴をいくつか挙げながら、その問題点についても言及したいと思ってます。

その他詳細はこちらでご覧ください。
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クールジャパンと伝統工芸

2018年06月08日 | 公開講義「現代工芸論」


古谷経衡さんの最新のレポート「海外で見た酷すぎるクールジャパンの実態」という記事がネット上で話題になってるようですが、
“クールジャパン”に限らず、“伝統工芸”も、現代の日本人にとっては実態としては同根です。
今朝、TOKYO-MXのニュース番組に古谷さんが出ていて、同じ話題を取り上げてました。
それを聞きながら私が思ったことは、“伝統工芸”とか“クールジャパン”というのは、
“何も考えない日本人”ということを浮き彫りにしている、という意味で相似的な現象だな、ということです。

“クールジャパン”は外国の人が見つけた“素晴らしき日本”であって、日本人自身は“素晴らしき日本”についてこれといった知見を有していないし、
“伝統工芸”だって、“伝統”ということの内実はほとんど空洞です。

次回の公開講義「現代工芸論」のテーマは「伝統工芸とは?」ですが、このテーマには上記のような問題が控えています。
一見、変わりばえのしないテーマのように感じられるかも知れませんが、
“クールジャパン”や“伝統工芸”の問題に対する考え方の基本的な枠組みを提示しようと思っています。

第3回の公開講義は
日時 6月15日(金)5:00p.m.~6:30p.m.
会場 狩野グラススタジオ(港区元麻布)
詳細はこちら
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