モノ・語り

現代のクラフトの作り手と作品を主役とするライフストーリーを綴ります。

「かたちの会」会誌No.17を発行しました。

2014年07月31日 | 「かたちの会」関連



「かたちの会」会誌No.17を発行しました。

巻頭記事は、6月29日に開催した〈『現代工芸論』出版記念の集い〉で話したことを下敷きにして、「現代工芸のこれまでとこれから」というタイトルの文章です。
「これまで」とは、要するに話者(笹山)の現代工芸体験談であり、それを通して「現代工芸とは何だったのか」を語ろうとするものでした。
話の内容としては盛り沢山だったのだけれど、会誌の文章ではその中から「工芸にまつわる二元論」の話に絞ってまとめています。
それは「これから」の話につなげていく上で、一番わかりやすいかなと思ったからです。

「これから」の話は、会誌でここ1年ぐらいずうっと話題にしてきた「ものの美」ということを軸として、展開していこうとするものです。
「工芸にまつわる二元論」を解消して、「ものの美」の地平を切り開いていこうという筋道を立てています。
「工芸にまつわる二元論」とは、たとえば「アートと工芸」「芸術と生活」「アーチストとアルチザン」「創作と労働」「創作と実用」「創作と鑑賞」「作り手と使い手」「オブジェと実用」「コンセプチュアルと感覚的・物質的」「伝統と現代」等々、が挙げられます。
これは、実は「西洋の近代芸術概念」が作り出した二元論に他ならないのですね。
そして「ものの美」の定義にかかわる3つの要件として、
1. 対象(自己の外に在るもの)に向き合うこと
2. 具象性を超えていること
3. 表現系(コンセプチュアル)と機能系(実用的)を価値評価の上で区別しないこと
ということを挙げています。

表紙と真ん中のカラーページは、北海道のガラス作家中川 晃(ちゃった工房)の作品を紹介しています。
酷暑の中で、一服の清涼と「人型(ひとがた)」の一つ一つの造形に展開されるガラスワークの妙技と、特にブルー系を主体にした色彩構成を楽しんでいただければと思います。

巻末のコラム「創る悦び、使う愉しみ」では、東北地方を中心に活動するNPO法人「女わざ」主催の講演会(話者は理事長の森田珪子さん)と裂織りのワークショップの催しからの報告です。

かたちの会についてはこちらから。




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