「かたち21」のHP
この子ブタの箸置は山口県山口市の明善窯という萩焼の窯元で見つけました。
一見ふつうの子ブタちゃんですが、しばらく見ているうちにお尻あたりのふくらみ具合など、
「カワイー」という感じがだんだんと増してきたのと、
型ものであるにもかかわらずしっぽの付き方がそれぞれ違っていて、
一個一個手を入れることで表情が生れてきていることが認められたことと、
薪の窯で焼いたものですが値段が1000円以下であったということが理由で、
思わず財布の紐が解けてしまいました。
私はキムズカシイ方なので、子ブタとかネコとかトリとかの小動物の細工物を見ても
簡単には「カワイー」などとは思いません。
しかしその後、現在に至るまでこの子ブタたちは食事のたびに私の面前で
箸置としての役割を果たしてくれているのですが、
「カワイー」という実感が未だに新鮮なままに続いています。
動物彫刻というと、私の経験では縄文時代のものや中国の古代のものが感動的です。
それからこの夏に町田市の歴史博物館で見た『アジアを慈しむ』というタイトルの
東南アジアの陶磁器展に出品されていた、15~16世紀頃のタイのやきものがよかった。
掌にすっぽりと収まるぐらいの小さな蓋もので、作行きは素朴に感じられますが、
生き物のの息遣いが伝わってくるような存在感がありました。
『アジアを慈しむ』展(町田市歴史博物館)図録より
『アジアを慈しむ』は子ブタの箸置を手に入れたあとに見ましたが、
その動物彫刻群のなかに子ブタの箸置を置いても負けていないなと思いました。
また秋には、プロの彫刻家の動物彫刻をいくつか見る機会があったけれども、
「生き物」らしさは、タイの蓋ものの動物たちと子ブタの箸置の方がまさっていました。
「生き物」を感じさせる動物彫刻が作れる人を待ち望んでいます。
子ブタの箸置の作者は、今のところまったく無名の人です。
これからも頑張って欲しいと思っています。
この箸置を手に入れたい人はこちらへどうぞ。