月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

お墨付き

2017-11-09 | 仕事
昨日の朝早く、スマホがピョコンと鳴った。
見ると、3年ほど前に取材した酒蔵のU社長からメッセージ。なんだろう、お酒の会のお知らせかしら・・・と思いながら文面を読んでみると、今朝のN社長のコラムで私の書いている雑誌が取り上げられ、さらに私のことが褒められている、とのこと。
「あの辛口で有名なN社長にあそこまで言わせるなんて、本当にすごい!次にお会いしたら最敬礼して先生と呼ばせていただきます(笑)」と書かれていた。

N社長のコラム・・・?
何のことかわからず調べてみると、業界では結構な力を持っている会社の社長が出している、会員限定の有料コラムだということがわかった。
月に2回、日本酒業界についてのあれこれを書いたコラムが会員へ送られてくる。そのコラムで私のことが紹介されているというのだ。
私は会員ではないし、このまま読めないと、いい意味でモヤモヤが続くので、U社長に「読みたいので送ってくれませんか?」とお願いすると、すぐにスキャンしてPDFで送ってくれた。

どの記事のことを褒められているのかと、もうドキドキしながら読んでみると・・・
なんと、取り上げられていたのは、私の書いた「編集後記」だった。

A4サイズいっぱいのコラムの中で、前半は雑誌全体の紹介(これも非常に丁寧でありがたかった)、その後、およそ半分ほどをさいて、私の編集後記が引用されている。
本名までしっかり出され、私の文章に対して下のような批評が加えられていた。

「つまり、造り手、売り手、飲み手の三者に共通した“和”がなければ、「良酒」にはならないという意見だが、そこに書き手も加えたいというライターとしての信条を見せ付けられているようでもある。」

「・・・と、ライターとしての熱い想いを吐露している。彼女にとって、ライターは天職なのだろう。」



うぉぉぉぉーーー!!


こういう時、どんなリアクションが出るのか自分でも初めて知ったが、地の底から這い上がってくるような声で雄叫びを上げてしまった。
もちろん、嬉しくて。いや、嬉しいというより、興奮?イマドキの言葉で言えば「ヤバイ」。
マジ、ヤバイって~!!

ちなみに編集後記は、クライアントからライター、デザイナー、カメラマンまで、本誌に関わる全員が順番に書いていく。関わるメンバーが多いので、今回の15号で私にまわってきたのはようやく2回目だった。
しかも、私の担当は次号のはずだったのだが、もう1人のライターさんが他の原稿でいっぱいいっぱいだったので、「負担を減らしてあげたいから代わりに書いてほしい」とクライアントに言われて前倒しで書いたものだった。

いつも、ちゃんと意味はある。
目の前のことに手を抜かず、真面目にコツコツ丁寧にやっていれば、気づくと全部意味があって、必ず良い場所へとつながっていくのだ。一見「損をした」と感じるようなことでも、後になってみれば「得」になっていることばかり。
だから夫に「そこまでやらんでいい」とたしなめれらたり、自分でも「お人好しかっ!」とツッコミを入れてしまうほど、人のためにせっせと動いたりしてしまうのだけど(そして残念なことにあまり気づかれず、感謝もされないキャラクター)、後になってみれば「ああ、頑張ってよかったなー」と思うことが多い。
他の誰も見てくれていなくても、神様はちゃんと見てくれている、と思う。

今回も、業界向けのコラムで業界で力を持った社長から名指しで「ライターは天職」とまで言われたということは、これを読んだ業界の人達への印象もすごくよくなったはず。もしかしたら「すごいライターさんなんだな」と洗脳された人もいるかもしれない。
いわゆる「お墨付き」というやつだ。

まあ、そんな大げさな話にならなかったとしても、とりあえず辛口社長に褒められたことが嬉しかったし、このことをわざわざ知らせてくれたU社長の温かい心遣いもとても嬉しかった。(←これ、すごく大事!)
そして、取材記事ではなく、編集後記を取り上げてもらえたことも。

以前、スピリチュアルな力を持った人に言われた言葉がある。
「想いを伝えるのは、文章ではなく、あなた自身です」と。
わかるようでわからない、この禅問答のような言葉を、私はよく思い出すことがあった。
今も答えが出たわけではないけれど、今回、自由に私自身の言葉で、私自身の想いを書ける編集後記というものを取り上げてもらい、そこから会ったこともない人が、私の日本酒に対する想いや「ライターとしての信条」を感じ取ってくれたことで、はっきりと「伝わった」と思えた。
文章ではなく、私自身が伝えた。

今回のこのことは、とても小さな出来事だけど、後々振り返ってみれば大きな出来事になるのではないかと、なぜかそんな予感がしている。
まだまだ先になってみなければ、この出来事の本当の意味はわからないのだけど。