鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

菅総理の采配

2020-09-24 09:46:31 | 日本の時事風景
菅さんは戦後の「団塊世代」生まれ初の総理大臣である。

団塊世代の名付け親は経済企画庁長官だった作家の堺屋太一だが、昭和22年から24年に生まれたベビーブームの世代だ。何しろ、出生数260万台をキープしていた時代である。

この三年間で約800万もの人口が増えたのだからインパクトは大きかった。この当時の日本全体の人口は8000万に満たなかったのだから、昭和22年から24年までで人口が約10パーセント増えたことになる。

それに比べると昨今は100万をやっと超えたくらいの人口増でしかなく、仮に同じ三年間だと300万余で、これは現有人口の2.5パーセントにしかならない。

この少子化には歯止めがかからない。菅さんは産みたくても産めない女性の不妊治療に対する助成を大幅に増やすと言っているが、もちろんやらないよりはましだが、いま喫緊の問題になっているのは産んでもせいぜい一人か二人と考える女性の多いことだ。

さらにもう一つの大きな理由は、結婚しない若者がかなり増えていることで、子産み子育て予備軍が予備軍のまま終わっていることだろう。

これら二つの少子化要因は、実はどちらも大都市集中によって引き起こされている。

収入は良くても地価や家賃が高いため、勢い居住空間は狭く、子供を遊ばせるのにも気を使い金を使うのが都会の生活である。

よく言われる保育所の不足、これは地方から出て来た者同士のカップルでは、実家が遠いため爺さんばあさんの子育て援助が受けられないので深刻だ。

それにまた教育費の高さも少子化へのインセンティブになる。都会では目移りがするほど各種の塾があり、学齢期の子供を持つ親の見栄もあって学費がバカにならなくなる。

現在でも東京一極集中は続いている。特に20台前後の若者は大学入学や就職で東京を目指す。それ自体は悪いことではないが、東京に何でもあり過ぎるのだ。

いくら地方の良さを伝えても、こういった夢多き若者たちにはどこ吹く風なのかもしれない。さらに故郷を離れる時に期待が大きければ大きいほど、夢破れた時でも「おめおめと帰れない」心境になるのだろう。

結局こういった経済・教育問題や地方からの上京人の心理をも勘案した時、東京一極集中の打破、地方への分散を断行しなければ、この先たとえ菅総理の言う「急速なデジタル化」が進行しても、集中化は変わらないだろう。

今度の新型コロナ対策でデジタルの強みを見せつけられたことは事実なのだが、それは中央にいながら地方とのリモートなやり取りで済むようになったという話だけで、中央本社や中央官庁の分散にはつながらなかった。

分散とは具体的に中央官庁や企業の本社の「機能的構造物自体」が地方への移転を果たさなければ意味がないということだ。

菅さんは秋田県の地方都市の出身であり、「男子郷関を出でて・・・」を地で行くような立身出世を実現し、ある意味、東京一極集中なればこその人生のモデルなので、言い出しにくいかもしれないが、しかし来るべき首都直下型や関東大震災クラスのことを考えれば、もう待ったなしではないかと思うのである。

「激甚災害対応の都市再計画法」(首都分散法)なる法律を制定し、早く地方への移転を促進して欲しいものだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿