鴨着く島

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広島平和祈念式典2021

2021-08-07 21:22:19 | 日本の時事風景
1945年8月6日午前8時15分、アメリカのB29爆撃機に積まれたウラン型原爆「リトルボーイ」が広島に投下された。

一瞬にして8万の市民が、その後原爆後遺症で亡くなった人の数は6万から7万、総計で15万近い無辜の人々が殺戮された。非戦闘員の一般市民を殺害してはならないというのが戦時国際法だったのだが、そのことについてアメリカはいまだに謝罪していない。

欧米人が謝罪しないのはその時に始まったことではない。そもそも相手に謝罪するという文化が無いように思われる。

先日、東京オリンピックに参加していたアーティスティック(シンクロナイズド)スイミングのギリシャチームで新型コロナのクラスタ―感染が発生し、参加を断念するという事案があったが、彼らは「オリンピックの進行に迷惑をかけた。すまない」というようなコメントは出さず、「経緯を調査中である」とだけJOCに届け出たそうだ。

もし日本が他国でのオリンピック開催中にこのような事態を招いたら、主催国の側によほどの落ち度がない限り、主催国に対して「申し訳ない。棄権させて欲しい」と参加を断念したことによる主催国への迷惑を詫びるだろう。

日本が謝罪し過ぎるのだろうか?

戦後の日本はアメリカに謝罪し、アジアに謝罪しまくって来たが、もうやめよう。


今度の原爆忌の前に国連で「核兵器禁止条約」がその効力を発揮し始めたが、日本は相変わらずアメリカの核の傘の下でこそ安全が担保されているという理由で、この禁止条約への署名ををスルーしている。その一方で米英仏ロ中五か国の核保有国以外の保有を禁止する核不拡散条約については署名している。

結局アメリカとの二国間軍事同盟「日米安全保障条約」があるからそうなるのだが、世界から見たら完全な「二枚舌」に他ならない。「核廃絶に向かってたゆみない努力を続ける」という歴代総理の言葉ほど空しいものは無い。

広島の松井市長に望むのは「平和宣言・核廃絶宣言」に加えて「永世中立都市宣言」を「発出」して欲しいことだ。世界の注目を集めるこの広島で、日本のこれからの在りようを訴えるそんな宣言を待ちたいものだ。

小学6年生の男女二人が「平和への誓い」を述べたが、その中の一節は胸を打つ。

「悲しみや苦しみを抱えながらも、被爆者の方々は生きることを決して諦めず、共に支え合い、広島の街の復興に向け立ち上がりました。

本当の別れは、会えなくなることではなく、忘れてしまうこと。

私たちは、犠牲になられた方々を決して忘れてはいけないのです。」

2012年の5月に、当時のオバマ大統領が、アメリカ大統領として初めて広島を訪れたのは、核廃絶に向けて大きな一歩となったが、大統領はは謝罪しなかったという。本人はしたかった可能性があるが、アメリカの原爆投下の大義名分「原爆は戦争終結を早め、百万の犠牲を救った」という公式的見解を曲げることはできなかったのだろう。

謝罪をするということは「自分の非を認めること」。これがアメリカには金輪際できない芸当だ。日本の格言「勝てば官軍」に近い「勝者の奢り」だ。

同じ年の8月に原爆投下の命令を下した米大統領トルーマンの孫が来日し、式典に参列したが、さすがに個人としては「プチ謝罪(後悔)」を口にしていた。

よも忘れじ、15万の礎。