140億年の孤独

日々感じたこと、考えたことを記録したものです。

裸の王様

2010-04-09 05:11:58 | 
ビートたけし「裸の王様」という本を読んだ。
これもブックオフの105円コーナーで購入した。アマゾンでは1円+送料(340円)だ。

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思うに、二極化が進んでいるっていうことは言えるのかもしれない。勝ち組と負け組みが
ハッキリしてきたって言ってもいい。
物が売れる会社と売れない会社に分かれて、売れない方がつぶれてしまっただけ。
売れている方だと、エルメスのバッグが五年待ちで、しかも七十万円だ百万円だといっても
売れてしまう。その一方で、もう仕事がなくて自殺しかないと思いつめている連中がいる。
食い物にたとえたら、ラーメン屋か高級料亭しかないような状態って言えばいいかな。
間がなくなってきた。そういう意味では変な「不況」の状態なんだね。(24ページ)
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「上」「中」「下」から「中」がなくなって「上」「下」の階層に二極化してきている。
「上」が落ちない理由はよくわからない。
「中」がなくなる理由は企業の業績不振による新規採用の抑制により、「正社員」という
地位が相対的に少なくなってきて「非正規」「パート」の比率が増えていることが考えられる。
成果主義の活用によって「正社員」の間でも「勝ち組」と「負け組」に分かれつつある。
「労働市場の流動化が必要」などと言う人もいるが、流動化が可能になるとますます
「下」が増えていくような気がする。

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小遣い五百円という人の大半は、もちろん月給が五万円だから、とかいった理由で
そういう目にあっているわけではない。家で月給が分配されると、家賃、光熱費、
食費から始まって子供の塾の費用だ、下手をすれば女房のカルチャースクール代だ、
と引いていくと、亭主の取り分が、そんなもんになってしまうというのが大半だろう。
それで我慢していても感謝されるわけじゃなくて、家で「汚い」「臭い」と言われる。
屁をするのも鼻をほじるのもひっそりやらなくてはいけない。
そんな状態なら別れればいいじゃないか、と思うのだけれども、人間よく出来たもので、
それはそれで幸せを見出してしまうものなんだね。一時期、企業の奴隷という意味で
「社畜」という言葉を使った評論家がいたけど、それこそ「家畜」と言ってもいい。
(29ページ)
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なるほど、私は「家畜」だったのか。妙に納得してしまう。
「不況」であっても「子供の塾の費用」はなくならないんだよね。全く不思議な不況だ。
そういうのはどこにでもある平凡な風景で、そんな中にも幸せがあったりする、かな。

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銀行がおかしい、というのはバブル崩壊以降さんざん言われている。それは当たり前の
話で、つぶされたのはごく一部だけで、後は次々国から金が注ぎ込まれているんだから。
これは要するに、財務省の役人の天下り先を減らしたくないだけにしか思えない。
天下りの受け皿を作って、働いているフリをしている。金を貸して、貸した相手が
焦げ付いた。仕方がない。国に頼んで金を貰ってくる。国は金を渡さないと銀行が
なくなるんで、そうすると天下り先がなくなるから渡す。こんな八百長の繰り返しが
ずっと続いている。(34ページ)
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「天下りの根絶」などと言っていたが、何も変わらないどころか、ますますひどくなっている。
一方で国の財政が逼迫しているので消費税の税率アップは避けられないなどと言う。
こんなインチキがまかり通るのは変だ。
それで政治が変われば良くなるのかというと良くならなかった。
政治家が官僚に弱みを握られたらアウトだ。
おそらくは小沢一郎は財務省を取り込んで改革を進めるつもりだったのだろうが
財務省と検察に弱みを握られ屈服したのだろう。全く期待外れだ。
それで能無しの前原が政治とカネの関係でえらそうなことを口にしている。
マスメディアも官僚と組んでいるから「八百長」の実体を報道するようなことはなく
全体で何人天下りしたかとしか書かない。
政治家みたいに個人名で特定されないのでやりたい放題だ。
これら政治家と官僚とマスメディアの醜悪な実体を暴く勢力は存在しない。
本丸を攻めないという意味で「評論家」のしていることもインチキだと言える。

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新聞は、もう読んでいないなあ。普通のテレビのニュースか、そうじゃなければ
ニュース専門チャンネルを見ているから、それで用が足りてしまう。(72ページ)
・・・
いまだに入社試験あたりで、「新聞読んでいません」というのは、はばかられるムードが
あるそうだけど、どうなんだろう。昔ならいざ知らず、今時、新聞が主な情報源だ、
という大学生はかえってヤバいんじゃないかね。「新聞を読めない」というのは論外に
しても、「毎日、くまなく読んでいます」という若者は、ちょっと気持ち悪いようにも
思える。(75ページ)
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同じことを何回も書いているが新聞は読んでいない。テレビも見ない。
「新聞を読まないとバカになる」とか言われて育ったが
「新聞に書いてあることを信じる人の方がバカ」と思っている。

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要するに、本物の知識を仕入れようとしたら、今でも書物の方が有効というところは
たくさんあるんだ。ところが、何でもネットと携帯電話で済むと思っている若い奴が多い。
別にそんなの情報化社会とか何とか威張るもんじゃない。単に浅くて早いってだけ。
簡単に手に入るのは大概、情報の上澄み。(78ページ)
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「本物」というのは「好き嫌い」を超えたところにあって
それを体験した本人が無事では済まない類のものだと思う。
そのようにして私はいろんな人のいろんな作品によって打ちのめされてきた。
浅いものは浅いものでいいけどね。
それしか知らないっていうのは、ものすごく不幸なことだと思う。

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「プロジェクトX」で感動している人というのは、ほとんど初めから泣くためだけに
見ているんだろう。中島みゆきの歌が聴こえてきただけで、涙ぐむ人もいるそうだ。
パブロフの犬だね。黒部ダム秘話で泣いている一方で、ニュースを見ながら「長野県に
ダムを作るのはけしからん」なんて言いかねない。
・・・
何としてでも感動してやろうというのが相手だから、あんなふうに「感動的」な
テーマソングと演出を使えば、騙すのなんて簡単だよ。(90ページ)
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感動するということは自分も同じ体験をしたいと望むことなのだろうか?
そうだとしたら「感動だけして何もしない」とか「感動するものばかり求める」というのは
何か間違っているのだと思う。最近は「感動する」ということがあまりない。
本や音楽や映画に感動を求めたりはしない。

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戦前、ソ連に亡命した日本共産党員が、戦後、何十年ぶりかに日本に帰ってきた。
その人の感想は、「皆が車を持って豊かに暮らしている。自分が命がけで亡命したときに
理想としていた社会を日本は実現している。素晴らしい」だったというんだ。
ずっと日本にいて、何かしらの反対理由を探していた共産党員と違って、白紙でみれば、
実に平等で豊かな社会に見えたんだろうね。要するに、かつての共産党が理想としていた
社会は、自民党が実現したということなんだから、一緒になってもおかしくはない、
という理屈。(119ページ)
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政党の理念というものが意味をなさなくなってきていると思う。
「政党の」というより「理念」そのものが存在価値を失っているのかもしれない。
それで自民党と共産党が同じだというなら
自民党と民主党と国民新党と社民党とみんなの党と何が違うのだかわからない。
そして一度は築き上げた「平等で豊かな社会」が失われていく中で
政党に何が出来るのだかわからない。

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本当に問題なのは、今の程度の国会議員をどうして七百人も抱えていないといけないのか、
という方だろう。減らそうっていう話はずっと出ていても、そのルールを決めるのが当の
本人たちだから、実行できるはずもない。
このへんは、天下り先を確保するために、財務省が銀行を潰さない仕組みと実によく
似ている。ここでもわかるのは、日本という国は、網の目のように利権が張り巡らされて
いるということなんだ。それを破ろうというのは相当に難しいんだね。(120ページ)
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国会議員のレベルが相当落ちているが数が減らない。
復活当選とか鬱陶しいから次の選挙から比例区はなしとかにしてほしい。
しかし国家を支えるべき人たちが実際は国家にたかる人たちになっているという
この国の不幸はいつまで続くのだろうか?
一度出来上がってしまった官僚制度というのは恐ろしいほどに機能する。
自分たちを守るために・・・

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「平和ボケと戦争ボケは同じ」とも書いたことがある。平和がいいのは分かりきったことで、
子供でも分かる。そのためにも戦争について考えなくてはいけない。
戦争と平和はコインの裏表みたいなものなんだからね。(128ページ)
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「戦争について考えなくてはいけない」と言われても私には何も考えがない。
そういう意味で「平和ボケ」なのだろう。
得意じゃないんだから仕方がない。

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とにかく日本人はいい加減で、キリスト教だろうがイスラム教だろうが、一神教の
戦争には付き合えないよ。中東なんて空き地になっている広い砂漠だらけなんだから、
あのへんで好き勝手に戦争でも決闘でもやりたいだけやってくれないかね。(158ページ)
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そう、一神教の奴らには付き合えないと思う。

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バブル崩壊とあの敗戦の状況はよく似ている。バブルの最中、「この好景気が終結した
後に、どうしようか」と考えていた銀行があったのか。後先のことを全く考えて
いなかったからこうなった。(161ページ)
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今も同じようなことが続いていると思う。後先のことを考えていないのも日本人だけに
限らなくなった。世界全体がひとつになって好景気に傾き、不景気に傾く。
そして人々は右往左往するしかない。

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昔から繰り返し言っていることだけれど、死についての哲学を持つというのは大事な
ことなんだよ。そこに正解があるわけではなくて、それぞれが自分で考えて
おかなくてはいけないことなんだ。(176ページ)
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人間の致死率は100%だからな。よく考えなければならない。
そして死について考えれば考えるほど今を大切にしようと思ったりする。
知らないことを知りたいと思ったりする。
何かしなければと思ったりする。
そのへんが不思議だね。