万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

豊田まりさんのペンダント万華鏡

2006-06-19 17:35:56 | 万華鏡ブログ
このターコイズが美しいペンダント万華鏡は豊田まりさんの作品です。豊田さんは主にジュエリー万華鏡を製作してきましたが、今回、アメリカのザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションに初参加し、和紙の温かさと丸みを帯びた造形が繭を思わせる作品「コクーン」を発表なさいました。内部に光源を持ち、照明として楽しむこともできます。この作品は二つのミラーシステムを内蔵していましたが、そのうちのひとつはサークルミラーで、オブジェクトがぐるぐるとした模様になって立ち上って来るように見えるものです。私の知る限り、豊田さんの作品にはぐるぐる巻いたもの、渦巻状のものがテーマとなっている作品が多く、昨年末の仙台の3センス万華鏡展に出品された万華鏡でもその個性を発揮していらっしゃいました。このペンダントもワイヤーをぐるぐる巻きつけた装飾が独特です。筒はワイヤーの中で回転するようになっており、内部映像は、2ミラー6ポイントで涼しげなブルー系の映像が展開します。先端部の半透明なガラスを通して光を取り入れますが、透明なオブジェクトの奥にレース模様のように背景のガラスが映りこんで素敵です。コンベンションでアメリカの作家さんにも気に入られ、早速身につけている人がいました。皆さん、気持ちはとても若いけれど、熟年層の作家さんが多いアメリカの万華鏡界ですので、日本から登場した若い感性を喜んで受け入れてくれたと感じました。
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アンティーク万華鏡

2006-06-17 23:26:45 | 万華鏡ブログ
この写真はベーカーコレクションの中でも歴史的な価値のある万華鏡の数々です。実際に中を見ても残念ながら、きれいに見えるものは少ないのですが、発明された当時、大いにもてはやされたということですから、どんな風に見えたのだろうと思いを馳せるのも楽しいものです。
19世紀に科学者によって発明された科学器具のようだった万華鏡が、「哲学的おもちゃ」と言われ、当時のヨーロッパで人々に受け入れられたこと、それが一時期すたれたものの子供のおもちゃとして生き残り、20世紀の終わりごろに今度は工芸運動のひとつとして復活。その後、現代アートとしての万華鏡の歴史はアメリカでやっと30年ほどになります。現代アートの中でどんな位置を占めるかと言えば、多様な素材(Mixed Media)で構成される現代的な3Dアートと定義する人もいます。また見る人の参加を必要とするという意味でインタラクティブなアートでもあります。この現代性が、ヨーロッパでなく、アメリカでルネッサンスを起こした要因なのかもしれません。アンティーク万華鏡からLED光源を内蔵する万華鏡まで、あるいはダイクロイックガラスという新しい素材を取り入れた万華鏡まで、それぞれの時代の人の心を捉えながら変遷していく万華鏡の歴史にもぜひ、目を向けていただければ、さらに万華鏡を楽しんでいただけると思います。
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コージー・ベーカーコレクション

2006-06-16 22:28:02 | 万華鏡ブログ
万華鏡が新しいアートの一形態として認められるようになってきた背景には、その価値を認めた人々の存在があります。代表的な人が、カレイドスコープ・ルネッサンスを率いたコージー・ベーカーさんですが、彼女はダグ・ジョンソンの万華鏡に偶然出会い、その魅力に取り付かれてから万華鏡のコレクションを始めました。一方で万華鏡の本を書き、展覧会を主催。ザ・ブリュースター・ソサエティーを立ち上げ、会長として万華鏡界をまとめ、発展させる大きな功績を残されましたが、その間に集めた万華鏡の数々はコレクションとして自宅に飾られ、会員の人が見ることができるすばらしいホーム・ミュージアムとして多くの訪問者を受け入れてきました。ワシントン郊外の緑豊かな住宅地にあるそのお宅で、ベーカーさんはたくさんの万華鏡に囲まれてお住まいになっていらっしゃいます。とても優雅なうらやましいような生活と思いますが、やはり万華鏡の維持・管理には大変気を遣われたことでしょう。何しろ、ブリュースターの時代の万華鏡からルネッサンス初期の作品、そして現代の作品まで万華鏡の歴史を伝えてくれる貴重なコレクションです。お歳を召されてソサエティーの会長職を退いてから、その膨大なコレクションを展示・保管する場所を探していらっしゃいましたが、なかなかまとめて引き受ける場所が見つからないようで、今少しずつ分散して、その落ち着き先を見つけています。そのひとつが仙台の万華鏡美術館です。コージー・ベーカーコレクションの展示室がありますので、日本でもそのコレクションの一部がご覧になれるのです。残念ながら手にとって覗くことはできませんが、歴史的にも価値のある作品をぜひご覧になられたらいかがでしょうか。
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バラエティーという名の万華鏡

2006-06-15 21:43:08 | 万華鏡ブログ
コーキー・ウィークスの新作Varietyです。文字通りバラエティーに富んだ映像を見せる、楽しみがたくさん詰まった万華鏡です。2ミラーシステム、6ポイントの映像を生み出すのは3本のオイル入りチューブですが、面白いのはこのオイル入りチューブが中央部で2つの部分に分けられていることで楽しみが増えるところです。単に6種類のセルがあるのとは違うのです。境い目のところで2種類の両方ををずらしながら見るのがまた面白いのです。コーキーさんはご自身では覚えていないほど(!)沢山の万華鏡を創ってきた作家さんで、いろいろな作風をお持ちですが、この作品は気楽に楽しめる感じの作りになっています。オブジェクトは「創ったもの」よりも、「見つけてきたもの」が多いのですが、さすがだなと思うオブジェクトの選び方と多彩さで、組み合わせる楽しみを教えてくれる万華鏡です。そして色鮮やかないろいろな材質や形のオブジェクトを外から眺めるのも楽しいものです。
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佐藤元洋さん万華鏡展から(2)

2006-06-14 21:42:15 | 万華鏡ブログ
この見るからに愛らしい小型の万華鏡は手に持って回しながら見る万華鏡です。吹きガラスの白いボディーにガラスケイン(細いガラス棒)の装飾をつけ、全体を透明なガラスで覆うことで、ガラスの厚みを出すと同時に、手の中で回すときにスムーズな動きができます。オイル入りのガラスの球体をオブジェクトセルとしているものは、中のオブジェクトがよく見えるので、佐藤さんの選んだ色合いやバーナーワークによるオブジェクトの面白さをそのまま楽しめます。中を覗くと、白いガラスオブジェクトが効果的に使われていることがわかり、やさしく涼しげな映像がとても素敵でした。球体の場合は奥行きがあるので、オイルの中でゆったりと動くオブジェクトの動きが変化に富んでいて、何時までも見ていたい作品です。
万華鏡を覗いたときの気持ち・感動は人によって、またその日の気分によって違うと言います。だからお約束はできませんが、きっと覗いた人が幸せな気分になるだろうなあと感じました。
佐藤さんの作品はアメリカでもいくつかのギャラリーで作品が紹介されることになりました。吹きガラスの万華鏡作家さんはとても少なく、アメリカではデヴィッド・ローゼンフェルトさんが知られていますが、佐藤さんとは色使い、ガラスの厚みなど感触も異なる作品なので、佐藤さんの作品の魅力に注目する人は多いと思います。ここにも日本発の素晴らしい感性を発揮する作家さんがいらっしゃることをとても嬉しく思っています。
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佐藤元洋さん万華鏡展から(1)

2006-06-13 21:32:22 | 万華鏡ブログ

吹きガラスの万華鏡作家、佐藤元洋さんの作品展が東京、国立で始まりました。アメリカのザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティのコンベンションで発表されたクリスタルガラスの作品のほかに、吹きガラスによるパーラータイプ(脚や台が付いていて手で持ち上げることなく覗ける卓上モデル)やハンドヘルドタイプ(手持ち型)など「佐藤元洋の世界」が堪能できます。存在感のある美しい姿はそのままでも十分素敵なのですが、中を覗いたらまた別の大きな感動が待っています。ブルー系、ピンク系などやわらかいパステルカラーの作品、黒いガラスに銀色の箔が散るシックでお洒落な作品と並んで、この万華鏡は純白の姿が印象的でした。タイトルはInnocenceです。台座の透明なガラスにきらきらと泡が閉じ込められているところも、佐藤さんのテーマのひとつである「水」のきらめきと動きを感じます。内部の映像では独自の魅力的な色世界が展開しますが、白い背景のドライセルだからこそ、その美しさが発揮できる、バーナーワークによる繊細なオブジェクトが選び抜かれて入っています。吹きガラスの工房で協力し合って製作をなさっているガラス作家、尾形かなみさんとの二人展です。作家さんの想いが表現されたガラスの世界はポエムやストーリーを感じさせ、見る人の気持ちを映し出すようです。きっとあなたの心に響く作品があると思います。6月13日~25日まで「アートの庭」で開催中です。http://www1.bbweb-arena.com/artno3/   電話042-573-7555

 

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ボブ&グレース・エイドの万華鏡

2006-06-12 14:50:23 | 万華鏡ブログ
ボブ&グレース・エイドの新作プロダクションタイプ「フィエスタ」Fiesta をご紹介します。彼らはガラスを素材とする万華鏡を1983年から作っています。現在はシアトル郊外に工房を構え、ご夫婦と娘さんで、いくつかのプロダクションタイプと限定版パーラータイプをバランスよく製作しながら、毎年コンベンションでは新作を発表し続けています。限定版では、何種類かの珍しいミラーシステムを試みて、3D映像の可能性を広めました。旅が趣味のこのご夫婦は旅先でしばしばインスピレーションを得て万華鏡をデザインするそうです。このフィエスタも旅先で見た美しいボトルにヒントを得たものだとか。ガラスパネルにデザインしたガラスの模様を焼付け、このパネルを鋳型にあわせ、スランピング加工で形作ります。オブジェクトセルはリキッド入りでランプワークによるガラス細工が入っており、両端を飾りを焼き付けたガラスのノブで閉じています。このノブを回して映像の変化を楽しみます。
手に馴染み易く、またアイホールも(両目用ではありませんが、)大きめで見やすい万華鏡です。ガラスの色も白と黒だけでなく、また、焼き付けられた模様も含め、鮮やかできれいなヴァりエーションが用意されています。それぞれ外部のデザインに合わせたオブジェクトは、ガラスの透明感を感じるきれいな色合いです。思わず手にとって覗きたくなる万華鏡です。
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芽生えの万華鏡

2006-06-11 21:56:25 | 万華鏡ブログ
ランディー&シェリー・ナップ夫妻の木製万華鏡をご紹介します。「スプラウト」Sproutというタイトルがついていますが、「新芽、芽生え」という意味です。 高さ8.3cmという小ぶりな万華鏡は、まさにこれから大きく育っていくような雰囲気があり、「カレイドスコープの若木」と作家も表現しています。またこのネーミングにはもうひとつ作家さんの想いが込められており、それは、この万華鏡から万華鏡への興味を育て、コレクターの人が育ってくれることです。
小さくても通常の作品と同様、彼らの技術を十分に生かした魅力的な可愛らしい作品です。木材部分とアクリルのオブジェクトセルをローズエンジンという旋盤を使い、装飾しています。数年前ランディーさんはイギリスの木工アーティスト、ポール・フレッチャー氏からローズ・エンジンという木工旋盤機について学び、3つの機械をつぶして組み合わせ、自分の旋盤を作り上げました。最近の木製万華鏡はもっぱらこのローズエンジンによる加工、装飾を特色としています。またオブジェクトセルの加工もローズエンジンを使うことで、様々な表情を出しています。
スプラウトのオブジェクトセルはオイル入りで、シェリーさんのランプワークによるガラス細工が入っています。特徴的なのはオブジェクトセルのトップの部分だけが透き通っていて、中のオブジェクトを上から直接見ることができるところです。筒全体を回して映像の変化を楽しみます。2ミラーシステムで4ポイントの映像というのも彼らの作品としては珍しいかもしれません。上質な表面反射鏡とレンズの使用により、短い筒の長さにも拘わらず、くっきりとした映像を見せてくれます。木材の種類も何種類かあるそうです。
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シークレット・ガーデン工房の万華鏡

2006-06-10 18:32:38 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介したSojourn の内部映像です。美しいですね。外部のデザインに使われたセラミックも一部オブジェクトになっています。
デュレット夫妻は多様な素材の良さ、面白さを生かした万華鏡作家として、その実力を認められています。たとえば木とアンティークガラスやステンドガラスとの組み合わせ、手描きのガラス、タペストリーの生地、手作りの紙、金属、いくつかの木材を組み合わせて薄いシート状にしたものなど、限定版だけでなく、プロダクションタイプにも個性ある表現を数多く見せてきました。オブジェクトもランプワークによるガラスオブジェクトから、ドライフラワー、ワイヤー細工、特徴のあるビーズなど多岐にわたり、多くの人を魅了する美しい映像を生み出してきました。 ドライフラワーは彼らの工房名である「シークレット・ガーデン」を印象付ける美しい花園を見せる万華鏡のオブジェクトとしてオイルタイプ、ドライタイプともに多くの人に楽しまれてきました。プロダクションタイプでは、いくつかの定番が製作中止となり、コンベンションで久々の新作が発表されました。ファンにとっては登場が待ち遠しいですね。
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ルーク&サリー・デュレット夫妻の万華鏡

2006-06-09 19:00:23 | 万華鏡ブログ
これは今回のコンベンションで発表されたシークレットガーデン工房のルーク&サリー・デュレット夫妻の新作、「Sojourn」です。一時逗留とか一時滞在という意味ですが、しばし違う世界に心を遊ばせるという意味を持たせているのかなと解釈しています。この限定版の万華鏡は、シークレットガーデン工房の名作「オーロラ」という作品を思い起こさせる造りです。6辺形のボディーはメープル材と、表面が透明なガラス状のセラミックのパネルを組み合わせた個性的な造形作品となっています。覗き口が大きく、またオイルセルも大きめなので、2ミラーシステムを通して、7ポイントの変化の多い大きな映像を展開します。セラミックパネルの色合いに合わせて内部映像はオレンジとブルーが基調となっており、ルークの美しいガラスオブジェクトによる色の饗宴が楽しめる作品です。デュレット夫妻の限定版万華鏡は、様々な工芸に通じた高い技術を生かして、美しく高品質な作品が多いので、コレクターの方たちの注目を集めています。内部映像は次回ご紹介します。
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