万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

ユニークなオブジェクトセルの仕組み

2006-10-30 21:09:44 | 万華鏡ブログ
10月18日に映像をご紹介した「磁石で遊ぶ万華鏡」マグニトーです。木製の持ち手のついた磁石部分をオブジェクトセルから抜いてみたところです。いくつかオブジェクトがくっ付いたまま出てきましたが、中にもまだ残っています。金属系のオブジェクトが磁石に引きつけられるのは当然ですが、ガラスオブジェクトもたくさん入っています。手前に見えるのがそのガラスオブジェクトの裏側で、付いているのは時計の部品に使われている金属です。ガラスやビーズなどには、このように裏側に、時計の細かい部品が接着されているので、ガラスの表面が見えるようにこの磁石ににくっ付くのです。この磁石の棒をセルの中で回したり、引っ張ったり押したりして、映像の変化を楽しみます。本当に面白いアイディアです。
余談ですが、この磁石はアルニコ磁石という種類の強力な磁石です。この万華鏡で使われているカウピル・マグネットは、もともと牛に飲みこませて、胃内の針金など鉄片を束状に吸着させ創傷性心膜炎を予防するために使うものだそうです。
どこで、このカウピル・マグネットと万華鏡のアイディアが結びついたのか、パレッティー夫妻に聞いてみたいところですね。
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和風のテーマが素敵な万華鏡

2006-10-29 21:20:49 | 万華鏡ブログ
この作品は木村えみ子さんの和風のモチーフで作られたステンドガラスの作品です。テーマは安寿と厨子王だそうです。黒いガラスに装飾された旅姿の女性のデザインが目を惹きますが、さらに、オブジェクトケースの中のガラスオブジェクトの美しさは、外観のデザインとしても見逃せないポイントです。
バーナーワークによる長めで少し丸みを帯びたオブジェクトは、中であまり動き回ることはありませんが、ワンドを回転させて映りこむ色合いの変化を楽しみます。
ミラーシステムは薄い菱形に組まれているツイン2ミラーと呼ばれるもので、2つの中心を持つ映像を生み出します。ピンクを中心にやわらかく、落ち着いた色合いの映像が展開されます。
色彩感覚に国民性がどのくらいあるのか、万華鏡を覗いてよく疑問に思うのですが、やはり日本の作家さんとアメリカの作家さんでは、違いがあるように感じます。木村さんもアメリカの万華鏡のコンベンションで、いろいろな作品をご覧になったと思いますが、ご自分が選ぶ色合いはやはり和風かなあと感じているそうです。きれいさ、組み合わせの丁寧さでは日本の作家さんの映像は素晴らしいと思いますし、ユニークなアイディアや個性の強いオブジェクトを選ぶ点では、アメリカの作家さんが目立っているかなあと思いますが、皆さんの好きな作家さんはどうでしょうか。
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オルゴールと万華鏡

2006-10-27 22:24:40 | 万華鏡ブログ
京都万華鏡美術館の展示品から依田満さん、百合子さんご夫妻の「クリスタルオルゴール」をご紹介します。早くから視覚、聴覚、そして時には香りを添えて嗅覚にも気持ちのよい万華鏡を創り提供してきた作家さんです。
この作品は、アクリル製の透明なケースに収められたオルゴールと万華鏡が組み合わされています。ネジを巻くと動き始めるオルゴールの回転を、ギアで万華鏡の先端にあるオブジェクトセルに伝え、オルゴールがなっている間、オブジェクトセルも回転し、映像の変化を楽しみます。このような仕組みはエンジニアだった依田満さんのお得意とするところで、大型の作品でも、音楽と映像の組み合わせを楽しむためのもっと複雑な仕組みも考案されています。
オルゴールの動きやオブジェクトセルの動きが外から全て見える作品ですが、丁寧なつくりで、きれいさと面白さを兼ね備えています。百合子さんのガラスオブジェクトが生み出す美しい映像効果と、オルゴールの音楽による心地よい刺激が合わさって、確かに心に沁みてくる優しさを感じます。万華鏡映像の変化の魅力と音楽には、共通点を見い出す人も多いのですが、実際に組み合わせるとき、オルゴールの音は特によく合っているように思います。
 
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3次元の広がりがある万華鏡映像

2006-10-25 15:55:55 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介した中村和正さんの立方体の万華鏡の内部映像です。写真ではなかなか無限を表現するのが難しいですが、箱の中には永遠に続くような球体の映像の列が見えます。ふたつのオブジェクトが交互に写りこんで並び、その列が3次元の映像となってずーっと広がっていきます。どこかで4次元の世界に入り込んでしまいそうな気がします。
オブジェクトセルを回すと、それぞれの球体のパターンが変化します。変化の面白さと繰り返しの面白さです。
ミラーの反射が繰り返しを生み出し、映像の形を決め、オブジェクトがそこに変化を生み出すという万華鏡の基本的スタイルながら、どこか変わった印象を受けるのは、このミラーシステムが立方体に組まれた6ミラーで、結果的にふたつの4ミラーシステムが垂直方向に重なったのと同じ状態になっているからだと思います。その箱の隅を覗き込むような視線がこのような映像を生むのだと思います。
もう一点同じミラーシステムで、立方体のふたつの辺にワンド状のオブジェクトを置いた作品がありましたが、こちらはふたつのオブジェクトの映像が交差する空間を生み出していました。不思議な世界でした。
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万華鏡が立方体になると・・・

2006-10-24 22:58:04 | 万華鏡ブログ
「万華鏡in Fuji」展から、中村和正さんの立方体の万華鏡です。さまざまなミラーシステムに挑戦なさっている中村さんらしい、ユニークな作品です。オブジェクトは右の角にあるステンドガラスをちりばめた球体がひとつ。そしてもうひとつが立方体と台座部分との間で光って見えているガラスの球体です。どちらも角を切り取るように取り付けられています。てっぺんの三角形にあいているところがアイホールで、覗き込むとふたつのオブジェクトの動きが同時に見える仕組みです。ひとつのミラーシステムでふたつのオブジェクトが見られるのは面白いですね。
台座の中に光源を入れているので、オイル入りのガラス球は明るく輝いて、映りこみます。どんな映像になるか、想像してみてください。

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白鷺の万華鏡

2006-10-23 19:15:59 | 万華鏡ブログ
アトリエ・ロッキー万華鏡館には、多くの素晴らしい作品が展示されていますが、そのひとつ、ザ・シーパロット工房の大型作品をご紹介します。ステンドガラスの色合いが素晴らしく、大胆な構図が目を惹く作品「白鷺」Egretです。コージー・ベーカーさんの本に紹介されていることからも、この作品が彼らの代表的な作品のひとつであることは間違いありません。
置いておくだけでも美しいステンドガラスの造形作品は、3つのミラーシステムをもち、大きなアイホール(写真右側の側面)から美しい絵画のような映像の広がりを見ることができます。オブジェクトはさまざまなガラスをはめ込んだ装飾はんだの美しい大きなシリンダー。ゆっくり回転させて、映像の変化を楽しみます。それぞれ種類の違うガラスオブジェクトは、その瞬間の光の当たり方や通し方によって色合いや輝きが変化するので、繰り返しの映像であることを感じさせません。自分達の作品がずっと愛される作品であってほしいと願いながら、ガラスの美しさを追求する作家さんです。
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ホットドット、輝く映像の秘密

2006-10-22 16:56:56 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介したパレッティー夫妻の万華鏡「ホットドット」の内部映像です。写真でうまくお伝えできているかわかりませんが、赤や緑の点が発光しているように輝いています。特別な光源があるわけでもないのに、映像全体が光を発するように見えます。
オブジェクトになっているのは、ガラスファイバーの棒の先端にガラスピースやジェムストーンを付けたもの。光を集めて、先端部で発光するので、映像に輝くポイントとなって映りこむのです。暗い場所でも光を集めてそこだけ輝く面白みもあります。オブジェクトの色合いにもより、光の色、輝きもさまざまです。
背景部分にはクリアーな細かいビーズの流れるような動きが加わります。大変きれいでユニークなアイディアです。セルの奥行きがあって、映像が立体的に見えるところ、光の当たり具合で、さまざまな表情を見せるところ、そして外から見ても楽しそうなデザイン、加工の技術の高さが感じられることなど、おとなが楽しめる高品質な作品です。彼らの作品は、2ミラー5ポイントの作品が多いのですが、これもそのひとつで、第3面にスカラップ状に、木材に溝を入れており、映像にこのように映りこむのが特徴です。
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水玉模様の万華鏡

2006-10-21 23:36:32 | 万華鏡ブログ
赤地に黒い水玉模様が可愛らしく、またオブジェクトケースの中のカラフルな棒が楽しそうな万華鏡は、トム&キャロル・パレッティー夫妻の定番作品「ホットドット」Hot Dotです。「ユニークで楽しい万華鏡を創り、みんなに楽しんでもらいたい」という作家の想いが伝わってくる作品です。筒を持ち、先端のオブジェクトセルを回転させて、映像の変化を楽しみますが、滑らかな回転も心地よく感じられます。
2色のアルミニウムを2層に巻いて、上だけ丸くカットしてあるので、下の色が水玉模様になって見えています。真鍮の金色の輪がアクセントになったお洒落なデザインです。覗き口やオブジェクトセルの上下にあしらわれた木材もとてもきれいに加工されています。
万華鏡本体の1/3を占める長くて透明なオブジェクトセルには、細かい白砂のようなガラスビーズと、カラフルな長いガラス棒が見えています。通常のオブジェクトとはちょっと違っているところがこの作品の特徴で、外見だけでなく、大変ユニークな映像を生み出すのです。ぜひご紹介したいと思いますので次回をお楽しみに。
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お神輿の万華鏡

2006-10-20 21:33:12 | 万華鏡ブログ
秋祭りの季節、「万華鏡in Fuji」展(22日まで開催中)から、木村えみ子さんの「神輿」をご紹介します。一見して万華鏡であることは分からない精巧なステンドガラスのお神輿です。
神輿のスケッチから立体のバランスを逆に計算し、屋根の部分から製作を始めたそうですが、そのバランスをとるところが一番大変だったそうです。屋根の下の部分の細かい装飾はんだのデザインの凝っていること!台座の部分は、透明ガラスの奥に銀紙を置いて、深みのある質感にするなど、時間をかけて、細部まで工夫を凝らした本体です。
屋根のところから2つのミラーシステム(2ミラーと3ミラー)を通して覗き込みます。鳥居の奥の御神体の部分がオブジェクトセルになっています。オブジェクトは、オイル入りのシリンダータイプで左右の取っ手を回して映像の変化を楽しみます。内部に光源があり、映像に輝きをあたえていますが、外からもガラスを通してほんのり明るく見えます。 お祭り好きだったご親戚の方を思いながら製作なさった日本情緒あふれる作品です。お祭りの調べが聞こえてくるような気がしますね。この作品は、今年のザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションで初出品なさったものです。木村さんはほかにも歌舞伎や昔話をテーマに、日本的なテーマの作品を創っていらっしゃいます。
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ブッシュスコープ

2006-10-19 21:30:36 | 万華鏡ブログ
アトリエ・ロッキーはもともと、オーナーの伊藤尭さんのユニークな手作り万華鏡と、国内外の著名作家による作品のコレクションが展示され、万華鏡造りを体験できる工房として6年前から今までに、すでに10万人のお客様を迎えたそうです。 一昨日ご紹介いたしました本格的な巨大万華鏡以外にも、見どころはたくさんありました。その中から、貴重なアンティークスコープである、チャールズ・ブッシュ製作の万華鏡をご紹介いたします。この万華鏡はアメリカで、19世紀の後半に製作されたもので、コージー・ベーカーさんのコレクションの中から、伊藤さんが譲り受けたものです。130年前の万華鏡が、現代万華鏡と一緒に並べられていて覗くこともできるのですから、感激です。ちょっと怖くてそっと覗いてみました。さすがに内部は現代万華鏡には及びませんが、歴史的な作品としては、良い保存状態だと思いました。
ブッシュスコープの外観の特徴は、このとおり、黒い厚紙の筒、船の舵を思わせるオブジェクトチェンバーの形ですが、分解できる4脚の木製スタンドも特徴的です。当時、2ドルという価格で何千と売られたそうですが、現存するものはあまり多くないと思われます。カレイドスコープルネッサンスの盛り上がりの中で、品質の良いレプリカも売られていましたが、それももう生産する会社がなく、万華鏡の歴史上に記憶される万華鏡になりつつあります。
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