万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

伝承する工芸と独創的なオブジェクトセル

2014-10-27 15:03:45 | 万華鏡ブログ

前回に続いて溝口好晴さんの作品をご紹介します。
上の作品は「源氏物語 紅葉賀」というタイトルです。
装飾を施された美しい料紙に溝口さんご自身が文字を書かれています。 平安時代、こんな美しい紙に源氏物語は記されたり、絵巻として残されたりしたのですね。その世界を万華鏡のテーマにしています。

次の作品は「経筒」です。 筒を飾るのは、華麗な料紙に溝口さんご自身の手になる般若心経の二百七十六文字です。



昔の人が祈りを込めて経典を収めた筒をイメージして製作、万華鏡の外観とし、内部には極楽の世界を表現するために、金、銀、瑠璃、水晶、珊瑚、真珠、瑪瑙などがオブジェクトとして使われています。 

さまざまな、木材の木肌が見える万華鏡の数々。 きれいに磨かれて、シンプルながら、存在感を示しています。 



これらの作品は、それぞれ一点ものであり、映像にも工夫があります。
それは、オブジェクトセルの中にあるオブジェクトがユニークなことです。 
薄くてきれいなさくら貝をオブジェくとに使った作品の映像は、半透明ながら光を通す「さくら貝」の重なりが美しく、一輪の桜の花が次々に姿を変えて登場します。色の違いも自然なままです。

ラピスラズリを入れた作品には、青く輝く映像。 光をオブジェクトセルのサイドから当てるときらめき感が増します。 細かい螺鈿の貝もきらめきとなります。

そして極めつけが次の作品です。

木肌の様子もユニークですが、オブジェクトもユニークです。 映像はこんな感じです。

何と、タイトルは「玉虫」。 オブジェクトは「玉虫の翅」です。やはりオブジェクトセルのサイドから光を当てると、こんなに幻想的な輝きの映像が見えて来ます。

溝口さんはガラス以外にもこのように自然の中で見つけた素材を取り入れています。
それが手作りの筒にもよく合って、素敵な作品に仕上がっています。
煤竹をそのまま筒に使った小さめのテレイドスコープも味わいのある雰囲気を醸し
出していました。 いずれも丁寧な手仕事に感服いたしました。

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工芸美を尽くした万華鏡

2014-10-25 13:14:34 | 万華鏡ブログ

久しぶりに溝口好晴さんの万華鏡展に伺いました。
この可愛らしい木目込み人形「葵ちゃん」も万華鏡です。 頭のリボンをそっと抜くと、そこがアイホールです。

とても夢のある作品ですね。 
繊細な色模様の映像も魅力的です。

溝口さんは日本の工芸の技術をいろいろ学ばれている方で、いつも多才な技に驚かされます。
漆と蒔絵の美しい次の作品は茶入れの万華鏡。 タイトルは「琳派」です。椿の花が美しく描かれています。 外観からは万華鏡であることは分かりませんね。

伝統的な工芸の美を生かした作品です。 映像も素敵な色合いでした。

次の作品も木目込みです。 象牙の蓋を取ると覗き口になっています。



覗き口が小さめなので内部の撮影は難しかったのですが、アートグラスを背景にガラスオブジェクトが動きます。 背景のガラスの質感も映り込み、透明感のある映像展開です。

螺鈿の美しい黒い鼓型の作品は、べっ甲の飾りがアクセントになって優雅な雰囲気です。 

中にはたくさんの桜が咲き誇ります。

溝口さんによると、ご本人は漆に負けない”特異体質”だそうで、これからも漆を使った万華鏡の新作を製作予定だそうです。

次回も溝口さんの多才な技術で、工芸の美を尽くした作品をご紹介します。

この作品展はフィオーレの森「星のミュージアム」で10月27日まで開催しています。
神奈川県川崎市高津区久本2-8-31 044-888-1918
東急田園都市線 溝の口駅、JR南武線 武蔵溝の口駅 徒歩5分

11時~6時(最終日午後4時まで) 作家さん在廊です。

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押し花ホイールから生まれる万の華

2014-10-14 18:22:26 | 万華鏡ブログ

万華鏡は見るものを鏡の反射という作用で、繰り返しのある、均整のとれた模様を生み出し、見えるものは星や花にたとえられる模様に変わるので、万の華を見る鏡と名付けられたのではないかと思います。
今日ご紹介する作品は、自然の花を閉じ込めたホイールをオブジェクトとしています。 閉じ込められた花や実や葉がさらに「万の華」となって、いくつもの映像となって広がり、美しい景色を展開するのです。

名古屋の万華鏡専門店Prism さんと、押し花アーティストのMikusaさんのコラボレーションの万華鏡です。ホイールはスムーズに回転させることができるので、目の前の花模様の変化が気持よく楽しめます。

ネジで留められたホイールは交換も可能ですし、一方、押し花のホイールはひとつとして同じものはない手作りですから、選ぶ楽しみもあります。 ミラーシステムも2ミラーや3ミラーを選べるので、こちらも選ぶ楽しみがあります。

美しい万の華の景色をご紹介しますね。

実はこの作品は結構小さな万華鏡です。筒の長さは10cmです。でもその小ささと花いっぱいのホイールが可愛らしく、目を惹くし、手に取りたくなる万華鏡です。
Prismさんによると、これからもコラボレーションでいろいろな作品を生み出していきたいとのこと。楽しみです。

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パート・ド・ヴェールの万華鏡 

2014-10-13 13:39:25 | 万華鏡ブログ

入場制限もあったほど、多くのお客様を集めたBunkamura での万華鏡展で、今年も堀越順子さんの作品を拝見しました。堀越さんはパート・ド・ヴェールという技法でガラスの万華鏡を製作なさっています。 専門的に万華鏡をこの技法で創る方は他にあまり知りません。 万華鏡ゆえの製作上の難しさもあるかと思いますが、乗り越えながら作品を発表なさっています。

今年もいろいろなことに挑戦なさったようで、 珍しい形の作品がありました。 大きな滴のような形の作品です。 左が「虹 fuku」、右が「虹 shu」です。 二重の虹を表現なさったとのこと。


どちらの映像もやわらかく優しいのが堀越さんの映像です。 ガラスを通しての光が為す技なのでしょうか。 美しい自然に囲まれた工房で育まれる作家さんの感性なのでしょうか。


もう一つの挑戦は、大きさと重さだそうです。 手のひらサイズの万華鏡からスタートなさった堀越さんが、重さを抑えつつ、大きさに挑戦するという努力の結果生まれたのが、次の「薫シリーズです。 筒の部分に、部分的に切り込みのような空間を作ることで、重さの軽減とデザインの面白さに繋がりました。

奥から「薫 nioisumire」「薫 yamazakura」「薫 wasurenagusa」

乳白色の背景に柔らかく、やさしい映像が展開します。 それぞれの花のイメージを膨らませながらオブジェクトを選ばれていますね。

このオブジェクトケースは、マグネットで固定されていて、そのマグネットを中心に回転させることができます。 着脱可能で、黒い背景のオブジェクトケースも用意されています。 

いかがですか? 背景の色の違いでずいぶんと伝わる雰囲気も変わりますね。 
八ヶ岳のふもとの工房で、厳しくも美しい自然の中で生まれる万華鏡には、色や形のほかにたしかに感じられる何かがあると思います。 それが「薫」、「輝」、「香」、「彩」シリーズなどの作品に表現されています。
(写真は作家さんにご提供いただきました。)

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四分儀座流星群を見に・・・

2014-10-10 16:55:42 | 万華鏡ブログ

この作品は、依田満さん・百合子さんの最新作「四分儀座流星群」という作品です。 8月に放映された「クロスロード」の中で、創作の様子が撮影されていました。 ベネチアンガラスの筒を覗いて、その映り込む模様から、宇宙を表現するというコンセプトが生まれたようです。
空を見上げるように覗くというスタイルが提案され、台座には天体観測などに使われる四分儀をデザインしました。 
依田さんが今までにテーマとして取り上げた時計・和時計や古代の天球儀(アンティキティラ)などいずれもそれ自体が美しくデザインされた機能美を見せていますが、この作品でも、アクリルに端正に彫り込まれた四分儀の台座は、万華鏡のテーマを表しつつ、アート作品としての品のある美しさに結びついていると思います。
(写真は放送の一部を映したものです)

映像に関しては、依田さんのウェブサイトの表現によると、「天体の高度を測定する「4分儀」をデザインした万華鏡で覗くと3大流星群のひとつの4分儀座流星群をイメージした映像が目に飛び込んできます。」とのこと。 そういう名前の流星群があることを知りました。

この作品は予定されている次の作品展で見せていただけるようです。 素晴らしい依田さんの万華鏡の世界を楽しめると思います。

(1)「依田満・百合子 万華鏡展示販売会」 

場所: 日本橋三越本店 5F センスィズ コーナー
期間: 10月15日(水) から 10月21日(火)
時間: 10:00 ~ 19:00

(2)「依田満・百合子 万華鏡展示販売会」 

場所: 新宿伊勢丹本店 5F
期間: 11月12日(水) から 11月18日(火)
時間: 10:30 ~ 20:00

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揺らぎと移ろいが魅力

2014-10-03 22:14:56 | 万華鏡ブログ

細野朝士さんの最新作「偏光万華鏡 F シリーズ」から今日は4ポイントの作品をご紹介します。 外観のスタイルはいつも通り、シンプルでスタイリッシュです。
飾りけのない、しかしスマートで無機質な感じのこの筒の中に、思いがけず豊かに変化する色の世界が存在することを教えてあげたくなりますね。 偏光万華鏡だからこその光の揺らぎを感じながら、楽しんでもらいたいです。

このステンレスの筒の中にミラーシステムとオブジェクトセルが組み込まれています。 オイルセルなので回転させても音はしないはずですが、何か聞こえます。
音をさせるものは見えないけれど、オイルの中のオブジェクトの動きにさらに変化を加えるためのアイディアが組み込まれた、とても斬新な作品なのです。

細野さんの生み出す4ポイントは、いつも映像デザインとしても素敵なのですが、ミラーの組み方とオブジェクトの創り方へのこだわりがそれらの映像を生み出しています。
そして、この作品の場合はオイルと光の揺らぎに加えて、色の移ろいが魅力です。

F シリーズの最大の、そしてとても斬新でユニークな特徴は、筒を回転させると、背景の色が黒→グレイ→白→グレイ→黒へと変わるところです。 その過程で、浮かび上がる偏光素材のオブジェクトの見え方も変わっていきます。

筒を回していくと、背景が白っぽくなってきました。 光の為す技と細野さんの技が組み合わされて、まったく違う万華鏡を見ているようです。

光の取り込み方がいつの間にか変わり、背景が白くなってくると、淡い色合いの、重なり合いが美しい映像に変化します。

とてもひとつの万華鏡からとは思えない、多彩な映像表現、またその移ろいの魅力は細野さんの追求する偏光万華鏡の最先端のように思えます。 

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