万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

スギッチさんのカレイドスコープ

2017-01-17 14:03:44 | 万華鏡ブログ

今日はデヴィッド・スギッチさんの作品をご紹介します。ステンドガラス製のワンドスコープや、3D映像を生み出すミラーシステムが特徴の作家です。1月25日から始まるプレリュード 展(*)でも作品をご覧になれます。

(*)プレリュード展は5月に開催される2017BKS万華鏡世界大会のプレイベントとして、1月25日~2月19日まで東京国際フォーラム内のアート・フォーラム・ショップで開催される万華鏡展で、世界大会参加予定の作家の作品が展示・販売されます。

上の映像はNova Hexagonal という作品の映像です。 ヘクサゴナルというのは6つの辺からなる図形で、この映像の青くて太いラインが作る形を意味しています。この太いラインは外側のステンドガラス面に組み込まれたワンドを内側からテイパードミラーシステムで映し出したもの。全体が球体になっていて、立体的に見えます。

先端部はガラスの球体で、周囲の模様を取り込むレンズの役割をします。装飾はんだできれいに飾り付けています。
そして白いガラスの面は光を通します。虹色の立体的な細いラインが浮き上がるのは、白い面に光を受けるように持った時です。

白い面にライトを当てて動かしてみると、見える景色がダイナミックに変わります。

光と鏡とちょっとした仕掛けでこんなにユニークで迫力のある映像世界が見えるのが面白いですね。写真以上に実物は迫力があります。 スギッチさんのカレイドスコープはオブジェクトはほとんどワンドタイプです。 バーナーワークで創るオブジェクトに力を注ぐ作家さんも多い中、彼はミラーシステムで勝負するタイプです。ミラーのマジックを楽しみ、覗いた人が驚く、そんな作品をいろいろ生み出しています。

スギッチさんの定番はワンドをオブジェクトとし、その流れをミラーシステムを通して楽しむものです。緑色は「イン・ヤン」という作品で、ひし形に組まれたミラーシステムから2つの中心映像のある模様を生み出します。2つの映像の流れる方向が反対なのが、とても面白い万華鏡です。陰と陽ですね。

ピンクとブルーの作品は「インサイト」です。二等辺三角形に組まれたミラーシステムを通して、大きな映像とそれを囲む小さな映像が流れるように変化していきます。

ワンドは、中のビーズが大きいもの、小さいもの、スパンコールが入っているもの、天然石の粒が入っているものなど、それぞれ見せる映像の表情も違ってきます。 スパンコールの入ったものは、鏡の向こうに花火が打ち上げられたみたいで、初めて見る人はみなびっくりします。

狭い角度の二等辺三角形やひし形から生まれる映像はとても細かく、繊細な色の流れを楽しむ万華鏡です。

もうじきお披露目になる万華鏡世界大会のポスターにも、彼の迫力のある映像がデザインに使われています。お楽しみに。

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コージー・ベーカーさんが拓いた万華鏡世界大会への道

2017-01-05 12:50:34 | 万華鏡ブログ

新年あけましておめでとうございます。
今年はいよいよBKS万華鏡世界大会in京都の年。 万華鏡ファンの方も、まだ現代万華鏡を知らない方も、海外からのお客様も、そして参加する作家さんも楽しんでいただけるような会となるように願っています。ウェブサイトでご紹介していますので、ご覧ください。 www.bks2017kyoto.com

今日はブリュースター・カレイドスコープ・ソサエティの創始者、コージー・ベーカーさんの話をご紹介したいと思います。

コージーさんがご自分の万華鏡史を語られた文章からわかるのは、誰にでもありそうな万華鏡との出会いがあったこと、情熱を傾けるものを見つけたこと、そして、一番素晴らしいのは、そこから自分の力で一歩踏み出したことです。

コージーの万華鏡ヒストリー
~コージーの万華鏡への関心はどのように始まったか~
2004年6月30日 

 1983年、「悲劇を乗り越えて」“Triumph over Tragedy”という講演をするために訪れたテネシー州ナッシュヴィルのクラフトショップで、私の最初の万華鏡(ダグ・ジョンソンの作品)との出会いがあり、買い求めました。帰りの飛行機に乗っている間ずっとこの小さな万華鏡を見つめ続け、急いで家に戻ってからお気に入りのドビュッシーやラベルの音楽をかけて、また覗きました。私はこの万華鏡を見てとても感激したので、私の発見した新しい「素晴らしい驚き」“Wonder of Wonders”を見せたくて12名ほどお招きしてディナーパーティーを開きました。そのお客様の一人が私にスミソニアンマガジンの記事を読んだかと尋ねたのです。読んでいないというと、彼女は1冊送ってくれました。その記事に7名の万華鏡アーティストのことが書かれていたのです。どのあたりに住んでいるかは、その記事からわかりましたので、電話帳でさらに調べました。そして一人一人を訪ね、できる限りのことを教えてもらいました。どこで売られているのか、どんな人が買うのか、ほかにも作っている人たちがいるのか・・・その頃作家の人たちは、作品を主にアートやクラフトの展示会とか、地元のギフトショップなどに置いて、地元の人に知ってもらうことを目指していました。どんな手がかりでもあれば、私は置いてあるという店を訪ね、万華鏡を買ったお客様について質問しました。そしてその人たちを探し出し、また、他に売っている店の情報を得ました。私はもっともっとたくさんのことを知りたいと思いました。

 連邦議会の図書館に勤めていた友人が、万華鏡のリサーチをしたいという私を連れて行ってくれたので、新聞や雑誌の記事の目録から万華鏡に関するものを探し出しました。ここでもどんな手がかりも見逃しませんでした。そしてカレイドスコープという言葉がタイトルに使われた18冊の本を見つけましたが、1冊として万華鏡について書いた本はありませんでした。私は思いました。「まだ本が出ていない分野で新しい情熱を見出すことができるライターはとてもラッキーだわ。世界で最初の万華鏡の本を書いてみよう。」 しかし次にこう思いました。「でも私はいったい何を書くの? 他に本は無いし、万華鏡もちょっとしか手に入らないのに」・・・・ そして私はケープコッドから旅を始めたのです。そこで私は万華鏡アーティストのジョン・カルバー John Culver に会い、今度はカリフォルニアに向かいました。万華鏡の専門店で万華鏡のカタログまで出しているライトオペラカンパニーのオーナー、エリック・シニツァー Eric Sinizerに会うためでした。そこで私は何年も万華鏡を集めているというパット・シーマン Pat Seamanにも会いました。出会いは、また別の名前や情報源へと繋がっていくものです。そうするうちに私はいろいろな人から電話をもらうようになりました。「あなたが万華鏡に興味を持っていると聞いたのですが・・」と。私はますます学びを深め、記録をとり、万華鏡を集め続けました。

 ある日友人から連絡があり、ストラスモアホール アートセンターの所長さんを私のコレクションを見せにつれて行って良いだろうかと尋ねられました。もちろんお受けしたのですが、エリオット・ファンシュテール Elliot Phansteihl はコレクションにとても喜んで、万華鏡展を開く手伝いをして欲しいと言ったのです。私はもちろん大変嬉しく、時期を同じくして、私の最初の本の発行と最初の展覧会がなされることになったのです。(1985年9月のことでした。) 私が本に書いた40人の作家のほとんどがこの展覧会に参加しました。彼らはみなとても気さくな良い人たちで、しかもとても熱心だったので、私は万華鏡愛好家の組織を始めることにしたのです。これがザ・ブリュースターソサエティーの誕生です。そしてその続きはみなさんもご存知のとおりというところです。

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