万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

木材の生み出す曲線美

2010-05-30 23:56:51 | 万華鏡ブログ
木肌の色合いの組み合わせと、ボディーを絞った曲線美がとても目を惹く素敵な万華鏡は、マイケル・コリアさんの「マジック・メーカー」という作品です。今までは筒の部分は、色の薄めの1種類の木材で、両端が濃い色に統一されたデザインでしたが、少し趣を変えて、色の違った数種類の硬材を組み合わせ、削ることによってラインの面白さを演出しています。この万華鏡は高さが20cmほどあります。筒全体を回して映像の変化を楽しみますが、中央部分がくぼんでいるので、手になじみ、とても持ちやすいです。横から光を取り入れる「サイドリットSide-lit」というタイプで、黒い背景に生き生きとした動きやくっきりとした模様を映し出します。

コリア工房の万華鏡のトレードマークになっているのが、独特のオブジェクトたちです。いろいろな色のポリマークレイのオブジェクトは一つ一つ手作りで、立体的なので、映像も立体的に、くっきりと見えます。
上の写真の周りに映っている粒状の透明なオブジェクトもよく使われますが、水の泡のように見えて、透明感と柔らかい印象を映像に与えます。

横から明るい光を当てると、さらに鮮やかさを増し、表情が変わります。
色や形も特徴的ですが、映像そのものの変り方が何とも言えない魅力を持っていると思います。 写真では難しいけれど、オイルの中をゆったりと、おおらかに動くオブジェクトの感じが独特なんです。ちょっと筒を回しては止めて、オイルの流れにまかせて見ると、まるで生きているかのように、そしてこんな模様はどうですか?というように、次々と模様を変えて目を楽しませてくれます。オイルセルの万華鏡を創る作家さんは多いし、5ポイントというオーソドックスなミラーシステムですが、この個性はやっぱり際立っています。
コリア工房の“味”はデヴィッドさんから息子のマイケルさんにしっかりと引き継がれていくのですね。

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WOW!と微笑みの交流

2010-05-26 19:22:03 | 万華鏡ブログ

このブログでも何度か話題にしていますが、ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーという万華鏡の国際的組織があります。 万華鏡の作家、コレクター、販売店、ギャラリーの人たちが所属する組織ですが、難しい基準があるわけでなく、万華鏡の好きな人ならだれでも、会費を払って会員になれます。

 200年前に発明され、ヨーロッパで大ブームとなったものの、その後はすたれていた万華鏡を、1970年ごろ、クラフトとしてよみがえらせたのがアメリカの工芸運動の流れでした。 そして生まれてきた万華鏡作品や万華鏡作家を見つけ出し、万華鏡の本を出版、世界初の万華鏡展を組織したのが、「万華鏡の母」と呼ばれるコージー・ベーカーさんでした。その時に集まった作家たち、コレクターの人、そしてショップオーナーのネットワークが、ベーカーさんのもと、ザ・ブリュースター・ソサエティーとして発展し、「万華鏡ルネッサンス」を支えてきたのです。その大きなうねりが約10年後に日本にも届きました。最初は昔ながらの万華鏡しか知らなかった日本の人々は、新しいスタイルの万華鏡に驚き、感動し、自分たちでも創ろうという人たちも現れました。今ではアメリカに次いでたくさんの作家さんが活動しています。

そのザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーの第20回目のコンベンションが6月11日から13日まで、アメリカ・カリフォルニア州サンタクララで開催されます。3年ぶりの開催です。新作の発表はみんなの注目の的。そして、これからの万華鏡界の発展のために、皆で集まって、意見の交換なども予定されてます。 
万華鏡を覗いた時、思わず出る歓声・・・英語ではWOW!です。そしてこの言葉があちこちで聞こえるこのコンベンションの会場では、国境や言葉の壁を越えて、万華鏡を覗く楽しみを共有します。
このコンベンションは作家さんと直接話をできる貴重な機会でもあります。 このブログをご覧になっている万華鏡ファンの方で、作家さんへの質問やメッセージがありましたら、どうぞお知らせくださいね。 向こうでお伝えできればと思います。日本でこんな風に楽しまれているというメッセージは、作家さんにも大きなエールになるんです。
メールアドレスはinfo@kaleidoscopes.jp   です。もちろん日本語でOKです。

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つぶらな瞳のテレイドスコープ

2010-05-24 17:09:39 | 万華鏡ブログ

とても細かい映像を見せているのは、細野朝士さんの新しいテレイドスコープです。 大きな球面いっぱいに細かい反射を繰り返しています。
3ミラーシステムでテイパード(先のほうが細くなるよう)に組んだミラーの先端には、球体が浮かび上がって見えることはご存じの方も多いと思います。
この小ぶりなテレイドスコープは、隅まで見きれないほどの大きな球体と、何が映っているか、まずわからないほどの細かい映像の組み合わせが、ちょっとマニアっぽいテレイドスコープです。 
                                                


テレイドスコープは先端部の球体レンズが向こうの景色の広がりを筒の中に取り込んできます。
そのレンズはこんなに小さいのです。つぶらな瞳ですね。
この瞳を通して見えてきた景色が正三角形に組まれたミラーの筒を通して、こんな風に見えているのです。
                 

なんだかぎりぎりのところまで突き詰めている・・・・そんな気がします。
筒のデザインはシンプルでスマートな細野さんのスタイル。 一つ一つ妥協することなく、目指す映像を追求して作った作品には、とても小さな字ですが、ちゃんと作家さんのサインが刻まれています。                                              

 

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魅力ある4ポイント映像 その2

2010-05-20 21:35:01 | 万華鏡ブログ

昨日に続いて、4ポイントの素敵な映像をご紹介します。探してみたらいろいろありました。
上の写真は中里保子さんの作品です。


これは細井厚子さんの作品


依田満・百合子さんの作品


代永正樹さんの作品


スー・リオさんの作品


ジュディス・ポールさん&トム・ダーデンさんの作品

5ポイントから8ポイントの作品に比べると数は少ないですが、シンプルだけどシンメトリーの美しい映像がそろいました。 
写真でとらえたこれらの映像は、もう一度見たくても見られないし、覗くたびに、回すたびに新しい映像に出会います。
覗いたときに歓声を上げたくなる興奮を覚えたり、静かな世界に引き込まれてしまったり、いろいろな反応を引き起こす不思議さ。
作家さんの個性を持ちながら、作家さんの想像を超える創造を見せる鏡の魔力。
いろいろな作品に触れることで、そんな万華鏡の世界を知っていただけたら嬉しく思います。

 

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魅力ある4ポイント映像 その1

2010-05-19 22:56:36 | 万華鏡ブログ

万華鏡は2ミラーが好きですか? 2ミラーだったら好きなポイント数は? なんて聞かれることはありませんか? いろいろな作品が紹介され、また、ご自分で制作する方も増えてきて、ミラーの組み方で映像が違ってくることも、理解していただけるようになりました。
2ミラーシステムは、鏡の組む角度で、ポイント数(繰り返される映像の数)が変わってくるわけですが、今日の万華鏡は4ポイントの映像です。


細野朝士さんの偏光オイル万華鏡O4W の映像です。 繰り返しが少ない分、単調だと思われがちですが、偏光素材ならではの面白さで、色の出方が場所によって違ったり、光を通さない黒い部分が生まれて切り紙のように見えたりで、決して単調ではなく、通る光の気まぐれで生み出される色鮮やかな模様に目を奪われます。 折り紙を折って、折り重なったまま切ると、広げた時こんな模様になりますね。
         

時にはこんな風に外側が光り輝くこともあり、色も劇的に変化するので、予測できない面白さですが、一方で4ポイントの不思議な安定感に心惹かれるのも確かです。 「変化」と「安定」という一見相反する要素が魅力の映像をいくつか取り上げてみたいと思います。

 

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木目込み人形の万華鏡

2010-05-16 21:25:33 | 万華鏡ブログ

この春、仙台万華鏡美術館で開かれた「雛万華鏡展」は、雛人形の万華鏡を集めたとても珍しい展覧会で、日本の季節の行事を万華鏡のテーマに取り上げ、作家さんにオリジナル作品を依頼するという意味でも大変面白い試みでした。 この展覧会には残念ながら伺えなかったのですが、ぜひ海外にもこの試みをご紹介したいと思い、仙台万華鏡美術館から写真など、提供していただきました。
そこには陶器やガラスの「雛」万華鏡とともに、この木目込み人形のお雛様が展示されました。製作なさったのは、日本の伝統工芸の技術を生かし、様々な素材の万華鏡を生み出してきた溝口好晴さんです。 陶器、漆、螺鈿、竹細工などその技術の多彩さにいつも驚かされますが、今回は木目込み人形という新しい試みでした。 可愛いですね。

その溝口さんの最新作を含めた万華鏡展が仙台万華鏡美術館で5月22日から6月20日まで開催されるそうです。ご案内のはがきに載っているのは、木目込みの「たけのこ」。 そして木彫りの「椿」。 いったいどんな万華鏡なのでしょう。 ほかにもいろいろな万華鏡が展示されるとのこと。豊富なコレクションでも有名な美術館ですから、万華鏡ファンの方は足を延ばしてみてはいかがでしょう。

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蘭花散らし

2010-05-15 19:04:52 | 万華鏡ブログ

香蘭社の磁器万華鏡「蘭花散らし」です。筒は中央部が少し細くなった優雅な姿で、グラデーションのかかった青に金色の蘭の花が散るお洒落なドレスをまとっているような万華鏡です。ラインの美しい磁器を生産する香蘭社らしい作品ですが、有田焼の磁器を使って万華鏡に適した細長い筒を均一に生産できるようになるまでには、その開発に多くの時間とエネルギーを費やしたと聞いています。 そしてその技術が生かされて、有田焼の万年筆の筒も作られるようになったそうです。 400年の歴史を持つ伝統工芸の分野に200年の歴史を持つ万華鏡が加わって、日本らしい作品が生み出されています。
この作品のテーマの色は青。筒にもオブジェクトセルのサイドにも青い磁器が使われています。そして、ミラーの筒にも青い幻想的な輝きを見ることができます。


横長のオイルセルの中には細長いガラスオブジェクトがたくさん入っています。深い色、きらめく色、明るい色などが織りなす映像にさらに魅力を添えるのが青いオーラのような輝きです。ミラーシステムの第3面(2枚の開いた鏡の広がりを閉じる面)に青い反射素材を使っているので、中心の8ポイントの映像の周りに青い輝きのある世界が広がります。
                             

映し出されるオブジェクトの色に染まりながら青く輝くトンネルは、覗く人を別世界に連れて行ってくれるようです。 小さな覗き口から広がる夢の世界をしばし楽しむ・・・そんな楽しみをたくさんの人に知ってもらいたいなあとあらためて感じます。

 

 

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カレイドスコープ ファウンテン

2010-05-12 20:46:19 | 万華鏡ブログ

デヴィッド・スーギッチさんの万華鏡"Kaleidoscope Fountain"です。ステンドガラスにワンドを組み合わせ、いろいろなミラーシステムの作品を創りつづけている作家さんです。
工房名はUltimate Reflections (究極の反射映像とでも訳せるでしょうか?)といいます。 常に新しい映像を求めながらも、1992年からこのスタイルでずっと製作を続けて来ました。 
ワンドというのは、この万華鏡の先端に付いているビーズやスパンコール入りの棒のことです。 外のガラスに合わせて、いろいろな色があります。 このワンドはゴムのリングで取り外しができるので、異なった色を取り揃えれば、いろいろな映像が楽しめるわけです。


今回ご紹介するのは、ちょっと変わったミラーシステムの作品です。 なんと2ミラーシステムの繋ぎ目にワンドを組み込んでいるのです。 覗き口のすぐの所から、ボディーいっぱいに埋め込まれているワンドもオブジェクトのワンドと同じ赤い粒が流れるもの。 ミラーを通してみると中心に柱が立っているようです。 覗きながら先端部を上げたり下げたり、ボディーを上げたり下げたりとすると、映り込んだ柱の先から模様が流れます。だからファウンテン(噴水)なんですね。 覗き口近くは映像がぼやけるのもデザインのうち。 先端部の流れる映像がこの万華鏡の見どころです。 


音楽が好きで万華鏡の集まりにもギターを持って現れる作家さんです。コージー・ベーカーさんに彼が捧げたKaleidoscope Reflections という歌は、ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのテーマソングです。今年6月に予定されている3年ぶりのコンベンションでもまたその歌声を聴くことができるかなと楽しみにしています。

 

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香蘭社のテレイドスコープ

2010-05-09 15:49:00 | 万華鏡ブログ
白い磁器に春蘭の模様が美しいテレイドスコープ「リンドフィールド」をご紹介します。 香蘭社の茶器などでよく拝見する模様ですが、テレイドスコープの筒も美しく飾っています。
有田焼の万華鏡やテレイドスコープは、日本の伝統工芸を生かした作品として、有田焼の発展を願う気持ちを出発点として、磁器の生産者(香蘭社や源右衛門窯)と万華鏡の製作者(山見浩司さん)とのコラボレーションによって生まれました。 個人の作家さんの工房から生まれるのとは違ったやり方で、生産を続けています。 このテレイドスコープの筒のかたちは円柱型で途中が少し細くなっています。優雅な形ですね。
このテレイドスコープの特徴は、2ミラーシステムであること。そして三角形に組まれたミラーシステムの第3面に色味のある、鏡とは違った輝きのある素材を使っていることです。
寄せ植えの花を見るとこのように周りがブルーグリーンに輝いています。さざ波のようにも見えます。


テレイドスコープを少し花に近付けたら、花の色も映しこんでまた違った表情になります。


少し遠くの若葉を見ると、こんな風に緑色に染まります。


太陽の光や周りの明るさによって変わるので、いろいろなところを覗いてみたくなります。今の季節、たくさんの楽しみを与えてくれるテレイドスコープです。
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若草の春

2010-05-04 20:57:48 | 万華鏡ブログ
今日は赤津純子さんの万華鏡作品から、春らしい若草色の万華鏡をご紹介します。
写真の左側は「双丸」、右側は「ドロップ」というように、タイトルが万華鏡の形ごとについています。昨年の末の個展で発表されたシリーズで、羊毛フェルトを素材としています。手にするととても軽くて、暖かい雰囲気の万華鏡です。
色も多彩な種類があり、また濃淡のグラデーションや違う色を重ねあうグラデーションなどもあって、夢のある万華鏡です。赤津さんはステンドガラスの作品でもそうですが、このシリーズも時間をかけて製作し、細かいところまで丁寧に、美しく仕上げています。


赤津さんのオブジェクトはとても薄いガラスや細く引いたガラスが特徴です。それらのオブジェクトが生み出す映像は、このように繊細で重なりがとても美しいのです。春の花模様ですね。 これは「双丸」の映像で、中心の6ポイントの映像の周囲に同じ映像が重なり合って囲んでいます。二等辺三角形に組んだミラーの筒を通して生まれる映像です。

背景は半透明の白。ガラスの色のやさしさを一番見せてくれる背景です。そしてオブジェクトセルがとても薄く、オブジェクトがミラーシステムに近いので、くっきりとオブジェクトの映像を映し込みます。

次は「ドロップ」の映像です。蝶が羽を震わせて飛んでいるようですね。左右対称の模様が連続して展開しています。直角二等辺三角形に組んだミラーの筒の向こうに展開する映像です。

外観も中の映像も目に優しく、心にそっと響くような万華鏡です。 

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