万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

アーニー・ウェインステインの万華鏡

2006-05-31 18:51:02 | 万華鏡ブログ
アーニー・ウェインステイン(A.W.スコープス工房)の新作発表の作品「Bella G.」です。2001年のコンベンションでデビューして以来、毎回参加している作家さんです。ニューヨーク市北部で育ち、ニューヨーク州立大学で経営学とコンピューターサイエンスを学び、ずっとコンピューター業界で働いてたという経歴の持ち主です。もっと創造的で自由な仕事に関りたいと模索していた時に万華鏡に出会って強い興味を覚え、その世界を追求することに決めて会社を辞めました。木工の技術を持っていたので、それを生かし、材料や万華鏡製作の技術などを学びながらその世界を確立してきました。さまざまな木材を使ったユニークで美しい木工デザインの追求とミラーシステムへの挑戦を続けています。
最初のコンベンションではタワーという作品を一つだけ持って登場したことを覚えています。シンプルながら、個性を感じる作品でした。年を重ねるごとに作品の種類も増え、オブジェクトの使い方も上手になり、そしてデザインも洗練されてきているなあと実感します。ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティの先輩アーティストたちから多くを学んだと言っていましたが、そこが素晴らしいところだと思います。
この万華鏡はオブジェクトセルが2つ付いています。一度に両方を見るのです。内部映像は明日ご紹介します。
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数学理論から生まれた内部映像

2006-05-30 17:51:51 | 万華鏡ブログ
5月24日にご紹介したインディアンのテント「TIPI」の万華鏡の内部映像です。ユーリック&モニカ・カール夫妻は数年前から、イギリス系カナダ人の幾何学者コクスターの理論Coxeter-kaleidoscope(連なる先細のミラーの反射により線分から5種類の正多面体が生み出されるということらしいです。間違っていたらごめんなさい!) に基づいたミラーシステムを試みてきました。今回のコンベンションがアメリカ原住民の地、アルバカーキで開催されると聞いたときから、TIPI(テント)のように見える映像を生み出したいと思ったのがこの万華鏡のアイディアのスタートでした。創造的なアイディアから、万華鏡を設計して具体的な形にするのはご主人のユーリックさん。金属や木材の加工も担当しています。二人で考えた想像上の素敵なアイディアをどうやって実際の万華鏡にするかというすごいことをやっています。奥様のモニカさんはミラーシステムを受け持ち、完ぺきにミラーをカットし組み立てることをめざしています。また色合いに関しても彼女が考え、ホィールやオブジェクトの製作、選択をします。彼らの手持ち型万華鏡のボディーに巻かれている紙はモニカさんの彩色によるものだそうです。二人で協力し合い、少しでも良い万華鏡を作りたいと願い、アメリカでほかの作家さんとの交流を喜んでいらっしゃるご夫妻でした。
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パレッティー夫妻の万華鏡

2006-05-29 14:51:06 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介したトム&キャロル・パレッティー夫妻のこの大きな万華鏡をごらんください。なんとクリスマスツリーのリサイクルだそうです。その造りを良く見るととても面白くできていて、さすが木工の名手の作品と思います。わざと荒削りな部分を残して素朴な感じで木を組み立ててありますが、アイホールのところは「ベルベットのように滑らかに」加工してあるし、木目や年輪をきれいに見せたり、木の枠にはめ込まれたオブジェクトが回転するシステムなど、随所に行き届いた配慮がなされ、工夫されています。
トムさんが最初に万華鏡に出会ったのは1969年のこと、クラッカージャックというお菓子の賞品(おまけ?)だったそうです。その不思議さを知りたくて分解して仕組みを知ったトムさんは1973年には最初の万華鏡を製作、1979年までにはもう作品を売るまでになっていました。初期の頃は木製の作品ばかりを創っていましたが、新しいアイディアや素材への興味がどんどん湧いてきて、作品の幅が広がり、楽しさと意外性と工夫に満ちた、しかも高品質な作品を創り続けています。彼らが心がけていることは、オブジェクトは明るいはっきりとした色合いであること、映像の変化の多様性があること、くっきりと見えるミラーシステムやレンズを使用すること、ミラーシステムに適したオブジェクトチェンバーの大きさを考慮すること、たくさんの想像力を駆使して、プラスアルファーのある万華鏡を創ること。(確かにそのとおり!の作品ばかりです。)今回のコンベンションに久しぶりに登場したトムさんは皆から拍手で迎えられました。「いくらでも実現したいアイディアがあるのよ」とキャロルさんは言っていましたのでこれからも大いに期待したいと思います。自分たちが何より創るのが楽しくて、それをみんなと分かち合えるのが嬉しいと語る作家さんご夫婦です。
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ユニークな内部映像は誰の作品?

2006-05-28 22:49:43 | 万華鏡ブログ
この映像写真から誰の万華鏡だかわかりますか? というのはひとつのはっきりとした特徴があるからなのです。ミラーシステムの第3面を縦に溝が彫られた木材を使っています。中心のマンダラ映像の周りに映りこんでいるのがわかりますね。この部分がトム&キャロル・パレッティー夫妻の万華鏡に見られる特徴のひとつです。今でこそアルミニウムや銅などの金属と木を組み合わせた万華鏡が製作の中心になっていますが、最初は限定版や一点ものの木工によるユニークな手作り作品を創っていました。そんな時代を思い起こさせるような大きな木製のパーラースコープの内部映像がこの写真です。細かいメタルビーズを効果的に使うのも彼らの万華鏡の特徴で、この映像にも映りこんでいます。ビーズの流れる中にさまざまなオブジェクトが効果的に立体的に映りこんできます。独特の質感のあるオブジェクトを大変上手に、効果的に選んで使っているところに彼らのうまさをとても感じます。
この万華鏡の大きな姿を次回ご紹介したいと思います。
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ターコイズと万華鏡

2006-05-28 09:55:01 | 万華鏡ブログ
コンベンション開催地サウスウェストの地域性・特産品を意識した作品がいくつかありましたが、ヒーリーデザインズ工房からはトルコ石(ターコイズ)をふんだんに使ったジュエリー万華鏡です。オールドタウンのギャラリーや空港のショップにもトルコ石を使ったたくさんのジュエリーや飾り物など売られていました。このペンダントとブレスレットにスターリングシルバー製の万華鏡が付いています。ペンダントに付いているほうは先端部が回るタイプです。デボラ&ケヴィン・ヒーリー夫妻はともに大学でジュエリーデザインを学び、子供が生まれてからはサンタ・バーバラに工房を構え、1975年から地元のアートやクラフトの展示会などに出品しながら実績を重ねてきました。小さな万華鏡ながら本格的な造りと映像の質は、彼らが時間をかけて開発、改良を重ねてきた実力を十分に証明しています。その上に得意とするシルバー細工によるデザインの追及がこのような素敵な作品になりました。今回のコンベンションでは、万華鏡は通常のペンダントヘッドとしてのデザインのほか、いくつか組み合わせ、他のオーナメントと一緒にぶら下げてペンダントとするデザイン、チェーンや留め金から取り外せるようにしてチョーカーやブローチにしたデザイン、指輪にしたデザインなどジュエリーとしての幅を広げつつあることがよくわかりました。女性にも男性にも楽しんでいただける作品です。
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美しい地球を表現した万華鏡

2006-05-26 23:49:34 | 万華鏡ブログ
今回のコンベンションに初参加なさった中里保子さんの作品「Pangea」です。ギリシャ語で「すべての大陸」を意味し、現在の諸大陸が分裂する前に一つであった時の超大陸のことだそうです。そして美しい地球とそれを取り巻く宇宙を内部映像に表現したいと思われたそうです。万華鏡本体はスランピング技法で作り、それを支える柱とベースの部分はガラスの積層です。特に工夫なさったのは、ガラスの切断面の美しさが生かされるデザインにすること、そして(この写真には写っていませんが)光を透過したガラスの美しさを表現するために、ライトボックスの上に設置したことです。また振り子構造の作品は中里さんの造形作品のテーマとしていくつか製作なさっていますが、バランスをとるのが難しく、苦労なさったと伺いました。多くのことに挑戦して出来上がった作品は、作家さんの意図した美しさが十分表現されていてガラスの魅力に改めて感じ入りました。本体を傾けて、筒の底の部分から覗きますが、一部をテイパード(先細)にした4ミラーシステムを通して、迫力のある立体的な美しい映像が目に飛び込んできます。「透明感」、「色彩感」、「立体感」、「振り子の動き」これら全部が、感覚に訴えてくる印象的な作品です。
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花シリーズの限定版万華鏡

2006-05-25 19:31:31 | 万華鏡ブログ
ひときわ目を引く美しい花々の万華鏡は、スティーブ&ペギー・キテルソン夫妻の「フラワースコープス」という限定版シリーズです。左から2番目が2006年の新作「ラン」です。淡いピンク色の優しい花の表情が素敵ですね。まだ日本ではあまり見たことがないのでご紹介しようと思いました。キテルソン夫妻の万華鏡はその内部映像の素晴らしさで日本でも有名です。2ミラーシステムとオイルセルという形式はあまり変わらず、意外性はないにもかかわらず、それでも心惹かれ、もっと見ていたいと思わせる魅力があります。バーナーワークによるガラス細工をオブジェクトに使う作家さんも少なくありませんが、ペギーさんのそれはどこが違うのでしょうか。独特の雰囲気を持つ映像が流れるように変わってゆき、ため息がでるほどの美しさです。スティーブさんはガラスのフュージングの技術を極め、このフラワースコープのほか、多くの限定版のタイプで筒にダイクロイックガラスの模様を焼き付けた作品を創っています。何度も窯で焼き付ける作業の途中で割れてしまうこともあるとか。キテルソン夫妻はとても素敵なご夫婦ですが、二人の合作で創られた万華鏡がそのことを証明していると思います。 
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インディアンのテントが万華鏡!?

2006-05-24 16:42:40 | 万華鏡ブログ
アルバカーキはニューメキシコ州、アメリカのサウスウェストと呼ばれる地域にあり、メキシコの文化とネイティブアメリカン(インディアン)の伝統や文化を背景に、独自のアートが育まれ、アメリカ文化のひとつの側面を見せてくれています。今回発表された万華鏡には、この地域の文化や特産品を意識したものがいくつかありましたが、これはネイティブアメリカンのテント型の住まいを模した万華鏡です。作ったのはドイツから初参加のユーリック&モニカ・カール夫妻で、新人の新作発表作品のピープルズ・チョイスアウォードを獲得しました。評価されたのは、外観だけでなく、内部の映像のユニークさでした。革を貼ったテント状の万華鏡は傾けると底が持ち上がるようになっており、大きな覗き口から不思議な映像が見えます。オブジェクトはこの写真で見えているホィールが3枚ですが、立体的な映像は特殊な幾何学の理論に基づくミラーシステムによるものということです。(次回写真でご紹介しようと思います。)オブジェクトにはインディアンの特徴的な絵記号なども取り入れられ、アメリカ人顔負けの文化紹介でした。以外とヨーロッパでは万華鏡が普及していないのが不思議でしたが、ドイツからの作家さん登場で嬉しく思いました。
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レインボウ・ストーム

2006-05-23 21:17:10 | 万華鏡ブログ
コンベンションの開かれたアルバカーキは周囲を砂漠に囲まれた乾いたところでした。風も強く、開会前々日には砂嵐が吹き荒れたと聞きました。今日は虹色の嵐、「レインボウ・ストーム」という万華鏡をご紹介します。この写真が内部映像です。デヴィッド・コリアの定番アイテムですが、木製万華鏡の外部のデザインが変わりました。この目の回るような映像は角度のない筒状の反射素材を万華鏡のミラーシステムとしたもので、オブジェクトのガラスボールの色がぐるぐる回りながら渦巻状に立ち上がってくるように見えるのです。この万華鏡は内部映像も面白いのですが、何種類かの木を組み合わせたボディーのデザインもコリアらしい面白さがあるので、インテリアグッズとして部屋に飾り、覗いた人をびっくりさせるのはいかがでしょう。「どの家庭にも、必ずひとつは万華鏡を」と願っているコリア・カレイドスコープス工房からは、暮らしの中で楽しめる扱い易い作品がいろいろ製作されています。今回のコンベンションで発表された新作はシンプルな万華鏡でしたが、キャンドルスタンドのようになっていて、そのまま食卓でキャンドルを灯して楽しめるものでした。(万華鏡を見るときはキャンドル部分をはずして見ます。)
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ランディー&シェリー・ナップ夫妻の万華鏡

2006-05-22 18:57:41 | 万華鏡ブログ
今日はいつもとはちょっと変えて、作家さんの笑顔もお届けすることにします。日本でもとても人気のあるランディーとシェリー・ナップ夫妻です。最近彼らが作っているのが動物の革(皮)を巻いた万華鏡です。革は手に馴染むので持ちやすいのですが、色や質感については好みの分かれるところでしょう。左側にあるのがスティングレイ(あかえい)の革で、お財布やハンドバッグなどに加工されたものを見たことがあります。真ん中にある白黒の2本がトカゲの皮を使ったもの、右側にあるのが蛙の革だそうです。(横向きのものは木製で、また次回にご紹介します。)中の映像はシェリーがバーナーワークで作り出すガラス細工をオブジェクトとして、パステル調の色合いやブライト(明るくはっきりした感じ)な映像を生み出し、彼ら独特の世界を演出します。鏡の角度を考慮して、オブジェクトの大きさ、形、組み合わせなど十分に吟味してあるので、彼らの万華鏡はいずれも映像のバランスが素晴らしく、長い間持っていても品質の劣化が非常に少ない、まさにコレクター向けの作品が多いのが嬉しいですね。今回のコンベンションでは、万華鏡クラスを担当し、私のような初心者にも丁寧に教えてくれて、感激でした。ナップ夫妻が自ら準備したキットは、先端部が回転するタイプで大変良く作られていました。そしてオブジェクトにはシェリーの手作りのガラス細工やきれいなビーズなどが用意され、選ぶのに困るほどでした。難しいところではずいぶんと作家さんに手伝ってもらったので、この万華鏡は自分で作ったとは言えないけれど、私の宝物になりました。
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