万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

万華鏡に金鉱が! Gold Mine by Phil Coghill

2012-08-29 13:57:16 | 万華鏡ブログ

この写真から万華鏡を思い浮かべるのは難しいかもしれません。 フィル・コグヒルさんの「Gold Mine 金鉱」という作品です。

その全貌はこんな感じです。 すべて木製で、スタンドの一部に、中空の球がはめ込まれています。 その内側に金箔を貼ったユニークなスタイルの万華鏡です。

今ではウッド・アーティストと名乗っていらっしゃいますが、もともとはステンドガラスの万華鏡作家でした。 90年代末ぐらいから方向転換し、もっぱら木工の万華鏡を創っています。さまざまな木材を使い、その自然な表情や質感を大切に万華鏡のボディーに生かしています。 倒木や廃材などを利用することも多いそうです。 節、割れ目、虫食いの跡までもユニークなデザインの一部にしてしまいます。

それぞれの部分を見ていくと、デザインの面白さと万華鏡としての機能が、しっかりとかみ合わさっていることが感じられます。

オブジェクトケースはオイル入りで、オブジェクトはバーナーワークによるガラスです。
基本的な2ミラー7ポイントの映像ですが、コグヒルさんの映像は、すっきりとした心地よさをいつも感じます。

くっきりと鮮やかな色合いですが、決して強すぎず、一つ一つのオブジェクトが活かされている感じがするのです。

この万華鏡は持ってみると意外と軽いのも特徴です。 
あの金色のスペースには何か入れることもできそうなのですけれど、たぶんそんなつもりではないでしょう。 なぜこのようなデザインを思いつかれたのか、伺えばよかったと思っているところです。

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日本の万華鏡史をDMに見る

2012-08-25 22:43:07 | 万華鏡ブログ

万華鏡展のご案内をいただくことが多いのですが、こんな風にはがきファイルに収めています。
何枚あるか数えたことはないですが、厚めのファイルが3冊ぐらいになったでしょうか。
現代のアート万華鏡についてまだ知らない人も多いという意見を良く聞きますが、万華鏡展は結構開かれているんだなあとあらためて感じ入りました。

万華鏡をいかに美しく表現するか、いろいろ工夫を凝らしたはがきの数々は、それだけでもなかなか優れた作品集になりそうです。

私のはがきファイルの一番最初に収められているのが、これです。
1995年9月 「せかいの万華鏡展」  丸善日本橋店にて

 

日本万華鏡博物館の大熊さんのコレクションも展示されたそうです。
左の2点は、光を透過させるという"アラバスター"という石を使った作品です。 作家は現在は製作をなさっていないB.T.アンスレイさん(アメリカ)。 

次のページに収められているのはこれです。
1996年12月 「万華鏡 マジカルファンタジー」 渋谷ロゴスギャラリーにて

当時のブリュースターソサエティーの作家さんの作品が展示販売されました。
今も変わらぬスタイルの人もいれば、スタイルの変わった人、製作をやめてしまった人もいます。
この当時は、アメリカからの輸入万華鏡がほとんどで、日本の人に驚きをもたらし、万華鏡への興味をかきたてたことと思います。

そして今では日本人の作家さんがいろいろなギャラリーや美術館などで万華鏡を出品するようになったこと、アメリカでも発表する機会を得て、高い評価を得るようになったことを考えると、歴史を感じてしまいますね。

(この2枚のはがきは私自身が万華鏡に関わる以前のもので、あるコレクターの方からいただいたものです。当時のエピソードなどとともに日本の万華鏡の黎明期の展示会として大切な資料だと思っています)

 

 

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小さな景色が紡ぐストーリー 

2012-08-20 22:20:08 | 万華鏡ブログ

みずあめやさんの小さな万華鏡OW-6シリーズは、手のひらの宝物という感じの万華鏡です。
今回は、美しい花や愛らしい動物が描かれているガラスではなく、景色を小さなガラスに切り取った作品です。

左側の作品は「鳥と木」。 藍色の美しいガラスに映える白い木と、その木に戻ってきたような白い鳥。
木の葉はきれいに色づいていて、このガラスの絵に温かみを感じさせます。 
それぞれの作品を慈しむように、古い着物地で手作りの巾着袋に入れて、一つの作品として完成します。

いつも万華鏡と巾着袋がどんな組み合わせかしらと箱を開けるのもとても楽しみです。

オイルワンドの中は色とりどりの細かいビーズ。 思いがけず鮮やかな色合いの映像が目に飛び込んできます。

最初の写真、右側の作品は「町」(ピンク)です。 2つの建物のその先には、さらにたくさんのいろいろな建物があることを誰もが知っているし、自分の住む町に重ねて見る人もいるかもしれませんね。
小さな景色から想像する楽しさ・・・そしてここにも鳥が飛んでいます。 
どこかに帰って行くのかなあ? 
この作品にはこんなモダンな模様の着物地から創られた巾着袋が用意されました。

そしてこちらは、とても淡くてやさしい色のオブジェクトが特徴です。広がる模様もパステルカラーで透明感があります。

小さいのに大きな映像が見える万華鏡です。 

みずあめやさんの万華鏡にはその作品を通して、何かストーリーを感じる不思議な魅力があります。そのストーリーは、覗く人、一人一人によって違うものかもしれません。 だとしたら、一つの作品が何倍にもなって広がっていくようで、なんだかわくわくしますね。 創っているご本人たちはどんなストーリーをお持ちなのでしょう。

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冬まで待てない万華鏡  Gathering by Luc and Sallie Durette

2012-08-10 22:05:51 | 万華鏡ブログ

なぜ今頃クリスマスの万華鏡なのか?不思議に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。  実はこの春入荷したルーク&サリー・デュレット夫妻のクリスマススコープなのですが、早くご紹介したくて、冬まで待てませんでした。 
この作品は「A Midwinter Night's Dream」 という3部作の第2番目に当たるもので、「Gathering」というタイトルが付いています。 2007年の第1部から5年を経ての登場です。 私を含め、楽しみにしていた方も多いのではないでしょうか。

1作目の「Into the Forest」と同じスタイルですが、サリーさんの物語に沿ったデザインになっています。
前回同様、切り絵作家のマリー・エレーヌ・グラブマンさんの切絵デザインをレーザーカットした木で表現しています。 表面にはガラスがはめてあり、額縁の中に森の中のシーンを見ることができます。

この万華鏡には平和な世界を願うデュレットさんの想いが込められています。 戦いの絶えない世界で、さまざまな人種の人たちが祈ることは、宗教の違いがあっても、皆同じ祈り。 平和で安らかな生活をすべての子どもたちにと願う親の気持ちではないでしょうか?
白っぽい真珠光沢にコッパーカラーでシンボルを描いたバナーが映像の中に見え隠れしますが、これらのシンボルはいろいろな宗教を意味しています。

サリーさんは人が祈ることの意味を考え、世界中の宗教に思いを馳せました。 信じる神は違っても、お互いに相手の宗教を学び、その存在を受け入れることが必要だと語っています。

森の中で子どもたちは「その樹」を見つけ、運んできた飾りをつけます。森の動物たち、空に輝く星たち、すべてが静かに温かく見守っています。 飾りは真珠光沢の小さな円盤の上にいろいろな宗教のシンボルを描いたもの。 祈りを込めて飾りつけました。

冬の空を表すブルーグレイのオブジェクトは光沢のあるセラミック。 ガラスオブジェクトにも色の深みや輝きを増すプラスアルファの一工夫がなされています。 細部にまでこだわった映像表現です。

第1作目 Into the Forest と並べて見ました。 こちらの情報を知りたい方はhttp://kaleidoscopes.jp/shop/durette10.html をごらんください。

少し大きめですが、ボディーを持ち上げ、先端のオブジェクトセルを回転させて、映像の変化を楽しみます。 大きなセルですし、いろいろな意味を持たせたオブジェクトがたっぷり入っているので、物語を見ているような映像展開です。
1作目とはまた違った色模様、映像表現で、味わいのある、そして大人の人に見ていただきたい万華鏡です。

サリーさんのストーリーやこの万華鏡に込められた思いがつづられた冊子が付いています。

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素材もコンセプトも現代的な万華鏡 modern, cool and eco-minded

2012-08-09 11:45:50 | 万華鏡ブログ

現代的なデザインと輝きのあるこの作品は、北村幸信さんの「C60-Fullerene フラーレンc60」という作品です。 難しいタイトルはナノテクノロジーに関連するもので、炭素の結合構造のひとつ。この作品の構造がそれに似ているところから、作品名を付けたそうです。 

北村さんは第10回日本万華鏡大賞で「ペンタゴン」という作品でグランプリを受賞しました。 廃材となったCDやDVDを使い、その表面が7色に光るホログラムを生かした斬新なアイディアで創られた万華鏡が高い評価を得たのです。 その後もさらに開発を重ねた多面体構造の筐体で万華鏡を製作し、今回は32面体の作品です。
この作品は今年5月にアメリカのカリフォルニア州のギャラリー、Reflections Kaleidoscopes が主催した万華鏡展で、30点を超える応募作品の中で、最多得票を得、みごと第1位に輝きました。 

ミラーシステムは6角テーパードミラー。 オブジェクトもCDとDVDを加工したホイールで、ダイクロイックガラスを超える効果を生むよう工夫を加え、モーターで回転させます。 内蔵の複数の超小型LEDで本体内側のホログラムを発生させますが、それぞれの面の鏡面効果で、内部はホログラムの坩堝となります。

モーターでオブジェクトは回転しているので操作は不要。 大きな覗き口から虹色の光にあふれた空間と万華鏡映像が見えます。 スイッチを押すとモーターがとまり、固定した映像を見ることができます。

この作品の「オリジナル」は、2012年1月より、当作品をアメリカのギャラリーに推薦し、出品の労を執られた東京、秋葉原の万華鏡店「創心万華鏡」さんにて展示中です。

また仙台万華鏡ミュージアム、星の万華鏡展には「北の巨星」という作品、また岡崎市のおかざき世界子ども美術博物館で開催中のミラクルワールド 万華鏡展にも作品を出品なさっています。

CDやDVDの廃材を、廃材としないで美しく利用するための工夫が凝らされた万華鏡は、エコという意味でもとても現代的です。

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