万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

The Ins and Outs

2010-04-27 21:38:32 | 万華鏡ブログ

ギャラリー・ヴィヴァンさんの「魅惑の大万華鏡展」で拝見したシェリー・モザーさんの万華鏡「The Ins and Outs」 です。最近は万華鏡を製作なさらないので、作品を拝見する機会が少ないのがとても残念に思っておりましたら、久しぶりにこの作品が目にとまりましたので、撮影をさせていただきました。
美しいガラスオブジェクトの入ったセル、サンドブラストによる模様、随所に見られる装飾はんだに、シェリーさんらしさが見えます。そしてシェリーさんらしいテイパードの3ミラーシステムがなんと二つ入っている作品です。
シェリーさんらしいというのは、1991年に製作された画期的な作品「The Journey」が、テイパードミラーシステムによって宇宙を表現し、ブリュースターソサエティーの創造的作品賞を受賞した、先駆け的な作品となり、その後もユニークな立体的な映像表現を試みてきた作家さんだからです。
(テイパードというのは、先の細くなったミラーを組み合わせて三角錐のように組んだミラーシステムで、広い方から覗くと、球状の立体的な映像が特徴です。)
万華鏡の覗き口は底の部分でとても大きいことがお分かりでしょう。この万華鏡の右側と左側に背中合わせに2つのミラーシステムが入っています。シェリーさんのガラスオブジェクトがたっぷり入ったセルを回転させて映像の変化を楽しみますが、この作品の醍醐味は、ミラーのカットによるユニークな映像です。


金平糖のようにとんがった部分が飛び出すように見える映像と


内側に向かっている映像がそれぞれ見られるのです。それでタイトルもThe Ins and Outs(中へ、そして外へ)です。

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トリオ

2010-04-26 20:50:27 | 万華鏡ブログ
「トリオ」とは、音楽でいえば三重奏。「3つがそろった」という意味にも使われますね。3つの覗き口のあるこの万華鏡は、まさにこの両方の意味を形にした作品です。マイケル・コリアさんの最新作ですが、父のデヴィッド・コリアさんの時代に考案されたものが新バージョンとして発表されました。筒の生地は一新し、オブジェクトは、マイケルさんの選んだポリマークレイや貝、ビーズやガラスからなっています。

3つの新しいミラーの組み合わせは、2ミラー、3ミラー、そして渦巻き模様の見えるサークルミラーです。その中で新しいのは、彼がVortex(渦巻き)と呼ぶミラーシステムから生まれるこの映像です。


このミラーシステムの先にあるカラフルなオブジェクトの色を混ぜ合わせるように映しこんでいます。筒全体を回すとオブジェクトが動き、様々な色が混ざり合います。とてもくっきりと迫力のある映像です。
次に2ミラーシステムを覗くと、オーソドックスな6ポイントの映像。オブジェクトの一つ一つが今度ははっきりと見えますね。

そしてもう一つの覗き口からはずっと模様の広がる3ミラーの映像。繰り返しを楽しみます。


万華鏡3個分の大きなオブジェクトセルには多彩・多様なオブジェクト。それぞれ異なった万華鏡を覗いているようです。
三重奏を楽しむ万華鏡・・・復活して嬉しいです。

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希望に満ちた旅人

2010-04-23 22:53:06 | 万華鏡ブログ
東京駅近くの丸善・丸の内オアゾ本店で開催中の「魅惑の大万華鏡展」では、日本の作家さんだけでなく、海外の著名な作家さんの珍しい作品も拝見することができました。
今日ご紹介させていただくのは、ランディー&シェリー・ナップさんの2009年に発表されたThe Hopeful Traveler という作品です。ナップ夫妻は最近では限定版や、このような番号付きのシリーズをゆったりとしたペースで創作しています。
この The Hopeful Traveler はシリーズの#4ということで、私も初め拝見して、興奮しました。タイトルの由来は、幸いとは到達することではなく、希望を持って旅する人のその旅の過程であるといった意味の先人の言葉からだそうです。ナップさんたちにとって、この万華鏡を作り上げようとする過程そのものが喜びだったと。
使う木材の種類は作品によっていろいろあり、基本的な構造は同じでも、木工の表現は一つずつ違っています。船の舵輪のような取っ手付きのオブジェクトセルは、軽く触るだけでなめらかに回転します。

映像はオーソドックスな2ミラー6ポイントです。黒い背景で横から光を取り込むオイルセルは、ナップ夫妻のいつものスタイルですが、決して期待を裏切らない魅力的な映像がこの万華鏡でも見られます。


ナップ夫妻がこの万華鏡の製作を喜びと感じたなら、それを覗く私たちはその過程も含めてこの万華鏡から何倍もの喜びを感じることになるでしょう。そして私たちも人生において希望に満ちた旅人でありたいと感じさせる作品でした。

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新しい素材とデザイン

2010-04-22 21:06:14 | 万華鏡ブログ

昨日に続いて「魅惑の大万華鏡展」から、新進作家さんの万華鏡をご紹介します。
沼尻のんさんの作品で、先の広がった円錐形の筒に麻ひもを巻いて現代的なデザインセンスあふれる万華鏡シリーズです。二つ並んでいるとお人形さんのようにも見えるこの万華鏡には「スザンヌ」という名前がついているそうです。

沼尻さんは昨年の国際万華鏡協会展公募部門で最優秀賞を受賞なさいました。その受賞作はこのブログでもご紹介しましたが、季節をテーマに6個の万華鏡からなる「万華鏡暦」という作品でした(2009年8月25日、26日)。 これも3色の麻ひもでデザインした同型の万華鏡でしたが、そのスタイルにこだわって、その後さらにその表現の幅を広げてきました。

ミラーシステムはテイパードと呼ばれる先の広がった組み方です。細かいオブジェクトの綾まで映し出すミラーシステムで、このように繊細できれいな映像が見えています。


写真には映っていませんが、オブジェクトセルの背景にあたる部分には筒の色に合わせた美しいステンドガラスをはめ込んでいますので、光を通しながら柔らかくその色味も反映されています。
また、大きくて薄めのオブジェクトセルなので、オブジェクトの動きによる変化も大きく、ミラーシステムからの距離が同じように近いだけに、どのオブジェクトもその存在を主張するかのように映り込む面白さがあります。覗いていると美しい色の世界に浸ってしまってその映像展開からに目が離せなくなってしまいます。
スタイリストとして活躍なさった沼尻さんらしく、センスの良さが光る万華鏡ですね。そして、こだわりのミラーシステム、オブジェクト構成に独自のスタイルを展開しつつ、挑戦を続ける作家さんです。

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源氏物語

2010-04-21 21:46:42 | 万華鏡ブログ
4月21日から27日まで、東京駅近くの丸善丸の内オアゾ本店のギャラリーで開催中の「魅惑の大万華鏡展」にお邪魔しました。ギャラリー・ヴィヴァンさんによる恒例の万華鏡展です。日本人の新進作家さんたちの作品がたくさん拝見できるのは、国際万華鏡協会展を主催なさってきたヴィヴァンさん(国際万華鏡協会)だからこそ。
今日はその中から、とても日本的な作品で、2009年技能賞を受賞なさった大塚新子さん・友子さんの「源氏物語」シリーズをご紹介いたします。


デコパージュという技法で飾られた筒は艶やかで華やかな色合いで、5本が美しい台に並べられていると、その空間が平安時代にタイムスリップしたよう。トータルな作品として展示されています。立体感を感じる筒の模様はどれも丁寧な作りで、一つ一つの作業を積み重ねながらの制作は、とても時間がかかるそうです。

内部の映像も、それぞれの世界を演出しています。

ミラーの組み方もとてもきれいで、華やかな外観にふさわしい色模様を見せています。

新しい都会のイメージに生まれ変わった丸の内だからでしょうか。和の万華鏡がことさら印象的に思えました。

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最初の宝物

2010-04-19 21:51:51 | 万華鏡ブログ
この万華鏡に出会ったのは1999年のこと。現代の作家さんが創る作品に驚いていたばかりの頃の私が、どうしても欲しいと思って、清水の舞台から飛び降りるような気持で購入した作品です。誰の作品だかわかりますか?その時の限定版作品でもう作られていないのですが、オブジェクトセルに工夫のある万華鏡です。もうひとつ映像をご覧ください。

この映像でお分かりになる方もいるかもしれませんね。
今でも思い出します。「一生の宝物にするから・・・」と自分を納得させて購入したことを。
あれから10年以上経って、万華鏡の数も増えましたが、やはり最初の出会いの作品には多少古びても深い思い入れがあります。 
この作品の特徴はオブジェクトセルが3つに分割されていることです。それでオブジェクトの混ざり合いがある程度抑えられているという効果があります。
こんな具合です。

区切っている二つの輪は大きなセルの中をほかのオブジェクトと一緒に動き回ります。そして、一番広い空間にこの作家さんのトレードマークの黒いオブジェクトが入っています・・・

もうお分かりでしょう。チャールズ・カラディモスさんの万華鏡です。そして今でも、私にとって、とても気になる大きな作家さんであり続けています。

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二つの映像を同時に楽しむ万華鏡

2010-04-18 16:45:15 | 万華鏡ブログ
2年前の田村慎一さんの個展で、きれいな映像に惹かれて我が家に連れ帰ったホイール式の万華鏡です。このブログでも映像だけご紹介した記憶がありますが、2年以上経っても、押し花の色も変わらず、ユニークな花模様を楽しむことができています。
本体はリップルボードというクラフト用の紙で、独特の味を出しています。素朴な感じの紙と押し花をホイールに挟んだオブジェクト・・・何気なさがいい雰囲気ですね。


覗くと思いがけない映像です。この万華鏡の面白さは、何といってもそのミラーシステムです。ひし形を少し押しつぶしたような横に長めの4ミラーシステムで、通常の(正方形や長方形)4ミラーシステムと違って、右半分と左半分の別々の映像が並んでいるような見え方です。ツイン2ミラーシステムという呼び方もあります。


この万華鏡のミラーの角度は両サイドがとても狭いので、映像もさらに細かくて意外性に富んでいます。写真ではわからないのですが、ホイールを回して映像の変化を楽しみますが、一方が中心から広がるように変化し、もう一方は中心へ吸い込まれるように、同時に変化するのが特徴です。


このミラーシステムも万華鏡コレクションの中にひとつあると楽しいと思います。

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椿

2010-04-16 23:27:46 | 万華鏡ブログ
椿の花が今年は大きく咲きましたので、井野文絵さんの作品を思い起こしました。 白い磁器に椿の花が美しい万華鏡です。小さい万華鏡ですが、白地にバランスよく配置した図案は、和の万華鏡らしさを見せています。井野さんはたくさんの花や動物などをテーマに、白い磁器の筒で作品を作っていらっしゃいますが、それぞれの映像が外の雰囲気に良く合っていて、とてもうれしい気分になります。

本当に椿の花のようですね。淡い色もきれいです。


小さなセルから生まれる映像は、柔らかく繊細で、日本人らしい細やかさを感じます。今この万華鏡は、海を渡ってアメリカの万華鏡愛好家の方の手に届くことになっています。

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風を楽しむドライチェンバー

2010-04-15 20:53:33 | 万華鏡ブログ
昨日に続き、トーマス&キャロル・パレッティー夫妻の作品で「Feather & Leatherフェザー&レザー」です。とっても有名なので知っている方も多いことと思いますが、あらためてご紹介したいと思います。
1994年から制作されている万華鏡ですが、今でも覗く人たちに驚きと感動を与え続けていると思います。 ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーからは1997年、その斬新なアイディアと創造性が評価され、名誉ある賞を受けました。
この万華鏡の最大の特徴は、香水のアトマイザーを使っていることです。アトマイザーのふくらみを押しながら、オブジェクトチェンバーに風を送ります。よく見ると側面に小さな穴が開いていて空気の流れる道を作っています。

中に入っているのはカラフルな鳥の羽です。アトマイザーによって送り込まれた風が羽を舞わせます。

透け感のある羽が重なって色が混ざったり、先端のふわふわが映像を面白くしたりしながら、ひと押しですべてがひっくり返ると、まったく違った色模様が展開します。仕組みがわかっていても、感動ものです。


オブジェクトのフェザー(羽)と、筒に巻かれたレザー(革)で「フェザー&レザー」ですが、この組み合わせもピッタリ。 革の色は何種類かあるようです。

新しい万華鏡も楽しみですが、長く作り続けられる作品があるということも作家さんの大きな力ですね。素晴らしいことだと思いませんか。

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流れを楽しむドライチェンバー

2010-04-14 20:48:41 | 万華鏡ブログ

トーマス&キャロル・パレッティー夫妻の万華鏡は、豊かなアイディアとそれを形にする創造力に裏付けられた作品ばかりです。 様々な素材を使いこなし、デザイン的にも品質的にも高いレベルにあって、万華鏡ファンをうならせてきた作家さんだと思います。
今日ご紹介するのは、「Starfield スターフィールド」という万華鏡です。この万華鏡の特徴は、とても細かい銀色の粒です。金色のタイプもあるのですが、私は銀色が好きです。砂の粒子のようなそれは、ガラス製の細かいビーズだそうです。その中に埋もれているのは、比較的大きめなダイクロイックガラスのピース、カラフルなワイヤー細工やメタル片など取り合わせもかなりユニークなオブジェクトの数々。

極小のガラスビーズはオブジェクトチェンバーを回すとザーッと流れます。その動きの速いこと!少しずつスピードが緩み、流れが止まります。

大きなオブジェクトの動くスピードとは時間差があります。大きなオブジェクトが映像を結んでも、その周りでいろんな流れがあるのです。それが本当に面白い!
写真では動きの違いをお見せできませんが、この大きさの違いを見て、想像してみてください。

いつの間にか銀の流れは奥の方に向かい、こんな映像も見えてきます。ダイクロイックガラスは透明な側面から入り込む光と銀色のビーズの反射で輝いています。
時間差のあるオブジェクトの動きを楽しみながら、美しい輝きに満ちたインパクトの強い映像表現です。ドライチェンバーに“流れ”を取り込むこのアイディアにぜひ注目してくださいね。


この万華鏡の全体の姿です。筒に巻かれているのは、美しい仕上げのアルミニウムで、金色の真鍮と木目の美しい木部をアクセントにスマートな姿。持ちやすく機能的にできています。オブジェクトチェンバーは、ベアリングを使ってなめらかに回転するようになっています。 

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