万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

万華鏡をアートする?

2011-09-30 22:00:18 | 万華鏡ブログ

この2枚のパネル作品は、5月~6月にかけて、アメリカ、コヴィントンで開かれた「21世紀の万華鏡展」に出品されたキャロリン・ベネットさんの作品です。
ベネットさんは1978年から万華鏡作家として活躍してきました。スミソニアン誌で紹介された最初の7人のひとりで、今でも万華鏡を作り続けている作家さんです。 このスミソニアン誌を頼りに、コージー・ベーカーさんが万華鏡作家を訪ね歩き、作家やギャラリー、コレクターたちのつながりを作り出し、その集積が世界で初めての万華鏡展となり、万華鏡の本となったことを思うと、ベネットさんは、まさにアメリカの万華鏡の歴史を生きてきた感じですね。

万華鏡は現代のアートであると考え、素材もデザインも現代的な作品が特徴です。
万華鏡だけでなく、写真も彼女の表現のスタイルであり、ファインダーを通して自分の世界を作り上げている写真家でもあります。

そんなベネットさんが万華鏡をツールとして、これらのパネル作品を作りました。
対象物と、万華鏡を通して見たその映像とを組み合わせた作品ですが、すごくインパクトがあり、面白いなと思いました。 デザイン構成がさすがアーティスト! 選んだ素材もユニークだし、万華鏡の映像がこんな風に生かされることに、新しさも感じました。 作家さんが楽しんでいる雰囲気も伝わってきますね。

あと2枚。 こちらはクレヨンと芽の出た玉葱を素材に、万華鏡の切り口で作ったアートです。

ベネットさんのセンスには遠く及ばないけれど、ミラーを通して見る映像の面白さを自分でアレンジして遊んでみるのもいいかなと思いました。 

 

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ゴールドの輝きに囲まれて

2011-09-19 21:23:25 | 万華鏡ブログ

マーク・ティクルさんが今年のコンベンションで発表した新作「Ellington エリントン」(8個の限定版)をご紹介します。
万華鏡の途中と先端にある二つのオブジェクトセルがそれぞれ映像を結ぶ万華鏡です。 

覗き口はとても大きな三角形になっています。 正面から少し離れてみるとこんな風に奥行きのある万華鏡であることがわかります。
でもどうしたら、こんな風に映像が見えるのか、不思議な気もします。

少し上から覗いてみると、こんな風に金色に縁取られた模様が、2段見えています。 上の模様は手前に飛び出すように見えています。
表情のあるゴールドを多彩に映像の周りや内部映像の側面を飾るように使っているのが、独特ですね。 大きな覗き口だけに、立体的で、精緻で美しい万華鏡映像を十分楽しめるように、とてもきれいに作られています。

万華鏡の覗き口の頂点にもうひとつ小さな覗き口があり、そこから覗くと、宙に浮く曼荼羅映像を正面から見ることになります。
写真の撮り方にもよるのでしょうが、実際に目で見ると、もう少し鮮明な映像です。 ガラスオブジェクトの生み出す微妙な色合いが魅力的です。

独特の鏡使い、驚きをもたらす3D映像、美しい手作りのガラスオブジェクトの組み合わせ、そして金箔などを取り入れたアート表現・・・いずれをとってもマーク・ティクルさんの築いてきた技術や表現の積み重ねから生まれたもので、彼の万華鏡の魅力であり、独自のスタイルとなっていると思います。
素晴らしいですね。 

 

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スターワンダー

2011-09-17 19:40:16 | 万華鏡ブログ

前回ご紹介したマイケル・コリアさんの「トリオ」に続いて、同じスタイルで発表された新作をご紹介します。
アイピースやオブジェクトセルに使われている新しいパーツが、クローム仕上げのアクリルであることから名づけた「クロームシリーズ」には、ほかに2ミラーシステムの「スターワンダー」と3ミラーシステムの「インフィニティー」があります。

トリオと違ってこのどちらも先端のオブジェクトセルが気持ちよく回転します。 先端のセルが回転するということは、筒全体を回す必要がなく、覗きやすさ、楽しみやすさにつながりますので、万華鏡を選ぶひとつのポイントになります。 材質や造りによって、すべての万華鏡が同じようにオブジェクトセルを回すことができるわけではありませんが・・・

この「スターワンダー」をのぞいた時、一番印象的だったのは、迫力あるダイナミックな映像の動きでした。オブジェクトがオイルの中で大きく動くことができるからでしょう。
ガラス、ポリマークレイなどに混じって、何種類かの貝がらも見えていますね。

白いくちゅくちゅしたオブジェクトは、マイケルさんの代になって、登場しました。

かなり大きなオブジェクトセルなので、大きめのオブジェクトも入っていて、しっかりと存在感を示します。メリハリがつきますね。

横から強めの光を当てると、反応して輝き、陰影も増して、また違った雰囲気の映像になります。黒い背景の万華鏡には、光に反応するオブジェクトを使っていると輝きが生まれ、映像の魅力が増しますので、多くの作家さんが取り入れています。もしそんな万華鏡をお持ちでしたら、ぜひお試しくださいね。

最後になりましたが、筒の部分には前回のトリオでもご紹介しましたポーラ・ナーデルスターンさんのオリジナルデザインの生地を使っています。
模様の名前はDreamscape(夢のような情景という意味)だそうです。
クローム仕上げのパーツとよく合っていて、クラシックにもモダンにも見える外観のデザインですが、日本人の皆さんには、どんな印象があるでしょうか? ぜひお聞かせください。

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新しいトリオ

2011-09-12 17:57:55 | 万華鏡ブログ

Contemporary Kaleidoscopes (現代の万華鏡)というキャッチフレーズのもと、基本には忠実ながら、映像デザインや外観のデザイン、品質へのこだわりを見せるコリア・カレイドスコープス工房から、「Trio (トリオ)」がヴァージョンアップして戻ってきました。

万華鏡キルト作家として有名なポーラ・ナーデルスターンさんが自らデザインした布地を筒に巻いています。 彼女は万華鏡のキルトをデザインするためにカットする布地までデザインしてしまうすごい人です。 もちろん万華鏡映像からインスピレーションを得てキルト作品を制作なさるのですから、万華鏡が大好きな方です。(2009年9月15日、2010年1月27日のブログでもご紹介しました。) 
また彼女の作品をプリントしてリキッドサスペンションシリーズに加えたキャロリン・ベネットさん(2006年7月10日、2006年12月17日)、また彼女の作品をガラスオブジェクトでイメージしたペギー&スティーブ・キテルソン夫妻の万華鏡も2010年2月21日にご紹介しました。

トリオという名のとおり、3つのミラーシステムがひとつの万華鏡に組み込まれています。
覗き口とオブジェクトセルの部分はクローム仕上げのアクリルで、現代的な感覚のデザインとなっています。

まず3ミラーシステム。 オーソドックスなミラーシステムですが、オブジェクトの面白さ、バランスの良さで、変化も大きく、色彩鮮やかな映像展開です。 オイルセルなので、ゆったりとした流れも楽しめます。

次は2ミラーシステム。 くっきりと鮮やかな6ポイントの映像。

そして 最後はマイケル・コリアさんがVortex Tunnel (渦巻きのトンネル)と呼ぶサークルミラーシステム。 映りこんだオブジェクトの色が立ち上ってくる映像です。 
3つとも同じオブジェクトセルから生まれているのが、不思議なくらいですね。

コリア工房は、生活の中でいつもそばにあって気楽に楽しめる作品を製作していますが、そのことを多くの人に知ってほしいと願っています。 現代的な材料を使い、気取らないけれど高品質で、誰もが楽しめて、きっと嬉しくなる万華鏡です。手に取る機会がありましたら、ぜひ覗いてみてくださいね。

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ガラスのパッチワーク

2011-09-09 10:09:02 | 万華鏡ブログ

スー・リオさんの新作「ホワイト・ダイアモンド White Diamonds」です。 
水滴が一面についているような透明なガラスをボディーに使っています。
飾りのガラスロッドも透明、アクセントのガラスジュエルも銀色に光るガラスです。 そしてオブジェクトは彼女のオリジナリティーあふれるダイクロイックガラス・シリンダー。 すべてを銅色のハンダでまとめた美しい外観の作品です。

特に、様々な質感、表情のダイクロイックガラスをパッチワークのように繋ぎ合わせたシリンダーは、回転し光を受ける角度が変わるたびに、その色を変えます。 
当然ながら、ミラーシステムを通して見る映像も、その迫力と色合いの変化に驚くばかりです。

2つの異なるミラーシステムを組み込んであるので、覗き口は2箇所。 ひとつは2ミラーシステムです。

そしてもうひとつは3ミラーシステム。 視野いっぱいに広がる圧倒的な色の饗宴です。

次にご紹介するのは 「ウィッシェズ Wishes」 こちらは以前にもご紹介したことがあるかと思いますが、49/75とナンバーが付いているように、限定版の49番目の作品。 コンセプトは同じでも使っているガラスの色合いや組み合わせによって変わってくるので、同じものはありません。

ゴールドの輝きのあるイリデッセントガラスをボディーにつかい、ガラスロッドもゴールド。 アクセントのガラスジュエルは、夕焼け空のような輝きを持つダイクロイックガラス。
オブジェクトはやはり美しいダイクロイックガラス・シリンダーです。 

こちらは2ミラーシステムですが、ミラーの筒の第3面にダイクロイックガラスを使っているので、中心映像の周りにオーロラのような輝きが見えます。 映り込むオブジェクトの色を反映して、オーロラのようにゆらゆらと色合いが変わり、幻想的な映像を見せ、とても美しいです。

ガラスの美しさを引き出し、外も中も魅力的な万華鏡を創るスー・リオさん。 ひとつひとつが手作りのガラスのパッチワークは、外から見ていても本当にきれいなアート作品です。 光を通した時、反射した時、それぞれに思いがけない色模様を見せ、別世界を覗いている気分になる万華鏡です。

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大きなマーブルを美しく支えるテクニックとセンス

2011-09-07 22:43:25 | 万華鏡ブログ

今日はおそらく1980-90年代に製作されたと思われるマーブルスコープをご紹介します。
マーブルスコープは、先端で色模様のガラス球、マーブルを全方位に自由にまわして、映り込む映像の変化を楽しみます。
飾りハンダで固定されているように見えますが、先端部まで伸びたワイヤーで支えているだけで、丸い球体のガラスはいくらでも回せるし、好きなところで止めてもOKです。

有名なガラスアーティスト、シャンティデヴィさんによる万華鏡だと聞いています。
特徴は直径5cmほどの美しいマーブルと、この飾りハンダ。 水晶のかけらやガラス宝石がハンダのデザインに組み込まれているのがわかるでしょうか。 マーブルを支え、回転させる機能を保ちながら、美しいマーブルにふさわしいデザインです。

生み出される映像は、とても変化に富んでいて驚きます。

たった一つのマーブルなのにとても豊かな表情。 それをミラーを通して見ると、さらに何倍もの画像の数々となって楽しませてくれる、マーブルスコープです。

 

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月を愛で、万華鏡を愛でる夜

2011-09-06 23:02:17 | 万華鏡ブログ

京都万華鏡ミュージアムからご案内をいただきました。
東日本大震災の一日も早い復興を願って―という願いを込めた企画「嵐山 法輪寺で月を愛でる」の催しで万華鏡が本堂に投影されるそうです。 山見浩司さん、中里保子さん、依田満さん・百合子さんを始め、日本を代表する作家さん達の万華鏡映像を監修したものを投影するそうです。
9月8日から16日まで開催。 18時から21時まで(雨天の日は中止)。

嵐山できれいな月と万華鏡映像の両方が楽しめたら素敵でしょうね。

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蓮と柳

2011-09-03 23:48:17 | 万華鏡ブログ

依田さんご夫妻の、「下町のガラスシリーズ」から新柄です。サンドブラストして白地に青で、上からは柳の枝、そして下からは蓮の花が浮き上がっています。

この万華鏡は一方がオープンになった2ミラーシステムです。 外に向けてオープンになったところが映しこむのは外の筒の模様。 ぐるりと蓮の花のシルエットが映像の周りに見えています。 そして、中心部では、こんな花が咲いています。

光の当たり具合では、こんなにも明るくなります。 瑞々しい!

外からはオブジェクトセルを見ることができないのですが、映像を見ていると、オブジェクトの表情の違いが良くわかります。

小さなセルから生まれ出る花の数々が美しい。 静かな雰囲気の漂う万華鏡ですが、心はざわざわしてしまうかもしれませんね。

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蝶&かたつむり

2011-09-02 22:02:56 | 万華鏡ブログ

すっきりとした形の透明なガラス瓶の中に銀色の花が咲き、白い蝶のいる万華鏡です。
依田さんの万華鏡にはどれも物語があるなあと思っていましたが、これもそんな作品のひとつです。
透明なガラスと金属の飾りと紙の蝶が重なり合っているところが、不思議な組み合わせに思える一方で、野の花に戯れる蝶という小さな自然界を切り取ったようなデザインにふと手にとりたくなる気持ちを持ちました。

ミラーシステムをぐるりと巻くように飾っているのは銀色の金属細工の花と葉です。
そして大きな白い蝶がとまっている・・・
中にも蝶がたくさん飛んでいました!

次は珍しいフラスコを使った万華鏡です。 中にいるのは何だかわかりますか?

もっと近づいてみましょう。

可愛らしいガラスの(バーナーワークでの手作りです)カタツムリが見えますね。
このフラスコ、覗いてみたくなりませんか?
でも、ミラーを通して覗いているのはこのカタツムリではなく、ミラーの先端の小さなオブジェクトセルです。 このミラーシステムもすりガラス状の筒の中にあり、周りを銀色の草花で飾っています。 庭の片隅の光景みたい。 そしてその小さなフラスコの口を覗くと、視野いっぱいにガラス細工の花畑のような光景が広がります。

 

この2つの万華鏡は、そこにあると、ガラスの中の小さな世界をのぞいてみたくなります。
 
そして中に展開し、一瞬で変化するガラス色の世界にきっと何かを感じる万華鏡です。

 



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夕暮れどき

2011-09-01 14:07:25 | 万華鏡ブログ

夕方暗くなるのが早いなあと思うこの頃、こんな万華鏡に出会いました。
依田満さん、百合子さんご夫妻の「夕暮れどき」という作品です。 底のほうに深い藍が溜まったようなガラスの筒ですが、全体が透明感にあふれています。透明なガラスの筒にミラーシステムを入れるのは、ミラーの裏側が見えてしまうのであまりありません。 でもこの万華鏡は、その青い透明感を生かした素敵な万華鏡だと思いました。
ミラーシステムをすりガラス状の筒に入れて、透明な筒の中に入れています。

藍色のガラスの底(筒の下から1/3ぐらいのところ)はすり鉢状になっていて、そこにガラスのオブジェクトが入っています。 上の覗き口から見ると、青を背景にガラスオブジェクトの織り成す3ミラーの魅力的な色模様が見えています。 筒全体を回して映像の変化を楽しみます。
オブジェクトセルとミラーシステムの境目、外のガラスとミラーシステムの間には色とりどりのビーズの粒がお洒落なアクセントになっています。

この作品と同じタイプで小型の万華鏡も並べてみました。前の2点です。 「アクア」というタイトルが付いています。

クリアな筒にはクリアなガラスビーズを筒とミラーシステムの間の装飾に使っています。 
色を感じない透き通った作品ですが、オブジェクトはやさしい色の組み合わせでこんな映像になります。

赤紫色のガラス、ヴァイオレットの筒も、深い色が立ち上ってきながら、透明感を生かした筒になっています。 背景の色を映しこんで、深く豊かな赤や紫に染まった色模様は、繊細な造りのガラスオブジェクトによって、魅力的なものになりました。

依田さんは様々な素材の持ち味、美しさを生かしながら、そこにミラーシステムを組み込み、オブジェクトを入れ込んで、万華鏡の命を吹き込みます。 この菅原工芸硝子(株)によるハンドメイドの美しいガラスが、万華鏡として新たなカタチとなり、ガラスの魅力をも伝える作品になっていることに感動します。 そこにはガラス職人さんの、そして万華鏡作家さんの想いの両方が閉じ込められているのですから。

 

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