万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

ダイクロイックフィルターを廻らせたオブジェクトセル

2008-02-29 23:26:21 | 万華鏡ブログ
ランディー&シェリー・ナップ夫妻の「08 U Seen It」シリーズの3つ目は「Shockalite(ショッカライト)」という作品です。外観の写真では左から2番目で少し赤みを帯びた明るい茶系のマコレ材を使っています。
この万華鏡の特徴はオブジェクトセルの側面、光を取り入れる部分にダイクロイックフィルターがはめ込まれていることです。ダイクロイックフィルターとは、光学機器に使われるもので、表面の薄い膜により、特定の波長の光を透過させ、ほかの波長を反射させる作用があるそうです。いくつかのカラーがあり、混じりけのない色を取り込むことができるようです。外観の写真でも紫色に見えている部分がありますが、光の当たり具合でちょうどそこだけその色を反射しているためです。オブジェクトセルの外側から見ると、このフィルターの色ごとの輝きがよく見えています。このフィルターが取り込む光を受けて、オブジェクトの輝きが増す作用を以前からナップさんは作品に取り入れていました。
普通の光でも十分美しいパステルカラーの映像ですが、強い光が当たると、輝きが増し、オブジェクトに明かりが灯ったような見え方です。なかなかそのあたりをうまく写真が撮れないので残念ですが、その効果を活かした面白みのある作品になっています。豊かな色彩の混じりあう映像と独特の輝きが魅力的な万華鏡です。
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たそがれの薄明かりから夜空のきらめきへ

2008-02-28 16:53:41 | 万華鏡ブログ
ランディー&シェリー・ナップ夫妻の新作シリーズ「08 U Seen It」から、今日ご紹介するのは「Glimmer」という作品の映像です。昨日の写真の一番左側の万華鏡で、オーク材の薄板を巻いています。
ナップさんの説明を付け加えます。
「ナップ夫妻の過去のシリーズ“トワイライト”は、1990年代初期に作られた万華鏡でポピュラーな作品でしたが、この作品からインスピレーションを得て“グリマー”が生まれました。“トワイライト”の時期とは違って今では新しい素材も増え、映像は一新されました。」
「グリマー」という言葉は「ちらちら光る」とか「かすかに輝く」という意味ですが、この万華鏡が見せてくれるのは黒い背景の中に浮かび上がるはっきりとした明るい色。とりわけ赤やオレンジが印象的ですが、それを印象付けるのが、ダイクロイックガラスや透明なガラスのオブジェクト、細い線の入ったオブジェクトなどで、それらが混ぜ合わされると、何とも不思議で魅力的な表情を見せます。目を惹く強い色が見えたかと思うと、思いがけず落ち着いた色の混ざり合いになり、その中できらりと光るものが出てきたりします。大胆さと繊細さが混在する、目の離せない5ポイントの映像展開です。イタリアのガラスケインやダイクロイックガラスを使って、ひとつひとつランプワークで生み出されたオブジェクトは、シェリーさんが19年積み重ねた技のたまもの。過去の作品は見る機会を失いましたが、きっとかなり違っているのではないでしょうか。
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ユニークなタイトルの万華鏡

2008-02-27 21:28:39 | 万華鏡ブログ
ランディー&シェリー・ナップ夫妻の最新作シリーズ「08 U Seen It」という万華鏡です。「2008年あなたはそれを見た」というような意味でしょうか。ナップさんの万華鏡のタイトルは、ユニークなものが多く、時には万華鏡らしくなく、また造語まであったりするので、翻訳者泣かせです。
ご覧の通り外観は本当にシンプルですが、木目の特徴がよく現れています。最後に手で磨き上げるのだそうです。前回ご紹介しました「AnnAura」は右から2番目で、バーズアイメープル材です。
オブジェクトセルは薄く、側面がぎざぎざになっていて回転させやすい造りです。黒い背景で横から光を取り込むオイルタイプであることも、彼らのお得意のスタイルですがやはり今までとは違うところがあると思います。ナップさんのコメントにも書いてありましたが、今まで作ってきたさまざまな万華鏡製作を経て、積み重ねてきた技術と知識を集約してこのシリーズ作品を生み出したとのこと。こう言われればじっくりと見ないわけにはいかないですね。このシリーズのひとつひとつを取り上げてご紹介していきます。
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ランディー&シェリー・ナップさんの新作シリーズ万華鏡

2008-02-25 21:52:47 | 万華鏡ブログ
ランディー&シェリー・ナップ夫妻のナップ工房から2008年新作の万華鏡シリーズが発表されました。シリーズ名は「08U Seen It」です。このところずっと、ローズエンジンという旋盤を使って、凝った彫りの木工作品を数多く手がけていましたが、今回のシリーズは薄板の木材を筒の周りに巻いたもので、あっさりとしたシンプルなデザインになっています。
10年ぐらい前には樹脂を筒に使った、映像の美しいプロダクションタイプの作品を数多く製作し、日本でも多くのファンがコレクションしたものでしたが、このシリーズも、いくつかの種類が生まれそうな雰囲気です。今回は一度に4つの異なった木材とそれぞれに特有な映像表現を用意してきました。
今日ご紹介するのは「AnnAura」という作品の内部映像です。オイルセル、黒い背景というスタイルは変わらず、この作品は7ポイントの2ミラー映像になっています。先端のオイルセルも回転する仕組みになっていて、限定版の高級な作品に劣らず、ナップ工房の質の高い魅力的な映像を楽しめるのが嬉しい作品です。シェリーさんのデザインする「オーラ」はますます進化し、素晴らしい色とバランスで、流れるように映像が展開します。

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草水晶

2008-02-22 22:36:47 | 万華鏡ブログ
「草水晶」という素敵な響きの名前を持った万華鏡。その名の通り、水晶のような透明な美しさと、彩りを添える草の緑が織り成す繊細で清らかな映像に、思わずため息が出ます。細井厚子さんの万華鏡は、静かに心に染み入るような映像を楽しむ万華鏡です。
ドライセルのオブジェクトのひとつひとつは極めて繊細な造形で、筒を回してそれらを絡み合わせながら動かすという動作に、ぶつかり合うガラスの音に、そして生まれる映像を見る行為に、一種の緊張感があります。乱暴に扱ったら壊れてしまいそうな危うさを秘めた美しさというのでしょうか、生まれる映像のどれもが大切な宝物のようで、いとしさを感じます。
無色透明なガラスオブジェクトを中心に使いながら、こんなに表情の豊かな映像が生まれることに感動するばかりです。万華鏡が好きな人は、きっと宝石よりもガラスに幸せを感じられるのではないかしらと思ったりしています。
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オアシス

2008-02-20 19:49:50 | 万華鏡ブログ
「オアシス」は、ポール・ノックス工房の初期(2002年)から作り続けているベストセラーのシリーズです。あまり変化のない日常生活に一服の清涼剤のような潤いの時を提供したいという意味から名付けられました。
ポールさんは木材の美しさを万華鏡に表現することに挑戦し続けている作家さんです。この4本だけ見ても木材の表情が違っているのが分かると思いますが、本体の部分とセルの部分に異なった木材を使って、たくさんのヴァリエーションで製作する定番の作品です。以前にご紹介した「ドリーム・キャッチャー」より小型で高さ17.5cmほどですが、先端部がスムーズに回転する仕組みを取り入れた高品質な万華鏡です。
オイル入りのオブジェクトセルは10種類のカラーコンビネーションがあり、それぞれに名前が付いています。自分のお気に入りのセルに、珍しい木材が手に入ったときに作られるユニークな木目の作品に出会えたら、ラッキーなんですよ。
自然のままに残っている穴や色の変化した部分などは、むしろ木材のユニークな特徴として大事にされます。定番シリーズでも「ちょっとほかと違う」のがクールなんだそうです。
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万華鏡の中の虹色

2008-02-17 23:15:02 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介の豊田万里さんの「レインボー」の内部映像ですが、これは本体の色がレッドのものです。 名前の由来だと思われる内部映像の虹色ラインがきれいに映っているものを選びました。ボディーの赤いガラスの一部にシルバーやブルーグレーのガラスのラインをはめ込んでおり、その部分が光を通し、ミラーシステムの中にまで届く仕組みになっているので、色が映りこんで、中心の映像の周りにお洒落な縞模様が見えます。そしてその一部が虹色のラインとなって輝くのです。 
2ミラー12ポイントの中心映像も繊細で美しく、黒を背景にとても魅力的な展開を見せます。映像を生み出すためのオブジェクトの選び方にジュエリー作家らしさ、女性らしさを感じます。
この万華鏡を覗く環境の光や明るさで、さまざまに表情が変わるのも面白いです。
ブルー系の作品にはブルーの世界が、グリーン系の作品にはグリーンの世界が展開しますが、どれもガラスオブジェクトの織り成す模様の美しさに目を奪われる万華鏡です。
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レインボー

2008-02-16 21:46:45 | 万華鏡ブログ
万華鏡作家・豊田万里さんとガラス作家・芳賀紀子さんのコラボレーションによる万華鏡「レインボー」をご紹介します。1月の「アートの庭」での個展でとても人気のあった作品だそうです。外観はブルー系、グリーン系、レッド系と3種類ありましたが、いずれはレインボーカラーを揃えることを考えていると豊田さんから伺いました。
ボディーは1月19日にご紹介した「野の花」と同様に半円筒形で、大きさは全長20cmほどです。透明感のあるガラスを使っているので、吸い込まれるような光沢が美しく、筒の丸みを帯びた曲線が活かされたデザインです。オブジェクトセルは筒の延長上につながっているので、一体感があり、外観だけを見たら、万華鏡であることに気付かないかもしれません。青いガラスの手前に映っている何色かのラインが美しいアクセントになっていますが、このラインが映像表現の大きなポイントにもなっています。映像はまた次回にご紹介します。

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押し花を楽しむ万華鏡

2008-02-14 16:50:56 | 万華鏡ブログ
この万華鏡映像は、ホイールに挟み込まれた押し花をツイン2ミラー(薄い菱形に組んだ4ミラーシステム)で見たものです。田村愼一さんの作品で、ボディーは細かい畝のあるクラフト紙、その先端に押し花をはさんだアクリル製のホイールが付いています。素朴な素材の万華鏡に、自然のままのオブジェクトはよく合います。
きれいな映像のポイントは、何といっても押し花の色が美しいこと。自然の色を失わないように、短時間で押し花を作る方法があるそうです。新聞紙にはさみ、百科事典の下に置いて作った経験しかない私は、電子レンジを使うと聞いてびっくり!
いろいろな色と種類の花や細かい葉をホイール上に並べてあるだけなので、ミラーシステムも単調な模様にならない工夫が必要です。このツイン2ミラーシステムや角度の狭い2ミラーシステムがぴったりですね。
中心のふたつの大きな映像は、片方が外側に向かって広がるように映像が変化し、片方が内側に向かって吸い込まれるように映像が変化します。花模様がグリーンを交えながら本当にきれいに変化するので覗いていて楽しくてたまりません。
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折鶴がオブジェクト

2008-02-13 23:37:04 | 万華鏡ブログ
田村愼一さんの個展では色とりどりのダンボール製のハンドヘルドタイプ(手で持って回しながら覗くタイプ)が並んでいました。ダンボールといっても、パステルカラーなど美しい色で、細かい畝があり、その素材感の面白さを上手に万華鏡に取り入れています。この写真の作品は、ホログラムの紙で折った鶴をミラー筒の先につるして、その動きを万華鏡映像で楽しむというもの。鶴の動きと光の当たり方できらきらとした映像が見えます。
このほかにもダンボールのボディーの先に、ガラスシリンダーを取り付けて、回転させて楽しむタイプでは、オブジェクトにガラス片、カットされた紙、プラスチック粘土、小さなホログラムの折り鶴など、いろいろなバラエティが用意されました。
押し花をプラスチックの円盤にはさんだホイールタイプもあり、鮮やかな色を保っている花や葉の生み出すきれいな映像に心惹かれました。小さいのは手のひらに載るくらいの可愛らしい万華鏡もありました。
ミラーシステムもいくつかバラエティーがあり、見え方もきれいなので、選ぶ楽しみ(苦しみ?)を与えてくれる作品群でした。
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