前回ご紹介したローラ・ワイルドさんの万華鏡に添えられた、自作のお話をご紹介します。
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ブルー君はよくわからなかった。
なぜブルーという色は悲しい時に使われるんだろう?
だって僕は普段悲しいわけではないのに。
時には冷たさを意味することもあるんだ。僕は普通は冷たくないのにね。
でも僕が一番いやなのは"悲しい"というラベルを貼られることなんだ。
「今日はブルーな日のようだね」って言うのは「今日は悲しそうな日だね」と言うのと同じらしい。
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それでブルー君は友達に意見を聞いてみることにした。
レッド君は花の絵を描いていた。
「レッド君、君は僕が悲しいと思うかい?」
レッド君はちょっと考えて答えた。「いや、そうは思わないよ。なぜそんなこと聞くの?」
そこでブルー君は言った。「みんなが悲しいときに僕の名前を使うんだ。でも自分ではそんな風に感じることはないんだよ。」
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「ああ、それなら僕だって。 みんな危険なところにはいつも僕の名前を使うけど、僕はちっとも危険なんかじゃない。 それどころか、アジアの国では僕は「幸運」を意味するんだよ。 他の友達のところにも行って聞いてみたら?」
レッド君はまた絵に向かった。
そこでブルー君は庭仕事中のパープルさんのところに行って、同じ疑問をぶつけた。
「私にもよくわからないわ。 えばった王様とか、高慢な人を意味するのに私の名前を使う人もいるけど、私はいつだって、誰にでも気持ちよく、役立ちたいと思っているのよ。」 パープルさんは肩をすくめ、庭に戻っていった。
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オレンジさんは冷たい飲み物を入れているところだった。
「私は他の人がどう考えるかは気にしない。 私のことを"暑い"と言う意味で使う人もいるらしいけれど、私自身は暑く感じる時もあるし、寒く感じる時もある。その間の時もあるしね。」
イエローさんは木登り中だった。ブルー君が他の人が意味することについて尋ねると、笑って言った。
「私のことを"注意"とか"警告"とかに使うよね。 私の名前は、臆病者と言う意味で使われることもある。 でも、どんな風に言われるかなんて気にしないわ。 だって私は私。 幸せだったり、悲しかったり、喜んだり、注意深くなったり、勇敢になったり。 自分がありたいようになるだけ。」 そう言って イエローさんはまた木登りを始めた。
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次にブルー君はグリーン君のところに行った。 彼は読書中だった。
グリーン君は少しの間考えているようだった。
「僕の名前は地球のことを大切に考えている人たちが使うよ。良いことだね。でも時々グリーンは病気の人を意味したり、他人の幸運をねたむ人を意味することもある。 だけど僕自身は幸運な人がいれば嬉しいし、ねたんだりしないよ。 そんなに気にするなよ。時々ちょっと変わった人もいるさ。」
グリーン君は次のページをめくった。
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ブルー君が訪ねた最後の友達はブラック君とホワイトさんだった。彼らは仲間同士のパーティーを準備しているところだった。
ホワイトさんは「そうね。私の名前はいろいろ使われるわ。冷たいとか、ある国ではお弔いに使ったり。 私はいちいち気にしないことにしているの。」
ブラック君は反対に、悲しそうな顔をして答えた。「僕の名前はあまりよくないことに使われることがあるんだ。 お化けみたいな怖いものとか。」 でも彼は微笑んで続けた。「でも僕の名前は何かエレガントなものにも使われるよ。たとえば"ブラックタイ" みたいに特別に素敵な時にもね。」
ブラック君とホワイトさんはまたパーティーの準備にとりかかった。
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ブルー君はあれこれ考えてみた。 ああやって色にラベルをつけるのは本当は正しくないよ。レッド君は穏やかでとってもいい友達だし、パープルさんはいつも人に手を貸すことをいとわないし、歴史の授業で習った王様や女王様だって、みんながえばっているだけではないように思う。 イエローさんは、冒険が好きみたいだけど、いつも注意深いし、オレンジさんは涼しい風が好きで、よく泳ぎにも行くね。 グリーン君は本の虫だけど仲間もいるよ。
ブルー君は友達みんなのこと、そしてみんなが言ったことを考えながらぶらぶら歩いていると誰かが捨てていった古いおもちゃがいくつか入った箱を見つけた。 ブルー君は立ち止まり、そのおもちゃを見ていた。 その中に鏡の入った筒を見つけ、覗いてみたら、何とまったく違う世界が見えたんだ。 薔薇の茂みを見たら、とてもきれいなピンクとグリーンの星だった。 その魔法の筒をはずして見たら、普通の花と葉っぱだった。きれいだけど、普通だった。
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いい考えがあるぞ・・・・
ブルー君は友達みんなのところに言って、長いこと話をした。
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次の朝、子供たちが遊びに来た時、そこにあったのは・・・・
あの捨てられていた筒とほとんど同じようなものだった・・・・
だけど、子供たちが覗いてみたら、とてもきれいな色がたくさん中に見えた。
筒を回したら、色が集まってきて素敵な形になった。 まるでカラフルな雪の結晶みたい!
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子供たちはみんなとても喜んだ。 そしてブルー君もね。 だって子供たちが、いろんな色が組み合わさって模様になるのがとても気に入ってくれたから。 誰も悲しくないし、怒ったり、かっかとしたりしないよ。 人が勝手につけたラベルなんて関係なし!
「そう、それでいいんだ。」ブルー君は気持ちがすっきりして、友達と遊び始めた。
***おしまい****
(この本の最後のページには、この万華鏡の楽しみ方や 万華鏡で使う表現などの説明が付いています。)