万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

This is it

2016-05-29 21:28:26 | 万華鏡ブログ

中里保子さんが今年のコンベンションで発表した新作 "This is it" です。
アイアンの半円型のスタンドにキューブ型の本体を載せた斬新なデザインは、今までの作品にはなかったシャープな感覚で、中里さんの新しい一面を見せるクールな作品だと思います。
この赤地に黒い模様が入ったユニークなガラスは、いつか作品を作るためにと大切にしてきた貴重なガラスだそうです。そしてピタッと決まったデザインにつけたタイトルが"This is it" (まさしくこれだ!)

オブジェクトセルに光を当てて、上からのぞきます。覗き口は上の角のあたりにありますが、その先に広がる世界はガラスの森に迷い込んだよう。 写真では大きさと深さを表現できず、残念です。

こちらは「富士山」シリーズです。いろいろな季節の富士山を表現した4点はそれぞれ趣のあるガラスを使っています。

4ポイントの映像は、すっきりと美しく、それぞれの季節を表現しています。

「型紙」シリーズや「秋草」、「ゆうな」といった和のデザインの作品も展示して、日本的な美もアピールしていました。
柔らかな感性とシャープな感性、斬新さと伝統への回帰、ガラスと金属の組み合わせ、シンメトリーとアシンメトリー、生まれてくる作品にいつも何か新しさを加え、私たちを感動させてくれる作家さんです。

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ピープルズチョイス・アウォード ダブルで受賞!

2016-05-27 23:45:48 | 万華鏡ブログ

この美しい姿の万華鏡は、小山雅之さんの"Stream of Time" です。独自の技法のステンドガラスの作品で、直線を重ねて優雅な流れを感じさせる作りになっています。2種類の白いガラスを使っていて、はんだの部分は赤みがかった色になっているのがデザインの特徴だと伺いました。
そして、快挙です。この作品は今年のコンベンションのピープルズチョイス・アウォードを受賞しました。 

大きなのぞき口から見える美しい映像とそれを囲む市松模様が素敵です。この作品のタイトルが「時の流れ」だからでしょうか、オブジェクトに時計の歯車や針などの部品を使っているのが効果的で、下からの光を通してアクセントになっています。片目をつぶらなくても楽に美しい映像展開を楽しめるのもいいですね。よく見ると、背景にブリュースター卿の写真や古いスコットランドの地図があり、映像に映り込んできます。万華鏡の200年を意識した作品ですね。

小山さんがとても喜ばれたのは、万華鏡の師である山見浩司さんも同じ賞を受賞されてダブル受賞となったことでした。 山見さんの作品は灯台とブリュースター卿の肖像画をデザインに組み込んでいる、手の込んだステンドガラスの作品です。

すべてガラスでできています。 のぞき口は灯台とブリュースター卿の頭にあります。
これらの作品を含んだ、BKSコンベンション参加作家展が6月1日から流山市の万華鏡ギャラリー、見世蔵で展示されます。 ぜひ実際の映像を見ていただきたいです。

ピープルズチョイス・アウォードは、新作発表の作品のなかから、コンベンション参加者の投票により3名が選ばれます。もう一人の受賞者は、スティーブン・グレイさんです。

たくさんのギアが組み込まれた木工の作品で、細かいところにも工夫がある、ユニークな万華鏡です。 ミラーシステムは6枚で、覗き口の1枚はハーフミラーと聞きましたが、この映像を見ても、どうなっているのかさっぱりです。

こちらも大きなのぞき口から見える、球体が奥深くまで連なる不思議な映像です。

投票用紙が一人1枚配られ、そこに自分が良いと判断した作家名を3名書き込みます。土曜日の4時が締め切りなのですが、素敵な作品がたくさんあるので、いつもぎりぎりまで迷って投票します。私の場合、万華鏡の品質、デザイン、オリジナリティーなどが決め手ですが、最後は自分の好きな映像表現も評価に加えます。 誰の作品を選んだかは内緒です。

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初登場 ロイ・コーエンさん

2016-05-25 16:43:24 | 万華鏡ブログ

今日ご紹介するのは、このブログでも初めての作家さんで、今回のコンベンションで初参加のロイ・コーエンさんです。 作品は日本にもすでに入っていて、お名前も覚えていましたが、実際にお目にかかることができてよかったと思います。

イスラエルの作家さんですので、お国では万華鏡はどうですか?と伺いましたら、「人気があるよ。でも作るのは僕だけだからとても忙しい」とのこと。
今回の作品は、新作発表の"The Violet Firefly" です。 真鍮製のボディーに紫色に輝くチューブが見えています。
ミラーシステムを内包する筒の上に、もう一つの筒がありますが、その中にUVトーチライトが入っています。 その光を光ファイバーが伝え、外からは見えていないオブジェクトを内部で照射しているのです。

オブジェクトは蛍光色に輝き、鮮やかな2ミラーの映像になります。
この作品は、ストラスモアで開催されている「万華鏡200年記念展」にも出品されていて、BKSの会員で選ぶ、この記念展でのピープルズチョイス・アウォードを受賞しました。

もうひとつ、展示されていた"Mr.Squishy" もユニークな作品です。

ひし形に組まれた4ミラーですが、上下、左右に手で握るように押すと、4枚の板と内側のミラーが筒の形を変えるように動き、その結果 ポリアンギュラーな(ミラーの角度を変えられる)万華鏡になっているのです。外側の板は蝶番でつながっているようですが、ミラーのつなぎ目がどうなっているのか、気になるところですね。 のぞいた印象は、きれいな映像でした。

 

 

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ダイクロ・ブルー

2016-05-24 20:54:51 | 万華鏡ブログ

今年のコンベンションで見つけたチャールズ・カラディモスさんの最新作 "Dichro Blue" (ダイクロ・ブルー)をご紹介します。
青いガラスにダイクロイックガラスを重ね、それをフラスコ型に成形しています。深い青の色にブルーやグリーンの輝きをアクセントとする作品です。 高さは約24㎝・・・幅もあるのでやや大きめの印象ですが、持ちやすいと思います。8点の限定版制作のうちの1点です。8点は、いずれもブルー系ですが、この作品は深いブルー、ほかに水色のボディーもあり、模様も一つ一つ違っています。
オブジェクトセルの背景は白いガラスで、内側に少しだけ薄いブルーの色が入っています。

それが映像にも映り込むことがあり、爽やかな印象になっています。

ブルーを基調に、ダイクロイックガラスのオブジェクトも輝きを添えます。

小さな写真では映しきれていませんが、手作りのオブジェクトの織り成す繊細な色模様とその変化は、本当に美しくて目が離せません。

ビーズの粒が入ったドライアンプルと黒いガラスオブジェクトは、カラディモスさんのトレードマークです。アンプルの中のビーズの動きとオブジェクト全体の動きの両方があって、ドライセルの静止画像の中に別の動きがあるのが面白いですね。

映像の中心がずれることなく、また大きくて美しいシンメトリーを生み出すのは、テイパード 2ミラーシステムを取り入れているからです。先のほうに行くにしたがって広がるように角度をとってミラーを切り、組み立てます。

ブルーという色の魅力でしょうか。 外観も内部の映像も清々しい印象で目を惹く魅力があります。気持ちを落ち着けるような映像展開です。

ポイント数でいえば、この作品は10ポイント。 オブジェクトを生かし、できるだけ変化の大きな展開があるように、彼の作品のポイント数は多めなのかなと思います。

 

 

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BKS万華鏡200年記念展から #5

2016-05-22 21:09:02 | 万華鏡ブログ

この万華鏡はそのデザインから、チャールズ・カラディモスさんの作品であることが分かるかもしれません。 しかし、この"Illumination”(イルミネーション)は今年のコンベンションで新作発表されたものであり、今までの作品とは違う要素が付け加えられています。 ストラスモアでの200年記念万華鏡展にも出展されました。

違う要素とは、背景が黒いセルを使い、内部に照明(LEDとバッテリー)を組み込んでいることです。 彼の作品はほとんど正面からの光を透過させる白っぽいセルや色の入ったセルが一般的でしたが、内部に光源を持つことで、黒い背景のオブジェクトケースが生かされます。

のぞき口の下にあるボタンを押すと40秒間照明がつきます。オブジェクトケースは、ベアリングで滑らかに回転するので、気持ちよく回すことができ、その映像を楽しみます。
また、この"Illumination" は オブジェクトケースをマグネットの着脱式で交換できるようになっています。 替えのオブジェクトケースは、光を通す白っぽい背景になっています。 映像は内部の照明を受けて、さらにくっきりと、明るく見えます。

外観も黒い本体のサイドパネルに輝きのあるガラスとビーズを配して、イルミネーションを表現しています。中央のビーズは内部の照明がつくと、外からも光って見えます。
カラディモスさんはメリーランド州在住で、今回だけでなく、ストラスモアでの万華鏡展ではいつも中心的な存在となって素晴らしい万華鏡展を演出してきました。 また、BKSのリーダーとして長い間活動してくださった功績が認められ、今年のコンベンションで「コゼット賞」を受賞なさいました。 様々な立場から、万華鏡というアートを推進することに貢献した人にブリュースター・カレイドスコープソサエティーが授与する賞で、コージーさんの本名のコゼットを冠する賞です。カラディモスさんは、 暖かく公平な人柄で誰からも信頼されています。そのうえ、BKSのために多くの時間を割いて活動してくださったので、会員の誰からも尊敬される方です。そして言うまでもなく高品質でオリジナルなカレイドスコープを作り続ける作家さんです。

次にご紹介するのは、シェリル・コックさんの"Full Circle" (フル・サークル)です。暖かい光を演出するステンドガラスのランプでもあり、これは素敵な万華鏡でもあります。 トップのカバーを外して覗きます。

木製の台の上には、回転するトレイがあり、その上にはガラスオブジェクトやビーズなどがランダムに飾られています。そして内蔵するLEDライトに照らされて、明るい映像を生み出します。 映像はすっきりと鮮やかで心が晴れやかになるような印象です。

美しいガラスの筒が木の塊に載っているのは、スティーブ&ペギー・キテルソン夫妻の"Solitude" です。秋の森で一人切り株に座り、静けさを味わうようなイメージをこの作品に込めたそうです。そう聞くと、覗いてみたくなりますね。

落ち着いた色合いの6ポイントの映像がゆったりと流れながら変化します。

今日ご紹介した、チャールズ・カラディモスさん、シェリル・コックさん、キテルソン夫妻は、BKSの中でも初期のころから活躍なさって来た作家歴の長いアーティストたちです。 来年の京都コンベンションにも参加の予定で、日本の皆さんとの交流を楽しみになさっています。 ご期待ください。

 

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BKS万華鏡200年記念展から #4

2016-05-18 22:57:43 | 万華鏡ブログ

BKS会員の作家の中でも意外と少ないのが万華鏡の生まれた英国(正確にはスコットランドですが)で制作活動をする作家さんです。 このユニークな映像は、英国のフランク・ヒギンズさんの"St.Basil" という万華鏡から生み出されたものです。 審査員賞受賞作品です。

ステンドガラスのどっしりとした万華鏡です。
同じくヒギンズさんの"Rose Window" は、オブジェクトシリンダーがランプシェードのような形。 映像はまさにローズ・ウィンドウです。 題名から予想はしていたけれど、くっきりとした美しい映像展開に惹かれました。  
(右はデヴィッド・スーギッチさんの"California Spring" です)

同じくステンドガラスのデヴィッド・スーギッチさんは、立体的な映像表現が得意です。さきほどの"California Spring" の映像は花が咲き、蝶が飛ぶもの。 長いボディにはテイパードミラーシステムが組み込まれ、そこにいろいろな工夫をして 3次元のユニークな映像を生み出しています。

この真ん中にあるのがスーギッチさんの"Matrix Geodesic" です。 こんな映像が見えるとは!

"Nova" の映像はまた違っています。

そしてこちらも審査員賞を受賞した、山見浩司さんの"Aurora"です。 輝くステンドガラスの組み合わせとオーロラを想わせるデザインが素敵ですね。

上からのぞくと、とても繊細な映像が展開します。 美しい!です。

今日、ご紹介したのは、同じステンドガラスの作家さんの作品ですが、いろいろな表現があり、独自性を持っていて魅力的だと思いました。

 

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BKS万華鏡200年記念展から #3

2016-05-17 16:22:39 | 万華鏡ブログ

この万華鏡展では特別展示として万華鏡からインスピレーションを得たアート作品の展示もありました。
上のキルト作品はポーラ・ナーデルスターンさんの"Stained Glass Anthology"です。1989年制作だそうです。 ポーラさんはキルトの世界ではとても有名な作家さんですが、ずっとBKSの会員であり、万華鏡作家の方ともつながりは強く、万華鏡から着想を得た作品を多数発表なさっています。 

"Millifiori" 2013年の制作です。 

"Right and Wrong Sides Together" 2015年の制作。

万華鏡作家としてチェスニック工房の柱だった、ジャニス・チェスニックさんもキルト作品を制作しています。"Sunburst V" 2016年の制作です。白い背景の万華鏡模様だと伺いました。

そして同じくチェスニックさん制作の"Cozy Baker Memorial Quilt" (2012年)です。

コージー・ベーカーさんが、この万華鏡展をともに喜んでくださっているようでした。 
いずれも大きな壁面に映える手の込んだ大作ばかりでした。 

少し雰囲気を変えて、遊び心にあふれたトム・シュートウさんの大型作品をご紹介します。
部屋の隅におかれているのは"Gypsy Kart" という見るからに楽しそうな万華鏡です。これは横から見た姿。 左側からのぞきます。

上の写真は側面ですが、その内部にはとても大きな3ミラーシステムが組み込まれています。ミラーの上にもオブジェクトがあり、内蔵する光が色を変えて、映し出される映像の変化を楽しみます。 

もう1点の大型作品は"Kaleidoscope Hall" 実際は4本の脚のついた高さのある作品です。

中を覗くと鏡の国。 広間のような景色で、柱の間に置かれたオブジェクトは交換可能で、いろいろな楽しみが生まれます。 


大型で楽しさにあふれた作品を専門にし、変わったオブジェクトを見つけ出して生かすのが得意な作家さんです。 

 

 

 

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BKS万華鏡200年記念展から #2

2016-05-16 16:03:29 | 万華鏡ブログ

マンション・アット・ストラスモアで開かれた「BKS万華鏡200年記念展」から。

スー・リオさんの作品 “Mandelight”です。 1990年代前半からステンドガラスの作品を作り続けてきた作家さんです。大きな、回転するガラスのシリンダーは彼女のトレードマークの一つです。 外から見ても個性的で美しく、また中の映像も美しい作品を目指しています。飾りたくなる素敵な作品ですね。 審査員賞の受賞作品です。

そして、曼荼羅模様をステンドガラスで表現した作品もありました。

石田千香子さんの“SARASA”です。 1819年に初めて万華鏡が日本に伝えられ、当時「更紗眼鏡」と呼ばれたそうです。その更紗模様を組み込んだデザインで制作した作品です。

オブジェクトセルにも工夫があり、鮮やかな独特の色模様が展開します。

次はフィル・コグヒルさんの瓢箪を素材とする作品です。 万華鏡作家としての活動歴はとても長く、また工業デザインや万華鏡制作の教育にも携わった方です。 最初はステンドガラスを素材としていましたが、その後は様々な木材を素材として作品を発表してきました。自然の素材を生かしたユニークでアートな万華鏡ですね。 審査員賞の受賞作品です。

木工の技術とメカニック、独自の映像表現でオリジナル作品を制作するスティーブン・グレイさんの“Whirling Fantasies” です。 回転するトレイの上に載せた様々なものを3種類のテレイドスコープで見ます。 

2014年に発表してピープルズチョイスアウォードを受賞した“Phantom” です。 ユニークな映像表現です。

久々に拝見したフランク・カッシアーニさんのエッグアートの万華鏡です。卵の殻を使った万華鏡作品を18年以上制作してきました。 
レア(アメリカダチョウ)の卵なので結構大きさがあります。

オブジェクトのガラスマーブルを回して映像を楽しみます。

木工の万華鏡作家アーニー・ウェインステインさんの作品です。この作品(左)は“Faceted Tower”で両目で見るようになっています。そのように撮影できないのが残念。

次の作品は“Perspectives Parlor” です。 

 木工のスタイルには本当に多様なデザインがあり、アーティストの個性が発揮されていて見ごたえがあります。
今回もランダムに、いろいろな作品をご紹介しました。 万華鏡アートの世界、作家さんの生み出す世界・・・一つの作品を生み出すまでには、たくさんの積み重ねがあって、歴史があることを感じます。 そうやって今この場に存在するいろいろな作家さんの万華鏡の数々を見せていただけることに感謝の気持ちでいっぱいでした。

 

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BKS万華鏡200年記念展から #1

2016-05-11 13:39:59 | 万華鏡ブログ

1816年にデヴィッド・ブリュースター卿が万華鏡を発明してから200年となる今年、メリーランド州ロックビルにあるマンション・アット・ストラスモアで「BKS万華鏡200年記念展」が開催されています。6月5日まで。

この建物は大きなお屋敷風の建物で、ミュージアムとしてアート作品の展示などで使われています。 コージー・ベーカーさんが主催者となった1986年の世界初の万華鏡展から何度か万華鏡展が開催されてきた場所です。

今回は広く公募された作品のうちから、入選したものが展示されています。
ランダムに紹介していきます。

キテルソン夫妻の大型作品 ”Generations"  
世代を超えて楽しむ作品という意味が込められています。3種類のミラーシステムで花を見て楽しみます。

コージーベーカーさんの本とチャールズ・ソルグさんのユニークなデザインの作品はガラスケースの中に展示されていました。

ジュディス・ポールさん・トム・ダーデンさんご夫妻の“Seasons in America”
四季を表現する手作りのキルトをまいた筒です。 今年制作された、25個の限定版の最後の作品です。

それぞれ異なるミラーシステム、秋以外はオイルセルという構成です。セルの取り外し・交換も可能なので、16通りの組み合わせができます。 この映像は春かな。

マーク・ティクルさんの“Laura” 
この記念万華鏡展のために制作した新作です。審査員賞の受賞作品のひとつ。

大きな開口部から覗いたときに底面に広がる曼荼羅模様は水彩で描かれ映し出されたもの、金色が施されています。浮いたように見える曼荼羅模様は液体入りオブジェクトセルから生まれる動く映像表現です。動き変化するアートと動かないアートの組み合わせが万華鏡の醍醐味です。 そしてとてもきれいですね。

この曼荼羅アートを手描きで絵にした作品。 これもティクルさんの作品です。

キテルソン夫妻の“A Garden in Spring” (春の庭)です。

たくさんのガラスの花を白いガラスに重ねてフュージングして筒に仕上げてあります。落ち着いた雰囲気の木のスタンドが大きな筒を支えていて、飾るときは筒を垂直方向にします。映像も花園みたいです。 替えのオブジェクトセルがついていて楽しみも2倍、いえそれ以上に!

大きなお屋敷の部屋をめぐる感じで、展示を楽しみます。

ロドニー・ホーグさんの“Solus”(手前) と “SK VIII”(奥) という作品。大きめの作品を手掛ける作家で、作品を拝見するのは初めてでした。

中里保子さんの“Wind Way"(手前) ガラスと金属の組み合わせが斬新でスタイリッシュな万華鏡です。

奥に見えるのはジュディス・ポールさん・トム・ダーデンさん夫妻の”Crystal Vine"、右横はカラディモスさんの小型作品Kpod Paperweight Series の一点。

Wind Way の映像です。 テイパードミラーシステムで深い奥行きのある映像世界です。中里さんのテイパードシステムに添えられるガラスの花、見えますか?

こちらはチャールズ・カラディモスさんの“Radiance“ 放射するエネルギーを表現しているようです。

映像は相変わらず完璧なシンメトリー・・・

いかがでしたか? 写真だけですが、ご一緒に展覧会を楽しんでいただければと思います。そして、まだまだ続きます。

 

 

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カラディモスさんの工房

2016-05-07 11:18:13 | 万華鏡ブログ

誰もが認め、憧れる万華鏡作家 チャールズ・カラディモスさんが万華鏡を製作する場を見せてくださいました。

サイロの横にある建物が工房です。 サイロの中には何もありませんが、いつかキャッツキルで作ったように、これを巨大万華鏡にしたいとおっしゃっていました。

工房の中は、まわりをぐるりと棚と窯と工作機械などが囲んでいて、中央に大きな作業台があります。 棚から取り出して見せてくれたのは、ガラスをスランピングの際に載せるモールドと呼ばれる石膏の型です。 ガラスにカーブをつけて窯の中で成型するときに使います。

スランピングやフュージングを施したガラスの本体をカットする機械だそうです。 何層も重ねて焼きあげたガラスは結構な厚さがあります。

こちらはたくさんの工具が並んだ作業机。 この前に座ってバーナーワーク、はんだの作業など、いろいろな作業をなさるそうです。

こちらはミラーカットのための道具です。 カラディモスさんの作品は、覗いた先にぴったりと中心が来るように、また繊細さをしっかり見せられるように、逆テイーパードというミラーシステムを取り入れています。 筒の中のミラーの幅が均一ではなく、先に行くほど広くなっているもので、それをカットするときに使う道具です。 傾きの角度を決めて、固定された台で、ミラーをカットします。万華鏡のスタイルによって、違ってくるので、それぞれにこのミラーカットの台を用意しています。

そのほか、材料となるガラス、オブジェクトを作るバーナーや、ガラスを削るグラインダーなども見せて説明してくれました。 訪問した作家さんたちは質問を交えながら、写真を撮ったり、作業に見入ったり・・・   カラディモスさんはミラーを組む時にハンダで固定するやり方だそうです。 フラックスを使わないハンダという話にも興味を覚えました。 簡単そうにミラーを組んでいましたが、きっとそんなに簡単ではないはずと思います。 作家ではない私にも大変興味深い経験となりました。

カラディモスさんのオブジェクトの特徴である黒いオブジェクトについて聞いてみました。
黒いオブジェクトをあえて入れる人はあまり多くないかもしれないけれど、自分には黒のオブジェクトを入れることが、自分らしい表現であると考えているそうです。 外観のガラスのイメージに合わせてオブジェクトの色を組み合わせる時、補色を差すことでバランスをとり、そしてアクセントに黒を使うとおっしゃっていました。 映像に、ステンドガラスのイメージを持っていることも黒を使う理由の一つだそうです。

工房を見せていただき、製作の過程を説明いただいて、ますます尊敬の想いが深まりました。 彼の素晴らしい作品を、多くの方に見ていただけるよう願います。 
今年の7月には仙台万華鏡美術館で、作家さん向けの教室をなさると聞いています。
また、来年(2017年5月25日~28日)の京都でのBKSコンベンションへの参加も決まっています。
直接作家さんにも会え、作品を見せていただける貴重な機会を、皆様どうぞお楽しみになさってください。

 

 

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