万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

ガラスの葉が美しい「森の音」の映像

2007-07-31 23:08:33 | 万華鏡ブログ
中里保子さんの「森の音」の内部映像です。
オブジェクトはさまざまなガラス片を装飾はんだで繋ぎ合わせた1枚のホイールで、回転させて映像の変化を楽しみます。テイパードミラーシステムを通して見える立体的な映像は、色合いも美しく外部の印象をさらに深めるような魅力のある映像だと思います。特徴的なのは、球を覆うたくさんの透明な葉。ミラーの先端を角度をつけてカットし、透明なガラス細工の葉をあしらうことで、このように森を思わせる映像が生まれました。さわさわと葉の揺れる音が聞こえるようです。
アメリカの万華鏡コンベンションで最優秀賞を受賞した、蒔絵のような被ガラス万華鏡「秋草」のサンドブラスト、「森の音」「Pangea」など積層ガラスを活かした作品、振り子タイプの作品、現代九谷焼の作家さんとのコラボレーション作品など、いくつかの独自のテーマ、技法を柱に、作品の幅を広げ、美しい映像を追求する作家中里保子さん。 万華鏡製作の指導にも熱心で、万華鏡教室の講師もなさっているので、教えていただくチャンスもあります。この夏は小淵沢リゾナーレのアートフェスティバルのワークショップで「万華鏡つくり」を担当なさっているそうです。(開催日はお問い合わせください)
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ガラスから聞こえる「森の音」

2007-07-30 18:02:03 | 万華鏡ブログ
先月ギャルリーヴィヴァンで開かれていたI.K.A.展招待部門で初出品された中里保子さんの「森の音」という万華鏡です。素晴らしい万華鏡作品が多い中、その個性的な豊かな表情がとても印象的でした。
今回の展覧会のテーマが「音」だったそうで、それを実際の音ではなく、ガラスで表現したいと考え、そのアイディアが「森の音」になりました。この作品を見たとき本当に、森を吹き抜ける風、木々のそよぎ、葉の音、森のなかの生命の息吹などを感じました。
本体のガラスは、模様が大変美しく、イメージにぴったり。森の中に息づく生命を感じませんか。この素材は、ガラスメーカーの定番外のもので、偶然できた色の混ざり具合が気に入ったそうです。このように面白いと思ったガラスからイメージを膨らませることもよくあるとおっしゃっていました。
本体を横から支える積層ガラスの部分は、左右不均等な造形ながらバランスがとれていて、刻まれた細い流れるような線が、風というか、空気の流れを感じさせます。万華鏡本体のガラスの重量を感じさせない軽やかな取り付け方にこだわったそうですが、万華鏡の下の空間が、透明な台の部分を含め、全体的な姿に大きな効果をもたらしていると思います。積層ガラスは、ガラスを重ね合わせて接着し、表面をつるつるに磨いたり、切り口を加工したりして、ガラスならではの美しさを見せる技法だそうですが、中里さんは素手の感触でその加工をなさるそうです。傷だらけになった手を拝見して、その大変な作業を想像いたしました。この涼やかな作品は、そのような作業を経て生まれてきたのです。次回は内部映像です。
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ギャルリーヴィヴァンによる万華鏡の本

2007-07-27 14:42:35 | 万華鏡ブログ
現代万華鏡の展示会、展覧会を日本全国で行ってきたギャルリーヴィヴァンの10年間の軌跡を記した本「魅惑の世界 万華鏡」が発行されました。本のタイプは違うものの、先日ご紹介した照木さんの本と時を同じくして発行されたのには、日本における万華鏡界に作家さんが生まれ、何らかの歴史と呼べるものができてきたからではないでしょうか。
コレクションの貴重な作品の紹介、過去の展覧会の記録など、ギャルリーヴィヴァンが万華鏡界の中で果たしてきた役割を改めて認識する内容も興味深いのですが、一番魅力を感じたのは万華鏡作家に「思い出の万華鏡」を取り上げてもらい、そこから作家の個性や思い入れ、作品の数々を紹介するページです。
たくさんの現代万華鏡のひとつひとつに作家がいて、それぞれ作風があること、作品を、見る人に伝えたい願いを込めて創っていること、それらのことが理解されてこそ、おみやげ物や玩具だけではない、アート万華鏡の魅力というものが人々の心に浸透していくと思います。ですから、そんなアプローチで書かれたこの本に共感と嬉しさを感じました。
作家の作る万華鏡がアート作品として認められるには公立の美術館での紹介や展覧会がぜひとも必要であるというヴィヴァンの緒方さんの信念のもとに企画された万華鏡展覧会(3回目)が現在、岡崎市のおかざき世界子ども美術博物館で開催中です。
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130年前のオブジェクトセル

2007-07-26 19:37:02 | 万華鏡ブログ
これは、19世紀後半にアメリカで本格的に万華鏡を製作し、工業生産したといわれるチャールズ・ブッシュの万華鏡のオブジェクトセルです。所有者の許可を得て、写真を撮らせてもらいました。側面に1873年製作であること、チャールズ・ブッシュが特許を取った製品であることなどが刻まれ、パーラー型の万華鏡のシルエットもロゴマークとして刻まれています。
今から130年ほど前に作られた万華鏡の一部ですが、当時どんな人がこの万華鏡を購入し、楽しんだのでしょうか、身近で見るとそんな思いにかられます。
それから約100年後にアメリカで、仏教の曼荼羅のデザインと万華鏡の映像の類似性に気付き、このブッシュスコープを畏敬の念を持って見た人がいました。彼はその完成度の高さに驚きましたが、光学的に優れた現代の素材を持ってすれば、さらに素晴らしい万華鏡になると考え、優れたガラスアーティストにオブジェクトの製作を依頼し、万華鏡史上に残る素晴らしい作品を創りました。
その名前はクレイグ・ムッサーとビル・オコナー、カレイドスコープルネッサンスの草分けです。そんな流れを生み出した万華鏡のセルだと思うと、感激です。
このセルを良く見ると、ブッシュがパテントを取ったといわれる液体入りガラスアンプルが見えますね。
チャールズ・ブッシュについては今までにも何回か書いてきましたが、もしまとめて読み直したい方は、このブログの右側ずっと下のほうに検索機能がついています。チャールズ・ブッシュと入力してブログ内検索をかけていただきますと、彼に関する記事だけ出てきますのでご利用ください。
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プールサイドに万華鏡!

2007-07-25 13:49:03 | 万華鏡ブログ
万華鏡は大人も子供も楽しめるもの。そこで子供のために、こんな万華鏡を考案したアメリカの作家さんがいます。 スコット・コールさんは、作家として、また万華鏡の製作指導のプロとして活動していらっしゃる方ですが、多くの万華鏡キットを考案し、ユニークなアイディアの万華鏡も創ってきました。
この万華鏡は、子供がプールでいろいろな風に遊べる、細長いウレタンフォーム(プール・ヌードルという商品です。)を切って、ミラーシステムとオブジェクトセルを組み込んで万華鏡にしたものです。軽いので小さな子供でも大丈夫。落としても割れないし、一応防水加工もしてあるようで、プールサイドで楽しめそうです。中は3ミラーシステムで、透明感のある涼しげな映像でした。
遊び心のあるこんな万華鏡はいかがでしょうか。
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万華鏡の本

2007-07-24 12:19:55 | 万華鏡ブログ
今日は最近出版された万華鏡の本のご紹介です。著者の照木公子さんは、立体映像の「不思議アート覗き箱」や日本の伝統工芸を活かした万華鏡の普及・啓蒙に努めていらっしゃる方で、万華鏡の本としては4冊目になります。
日本人作家による美しい万華鏡の写真、内部映像の写真がたくさん収められて、紙上の万華鏡展覧会になっています。直接拝見する機会の少ない作家さんの作品も紹介されていて、日本での万華鏡の広がりを知りました。
また、「不思議アート覗き箱」の素晴らしい作品にも目を奪われました。映像は万華鏡のようには変化しないけれど、多彩な表現が可能な独特の世界に驚きました。
そのほか、万華鏡の材料や道具、作り方、教室や店の案内など盛りだくさんな情報も載っています。書店で扱っています。
kaleidoscopes Japanのウェブサイト「学ぶ楽しみ」で、いくつか万華鏡の本をご紹介しています。

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「佐藤元洋の世界」展から(2)

2007-07-22 22:36:40 | 万華鏡ブログ
熱い炎の中で形作られ、ゆっくりと冷ます作業を経て生まれる、透明感のあるガラス造形、灼熱の工房から生み出される冷たい、涼しげな輝き・・・吹きガラスの作品の魅力はそのような相反する要素の奏でる透明な響きでしょうか。
佐藤さんの万華鏡は、透明感のある美しさで知られていますが、それは主に、外からもよく見えるオイルセルや、オブジェクトの重なりが美しい映像表現に反映されていました。
透明なガラスで万華鏡本体を創りたいけれど、ミラーシステムは外から見えないほうが良い・・・となるとなかなか難しい注文。そんなところから生まれたのが、この香水ビン万華鏡だそうです。
白い部分にミラーシステムを内蔵し、そのすぐ下がオブジェクトセル。つまり蓋の部分をそっと外すとそれが万華鏡で、上のアイホールから覗くと、そこは佐藤さんの映像世界が展開します。レース棒と呼ばれるガラス細工を閉じ込めた、透明なビンにあたる部分が台座の役割を果たしています。万華鏡としては小型ですが、見た目も美しく、香りと色模様を楽しめる素敵な作品であると同時に、機能の中に万華鏡があるという新しいスタイルでもあります。
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「佐藤元洋の世界」展から(1)

2007-07-21 09:47:06 | 万華鏡ブログ
国立の「アートの庭」ギャラリーで「万華鏡作家・佐藤元洋の世界」展に伺いました。昨年に続いての催しで、一緒に展示されている「硝子作家・尾形かなみの世界」展とともに楽しませていただきました。お二人は工房で吹きガラスの工程を協力なさって製作しているそうで、そこから生まれ出るそれぞれの個性が面白いと思いました。ひとつだけコラボレーションの万華鏡があり、それもまた素敵な作品でした。
この写真の作品は、泡をたくさん閉じ込めた透明なガラスが美しい台座の部分と、流れるブルーが美しい万華鏡本体が目を惹きます。ふつふつと湧き上がる泡、流れるような青いガラス、一点を指差すような全体の方向性に、動きやエネルギーが感じられる作品です。
このところパーラー型に取り入れている回転するオブジェクトセルの動きも滑らかで、適度な角度があるので、見る人にも心地よい万華鏡になっています。黒い背景に映えるガラスオブジェクトに、今までの佐藤さんの作品とは一味違った色味や表現を見る気がしました。この展示会は7月29日まで開催中です。(月曜日定休)
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作家さんと共有できる幸せな時間

2007-07-20 22:27:37 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介した依田さんの人形の万華鏡の内部映像です。ガラスのオブジェクトの美しさでは定評のある依田さんですが、この陶器の作品のオブジェクトは、アートフラワー(布の花)やビーズを使っています。質感の違うものを組み合わせたドライセルは、ガラスより軽い感じで、それでいて映像の切り替わりにもメリハリがあります。とてもきれいに組まれた3ミラーシステムを通して生まれる花々の一瞬の表情です。
依田さんの作品展でいつも嬉しく思うのは、依田百合子さんが会場にいらっしゃることが多く、その場で万華鏡のお話を伺えたり、製作についての質問などに答えてくださったりすることです。
覗き方が分からない様子の人にはさっと寄って声をかけて、丁寧に説明なさっている場面をよく拝見します。実際に作家さんと作品についてお話をしながら、万華鏡を覗いていると、その作品への思い入れまでいただける気がして、嬉しいものです。
自分の作品を覗いている人の嬉しそうな顔やびっくりした顔を見るのが何より楽しいとおっしゃる作家さんも多いので、きっと依田さんにもそんな楽しみを持っていただけているのではないかと思います。だって覗いた人がみんな表情を緩め、幸せな顔をする万華鏡ばかりですから。でもお疲れが出ないか、少し心配です。
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人形の万華鏡

2007-07-19 21:55:55 | 万華鏡ブログ
新宿伊勢丹デパート本館で昨日から開催中の依田満さん・百合子さんの万華鏡展、「時空を超えて出会う今(トキ)」に伺いました。 先月行われたばかりのザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションに出品された「古代の天球儀」(7月6日にご紹介)が、さらに細部に改良を加えた形で展示されています。歴代のコンベンション出品作品が並び、それら全てを覗ける、とても見ごたえのある素晴らしい万華鏡展です。依田さんご夫妻の創りだされた大型の作品の独自なアイディアや機能、アクリルと金属とガラスによる美しい造形、それぞれの作品のもつストーリーなど、見る人の感性に強く働きかけますが、何よりも万華鏡への愛情がこめられていることがひしひしと伝わってきます。
大型の作品ばかりでなく、本当にたくさんの愛すべき万華鏡たちが展示され、訪れる人たちを楽しませてくれます。ガラスを素材とするものが多い中、ここにご紹介する「人形の万華鏡」たちはカナダ製の陶器の花瓶を万華鏡に仕立てたものです。お洒落なドレスの大きな人形は「マダム」と呼ばれ、帽子の部分がオブジェクトセルになっています。小さな人形はスカートの下にオブジェクトセルがあります。一つ一つ個性を持った人形たちです。 それぞれに呼び名があるというこれらの人形の万華鏡に、「自分(素材)の持ち味を活かし、さらに夢がいっぱいの万華鏡になった気分はどうですか?」と聞きたくなります。
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