万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

色彩を抑えた万華鏡映像

2007-03-31 17:52:54 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介したスー・リオさんの「スリバー」の内部映像です。 光をたくさん取り込むことのできるオイルシリンダーに、あえて色彩を控えめに、光を通す素材と、通さない素材が混ざり合っていて、このようなユニークな映像になります。オイルの中で無色透明に見えるガラスオブジェクトがミラーシステムを通して覗き口から見ると、鮮やかな色となって浮かんできます。あたる光の角度で変化する色がモノトーンの濃淡の映像と組み合わされている様子は墨絵に彩色を施した感じで、ほかの作品のような華やかさはありませんが、独特な映像展開です。
ボディーの幅いっぱいに組まれたミラーシステムを大きなアイホールから覗きます。しかも大きなレンズが取り付けられているので、映像はとても大きく見えます。4枚の鏡を薄い菱形に組んでいるので、2箇所の狭い角度の角を中心にふたつの8ポイントの曼荼羅映像が見える、ツインツーミラーシステムですが、大きすぎて写真ではそれらを写しきれません。
女性らしい繊細さを感じるデザインとダイナミックな映像の組み合わせが、やはりスー・リオさんらしいと思う作品です。
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透明な輝きを愛でる万華鏡

2007-03-30 19:53:03 | 万華鏡ブログ
白い真珠光沢のガラスに青いガラス宝石が飾られ、透き通った大きめのオイルチェンバーにさまざまなオブジェクトが見えています。ステンドガラスの美しさを万華鏡に表現するスー・リオさんの限定版の作品「スリバー」です。
特に目を惹くのはそのオブジェクトシリンダーで、あえて色を控え、清涼感と透明感のあふれる、おしゃれなデザインになっています。透明なダイクロイックガラス片のオブジェクトは、このシリンダーを回転させると光の当たる向きによって、急に色付いたり輝いたりする面白さがあります。黒や白、銀色のビーズも極小の粒から大きな粒までバランスよく、オイルの中でゆっくりと動きます。オブジェクトがあまり偏ってしまわないでいつもきれいな状態で見えているようにオイルの濃度を考えているのでしょうか。大きいオブジェクトと細かいオブジェクトがきれいに混ざり合っています。上部の角には細いラインの入った透明なガラスケイン(棒)が飾られています。シリンダーを支える金属部分や銅色のはんだを上手にアレンジしたデザインは、ガラスの美しさを引き立てて、飾る楽しみも提案する万華鏡作品だと思います。
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ベアーズ・スコープコレクションから/田村慎一さんの万華鏡

2007-03-29 17:46:14 | 万華鏡ブログ
はてなマークのようなガラスデザインと熊さんのアクセントがユーモラスな雰囲気の万華鏡は田村慎一さんの作品です。万華鏡の楽しさをいろいろな形で表現なさる作家さんです。
この万華鏡はホイールタイプで、万華鏡に関するいろいろな言葉が書かれています。ホイールを回しながら、万華鏡、曼荼羅、カレイドスコープ、錦眼鏡、スコットランドなどの文字をレクタンギュラーミラーシステムで見て、何と書いてあるのかを考えるのが楽しいクイズのような映像です。
レクタンギュラーミラーシステムというのは、「長方形に組んだミラーシステム」という意味です。断面が長方形の筒を思い浮かべてください。その4面のうちの2面、3面、4面を鏡とする可能性があり、それぞれ映像のタイプが違ってきます。この作品は4面を鏡としているので、上下、左右に反射映像が繰り返すタイプです。4ミラーシステムという呼び方もあります。向かい合った2面が鏡の場合、左右に反射映像が繰り返し横に長い映像になります。さらにもう一面を鏡にすると、水面に映る逆さ富士のように、上下ダブルの映像が横に長く続きます。
万華鏡は楽しく、面白く、美しい! 科学であり、TOYであり、アートである!とおっしゃる大熊さんのコレクションからご紹介してきましたが、そのようないろいろな側面をご紹介できたと思います。
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鏡の魔術師 山見浩司さんの映像

2007-03-28 17:57:27 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介した山見浩司さんのベアーズスコープの内部映像です。覗いたとたんに「わぁー!」と言ってしまう映像ですね。 パステルカラーの色が美しく、目に飛び込んできて印象的なラインはミラーの隙間を意図的にほんのわずか空けて生み出すものだそうです。そしてあちらにもこちらにも見える熊さんの顔! どこまでも深く広く続いている映像です。

NHKの番組「美の壺」で「鏡の魔術師」と紹介された山見浩司さんならではのきれいな3D映像です。この作品もそうですが、基本的なテイパード3ミラーシステムに違った要素を加えることで独自の立体的な万華鏡映像を生み出します。ミラーシステムは無限とおっしゃっていたことを思い出します。

基本的なテイパード3ミラーシステムというのは、先のほうが細くなった3枚のミラーが正三角形の筒に組まれたものです。1枚のミラーの形は台形で、組み合わせると三角錐の先端をカットしたような形になります。通常の3ミラーシステムでは長方形のミラーを三角柱のように組み、見える映像は視野全体に広がる平面的なものであるのに対して、テイパードの場合は空間に浮かぶ球体が見えるのが特徴です。さらに発展してこの球体が正12面体や正20面体などの立体になったりするのですから、鏡のマジックは本当にすごいと思います。
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ベアーズ・スコープコレクションから/山見浩司さんの作品

2007-03-27 16:43:12 | 万華鏡ブログ
ベアーズ・スコープコレクションに2006年に加わった山見浩司さんの作品です。イリデッセントガラスという玉虫色の光沢のあるガラスを使い、パーラータイプの作品に仕上げました。筒の上や台座にベアーズのマークが付いています。 覗き口からもわかりますが、3ミラーシステムでテイパード(先のほうが細くなるようにカット)に組んでいます。 ステンドガラスの作品の場合、大きな作品は重くなりがちですから、持ち上げてみるのは大変です。 山見さんの作品はこの様に台座と一体型になった安定感のある、しっかりとした造りのものが多く、安心して覗いていられます。覗くと別世界に誘われる大きな映像が飛び込んできます。先端のオブジェクトセルを回して映像の変化を楽しみます。
写真には写っていませんが、筒の上部は白いイリデッセントガラスになっていて、そこからも光を取り込んでいます。ユニークな内部映像はまた次回に。
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ベアーズ・スコープコレクションから/百々花さんの万華鏡

2007-03-26 21:54:24 | 万華鏡ブログ
ベアーズスコープコレクションに最近仲間入りした備前焼の熊さん万華鏡です。第7回万華鏡大賞展でグランプリを受賞なさった百々花さんの製作で、マーブルスコープです。マーブルスコープというのは、オブジェクトにガラスマーブル(吹きガラスの技法で創られた色模様のあるガラス球)を使い、そのマーブルを全方位に回しながら映像の変化を楽しむ万華鏡です。
百々花さんは、いろいろな素材や作風でオリジナルの万華鏡をたくさん創られていて、その多彩さ、アイディアの豊富さにはいつも驚かされます。この作品は備前焼の筒も、吹きガラスのマーブルもご自分で創られたものだそうです。備前焼のボディーによく合う色で装飾はんだを施し、頭の上に載せたマーブルも備前焼きに合う色で作ってあります。
2ミラーシステムで6ポイントの映像は奥行きがあるように見えます。マーブルの透明な部分の中に閉じ込められた色模様が、向きを変えることで、さまざまな重なりあいとなり、映像を変化させるのがこのマーブルスコープの面白さです。
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ベアーズ・スコープコレクションから/若林寛さんの万華鏡

2007-03-25 17:13:59 | 万華鏡ブログ
ベアーズ・スコープコレクションの特徴は何と言っても大熊さんのトレードマークの熊“ベアーズ”を取り入れていることです。若林寛さんの作品に飾られているベアー君は渋いメタルワークによる表現で、ここを手で回してオルゴールを動かします。
万華鏡の筒の上に取り付けられたオルゴールの回転が先端部に伝わる仕組みが見えると思いますが、さらにその回転がベアリングを組み込んだオブジェクトセルを回転させます。仕掛けやアイディアを形にした万華鏡作りが得意な若林さんらしい作品です。
パーラー型の万華鏡の姿は、真鍮素材やオブジェクトセルの舵輪のようなデザイン、三脚のスタンド部分など、金属と木を素材とし、昔の万華鏡を彷彿させるクラシックな雰囲気の作品です。狭い角度の二等辺三角形に組んだミラーシステムを内蔵しています。オルゴールの音を聞きながら、映像変化を楽しむ作品です。
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中里さんのベアーズスコープ映像

2007-03-24 17:15:50 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介した大熊さんのベアーズスコープコレクションから、中里保子さんの作品の内部映像です。接点で繋がる映像が何とも不思議な気がしませんか。
平たい箱型の万華鏡の中にテイパード(先のほうが細くなるようにカットして組み合わせたもの)に組んだ、角度の狭い3ミラーシステムが入っているので、このように、面白さと意外性のある映像が生まれてきます。周辺部には外部のグリーンのガラスの色と白い“ベアーズ”も映りこんでいます。
覗き口は横に広く大きいので、内部をぐるっと見回すことができるほどですが、視線の向きによって、この映像の見える角度も違ってくるのがとても面白いです。
細かく分割された映像の繰り返しが単調にならないように、中里さんはオブジェクトセルに工夫を加えました。細い針金をねじったものを筒の中にらせん状に組み込んだのです。ガラスワンドなので外からもそのらせんが見えますが、内部の映像にもたらす効果があります。ワンドを回転させるとらせん状の針金は横に移動するように見えます。(床屋さんのぐるぐる回る看板と同じ仕組みです)。写真でも少しは見えると思いますが、映像の中ではギザキザのラインとなり、同心円上の何本かが、映像の中心に向かって動いていきます。鮮やかな色の展開も美しく、又いろいろな仕組みがあって覗くのが楽しい作品です。
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ベアーズ・スコープコレクションから/中里保子さんの作品

2007-03-23 17:21:28 | 万華鏡ブログ
東京、渋谷にある日本万華鏡博物館では、館長の大熊進一さんの素晴らしいコレクションがあります。17年間にわたって集めてきたコレクションの総数は1700点にも及ぶそうです。
そのコレクションに新たな作品が加わりました。3月から「ベアーズ・スコープ展」を開催中ということで、特別展示品を見せていただきました。大熊さんの依頼により、日本の万華鏡作家さんたちが「ベアーズ」をテーマにオリジナル万華鏡作品を創りました。日本の万華鏡作家の草分け、山見浩司さんや依田満さん・百合子さんご夫妻の作品を始め、今回新たに加わった作品は、中里保子さん、若林寛さん、田村慎一さん、尾崎百々花さんと、日本万華鏡大賞展のグランプリ、ビジュアル賞、アイディア賞の受賞暦を持つ作家の方々によるものです。
今日ご紹介するのは中里保子さんの作品。 中里さんの作品によく見られる薄い箱型の本体にはご覧のとおり、ベアーズのマークが彫りこまれています。美しい積層ガラスの柱で支えてあり、先端のオブジェクトセルを回転させて映像の変化を楽しみます。よく見ると熊さんの姿が透明なガラスにも彫りこまれていました。大きな覗き口から見える映像がまた素晴らしいので、次回ご紹介したいと思います。
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桜の万華鏡

2007-03-22 23:14:14 | 万華鏡ブログ
中村和正さん・ミヱ子さんご夫妻の万華鏡「桜」の内部映像です。
万華鏡のボディーは春の空、若草の緑、そして桜をイメージした色合いのステンドガラスで構成されています。
この手持ち型のシリーズでは、全体的なデザイン(大きさ、シンプルな箱型、ステンドガラスの図案の形)は統一したうえで、ボディーの色合いやオブジェクトの選び方を変えて、それぞれ季節感にあふれたテーマで製作なさっています。 
例えば、この桜のほかに、菜の花、新緑、紅葉など豊かな自然を思わせる色合いの万華鏡を覗くと、そこに広がる映像とその変化がさらに目を惹きます。それぞれ魅力的な映像ですが、私はこの桜の万華鏡映像がとても気に入っています。
オブジェクトはランダムな大きさの、角のないガラス片で、ワンド型のオブジェクトセルに入っています。薄い菱形に組んだミラーの先に水平に取り付けられているので、前後に回し、左右に動かして映像の変化を楽しみます。オイルが少し入っているので、ガラスワンドに貼りつくようにオブジェクトが並びます。オブジェクトの色はピンクの濃淡とほんの少しの若草色だけなのですが、いろいろな表情を見せ、満開の桜や花吹雪の中に身を置いたような幸せな気分になります。若草色もとても春らしくてきれいなアクセントとして、映りこんでいます。この写真ではふたつの曼荼羅映像が、八重桜の花が2輪咲いているように見えます。桜を愛でる日本人であることが嬉しい季節が近づいてきました。今年のお花見はこの万華鏡を持参してみましょう。
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