万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

アワーグラス

2017-07-31 17:01:23 | 万華鏡ブログ

マーク・ティクルさんが最近創っているカメレオンシリーズの作品から、アワーグラス(砂時計)のような見え方をするテレイドスコープです。

本体はこんな感じです。

この間の万華鏡世界大会でピープルズ・チョイス・アワードを受賞した「カメレオン・ネビュラ」/下の写真左(2017年6月1日のブログ参照)よりも小型です。透明なガラスの筒の内側に紙などを巻いていますが、そこに組み込まれた工夫がこれらの窓です。

中の映像はボディーの窓から取り込む光とミラーとダイクロイックミラーフィルターによって色の模様が生み出されます。テレイドスコープですから先端の水晶球から取り込まれる映像が映りこむのはこの砂時計のような部分です。

見るたびに周りの色合いも変わり、不思議な気分になるテレイドスコープです。光の当たり方次第でさらに鮮やかな色になることもあります。

テレイドスコープの最先端を行く、ティクルさんのカメレオンシリーズはプロダクションタイプです。3D映像がトレードマークであるマーク・ティクルさんらしいユニークなテレイドスコープ、なかなかフォトジェニックな映像で、写真を撮るのも楽しく、その意味でも現代的かなと感じます。

 

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AVATAR デヴィッド・スギッチさんの受賞作

2017-07-26 15:58:59 | 万華鏡ブログ

AVATAR はデヴィッド・スギッチさんが京都の万華鏡世界大会で発表し、ピープルズ・チョイス・アワードを受賞した作品です。 該当作品はアメリカの万華鏡店が買い上げましたが、帰国後、同じコンセプトで制作した品を日本に送ってくれました。日本での大会をとても楽しんでくれ、日本の文化に感銘を受けたこと、自分の今後の制作に活かせそうなインスピレーションを得たこと、コンベンションへの参加の意義を改めて見出したとのコメントをいただきました。そして感謝の気持ちを込めて、京都万華鏡ミュージアムへ記念の作品として送ってくださったものです。 嬉しいことですね。

前面の白いガラスは光を透過し、ほかの2つの側面はこのような黒地に虹色の模様が見える美しいガラスで制作されています。

覗き口は底に当たる部分の大きな三角形の窓です。 持ち上げて覗くのですが、結構重いです。
このように覗くのが正しい覗き方。 覗く時、外部からの光が入らないように工夫されています。しっかりと持ち上げて、白い面に光が当たるようにします。さらにスギッチさんがやっているようにフラッシュライトを当てる場所を変えていくと、色模様が劇的に変化して、さらにダイナミックな映像を楽しめます。

彼のトレードマークでもあるテイパード3ミラーシステムによる3D 映像は、宇宙に浮かぶ星が表され、そこへの旅に誘われるようです。

ジェームス・キャメロン監督の映画「AVATAR」にインスピレーションを得たこの作品、ファンタジックな映像が魅力です。

作品の制作にかかわることもあるナダレさんと一緒に受賞を喜びました。 BKSの万華鏡コンベンションで受賞なさったのは初めてのことだそうで、その意味でも記念すべき大会になったと思います。

おめでとうございました。

 

 

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こだわりの映像表現 高林千稔さん

2017-07-22 15:50:25 | 万華鏡ブログ

今日ご紹介するのは、高林千稔さんの「-So-un-」(そううん)という新作です。スタイリッシュなこの作品にはいろいろな工夫があります。手になじむ大きさ、置いたときの安定感、特徴のある大きなガラスのオブジェクトセル、覗きやすさを追求したアイホール、滑らかなオブジェクトケースの回転、完璧なミラー組み・・・万華鏡の機能的な部分へのこだわりがたくさん感じられます。
使われている木材は、明るいほうは普通の欅、暗い色合いのほうは、火山灰等に千年以上埋もれていたとされる神代欅です。

そしてもちろん映像へのこだわりも高林さんらしさ全開です。
ガラスのオブジェクトケースはひとつひとつ手吹きで制作したもの。凹凸のラインをつけて外からの光が内側に透過した際に光の筋になるように考えました。
背景には厚さの異なる2枚の和紙を張り合わせ、通過した光を均一に拡散させる和紙の性質を生かして、映像への効果を考えています。

オブジェクトはガラスと和紙。
陰影のある白のオブジェクトを引き立たせるため、ガラスオブジェクトの表面にエッチング加工をしたり、陰影のあるガラスオブジェクトに和紙を巻き付けたり、群青の岩絵の具を塗った和紙を貼ったりするなどかなりユニークなオブジェクトが組み込まれています。また太陽光と蛍光灯下で色が変化する特殊なガラスも使っているそうです。

こちらは2ミラー(神代欅)の映像です。和紙を透過した光がオブジェクトと響きあって生まれた陰影のある模様が特徴です。

万華鏡作家としてのスタート時点から白い陰影のあるオブジェクトにこだわり続けてきた高林さんの新たな試みはいかがですか? 作家さん自身の言葉で説明していただかなければ想像もできない細部へのこだわりと生み出された結果に感動を覚えます。
「ドライスコ―プの良さの一つである、回しながら一瞬の変化を楽しむことに加え、極端に回すスピードを落とし、動かさずとも、一つの灯りに対し自らが動くことで変化を楽しんでいただくことを提案したスコープです。」これも作家さんのメッセージです。

 

 

 

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胡蝶の夢 II

2017-07-19 21:24:56 | 万華鏡ブログ

BKS万華鏡世界大会で出品された鈴木義雄さん、吉見秀子さんの「胡蝶の夢II」をご紹介します。水晶の蝶が主役となって素敵な映像が展開する作品です。

外観は吉見さんの手になる木彫りの藪手毬が咲き乱れます。その花のすがたから蝶の舞を思い起こさせる花木です。
一辺が43㎝の三角の大きなボディは高さも49㎝あり、堂々と落ち着いた雰囲気があります。
この大きな作品の覗き口は上部にあります。4種類のミラーシステムを内蔵しており、それぞれが生み出す映像には作家の想いと意図が表現されています。

 この作品に II とついているのは、「胡蝶の夢」という作品が存在するからです。このII では、2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに制作なさった「胡蝶の夢」3部作のひとつ「鎮魂」に登場する"水晶の蝶”を主役として展開する物語を紡いでいます。上の映像は中央の覗き口から見たもの。その蝶が新しい蝶の生まれ戯れるのを見ているところだそうです。「再生」の想いを込めています。

二つ目の覗き口からは赤を基調にした3ポイントの映像が見えます。

三つ目の覗き口からは青を基調にした4ポイントの映像が見えます。いずれも生まれ出る映像は”再生”を表現します。

そしてもう一つの覗き口からは、金と銀に満ちたユニークな映像です。 時間の流れを表現しています。

異なるミラーシステムに物語を託して、あの未曽有の災害の犠牲者の魂を鎮めたいという、とても深い意味のある作品です。そういう万華鏡もあるのですね。作家さんが伝えたい想い、見る人がそこに感じる想いも同じでなくてもいいのです。でも何かを感じるに違いない作品と思います。

写真は鈴木義雄さんご提供のものを使わせていただきました。 飾られているのが床の間で、それもこの作品の飾り方として素敵だなと思いました。

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