万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

アンビアンス

2010-02-26 22:26:21 | 万華鏡ブログ

最近届いたばかりのチャールズ・カラディモスさんの「Ambiance(アンビアンス)」です。以前にも書いた記憶があるので、調べてみたら1年に1回ぐらいの割合でご紹介してきた万華鏡でした。私のお気に入りの万華鏡のひとつです。(お気に入りがいくつあるか聞かれても困るのですが・・・)
本当は立てて飾るようにできているので、そのほうがすっきりと美しいのですが、何と言ってもこの作品の特徴はこのオブジェクトセルの背景に使われているガラスです。暗い感じに見えますが、ここから光を通して、映像は思いがけず明るく、オブジェクトの創る万華鏡模様の背景にきれいな色を映し込みます。

細かい細工のガラスオブジェクトや線状のオブジェクトに、面の変化が加わって、映像全体の雰囲気が柔らかみが感じられます。オブジェクトセルを回すと、映り込む背景の色も変わるので、このようにブルーがかっていたり、紫やピンクが混じったりするのです。背景の作り出す色模様に合わせてオブジェクトを考えているのでしょうか。あまりにもバランスがとれていて、偶然が生み出すアートとは思えませんね。

最後に立ち姿も見てください。

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ロバ

2010-02-25 14:12:54 | 万華鏡ブログ

昨日に続いて「万華鏡工房みずあめや」さんの愛らしい万華鏡をご紹介します。携帯できる小さな万華鏡OW-6シリーズの「ロバ」です。この図柄も最近定番に仲間入りしたそうですが、仲間が増えて嬉しいです。ロバの表情がいいですね。

作家さんが「バニラ」色と呼ぶ背景の色も温かみのある乳白色で、とてもよい雰囲気。 側面は落ち着いた明るい緑のガラスです。 その温かな雰囲気をそのままに、映像にも温かさと明るさが映し出されています。

手のひらに載ってしまうほど小さな万華鏡ですが、映像はとても大きいのが嬉しいです。 写真を撮るのは逆に難しく、全体が収まる映像がなかなか撮れませんが、きれいな丸い映像を思い浮かべてくださいね。
小さな作品だからこその大変さがあるだろうと推察します。でも、いつも前向きに、新しいテーマやガラスの色に挑戦し、真摯にその世界を広げてきた姉妹の作家さんです。 

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ポピー

2010-02-24 21:02:47 | 万華鏡ブログ
今日はとても暖かい一日でした。暖かさに誘われて、ご紹介する万華鏡は、万華鏡工房「みずあめや」さんの小さくて素敵な作品です。
定番のOW-6シリーズで、新しい図柄の「ポピー」は細い茎の先に咲いた花と、これから花開こうとするつぼみを優しく描いています。ガラスの粉で丁寧に描かれた図柄には、いつも作家さんの暖かいまなざしを感じます。深いブルーグリーンの地に、ピンクの花がふわっと浮かび、揺れ動くようです。

小さなオイルワンドに入っているのは、細かいビーズ。 パステルカラーにゴールドが柔らかい輝きを添えています。 重なり合い、混じり合う色が本当に美しくて、何を見ているのだろうと何度もセルを見て確認したくなりました。

そしてみずあめやさんの万華鏡は、いつもこのような古裂の袋に入っています。この万華鏡に合うような古裂を探し、丁寧に仕立ててあるのです。 この袋に入れて携帯する万華鏡、この袋から出して万華鏡を覗く楽しみ・・・そんなスタイルをみずあめやさんは提案しているのです。
余談ですが、みずあめやさんの作品のガラスの色、古裂の色、いずれも言葉でお伝えするのがいつも難しいです。(今日も!)
微妙な日本の色にも、聞けばなるほどと思う情緒のある名前が多いですが、そんな色を万華鏡で見せてくれる作家さんです。
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同じスタイル、変わらぬ魅力

2010-02-23 16:50:16 | 万華鏡ブログ

昨日に続いてチェスニックスコープス工房から、スマートなパーラータイプの万華鏡をご紹介します。 クローム仕上げの銀色の筒と黒い木製のスタンドが、クールな雰囲気です。1986年から作られている「Fiesta」という万華鏡です。

こちらは2本の脚で支えるデザイン。1994年から作られている「Pedestal Dichroic」です。 どちらも筒の角度を調節できるようになっていて、覗きながら、ホイールを回して映像の変化を楽しみます。 そして大きさも「ラージ」と「スモール」の2種類があります。

ホイールにも組み合わせがあり、「Fiesta」は、いろいろな模様のミルフィオーリのガラスをハンダで繋いだホイールとステンドガラスのホイールを組み合わせたもの。昨日も書きましたが、ひとつひとつガラス棒から作り上げた手の込んだオブジェクトホイールです。

また「Pedestal Dichroic」のほうは、ダイクロイックガラスのホイールを2枚重ねたもの。 ご存知のとおり、光の当たり方、通し方で色が変わって見えるガラスですが、2枚重なることで、さらに鮮やかな変化を見せます。

たくさんのホイールタイプの作品があるチェスニック工房ですが、ずっと作り続けているスタイルがあるということもすごいと思います。 年月を経ても、なお受け入れられる外観のデザインと万華鏡映像の美しさがロングセラーの理由でしょう。

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楽しくてきれいなホイール

2010-02-22 22:23:44 | 万華鏡ブログ

チェスニック・スコープス工房は2ホイールタイプの万華鏡を一番たくさん創ってきた工房です。創始者はジャニス・チェスニックさんです。万華鏡ルネッサンスの初期の頃から、作り続け、今では息子のジョン・グリーンさんが工房を引き継ぎ、中心となって活動しています。ジャニスさんは今でもミラーシステムや、トレードマークのミルフィオーリのガラス細工を担当しているそうです。今日ご紹介するのは、「Floret Fiesta フローレット・フィエスタ」という万華鏡です。ミルフィオーリ(ベネチアンガラスで有名ですね)のガラス細工をハンダで繋げたホイールをミラーシステムを通して見ます。 チェスニック工房のオリジナルは、なんとも可愛らしいパターンが並んでいます。製作の過程は、いくつもの細長いガラス片を模様を創るように束ね、7.5cmぐらいの太さにしたものを、窯の中で溶融した状態で引っ張り、細長い棒状にします。それを冷ましてからスライスし、もう一度窯で焼いたのが、ここに見えるひとつひとつの模様なのです。このガラス片のひとつひとつをコッパーテープで巻き、ハンダで繋いでホイールにするという、とても手の込んだものです。

外側のホイールは色ガラスとクリアなガラスを組み合わせてハンダで繋いでいます。2枚を別々に動かすことで、重なり合う色も変化し、豊かな色合いの映像が生み出されます。

二等辺三角形に組まれた3ミラーシステムを通して、中心の大きな映像と、その周りに連なる小さな映像が重なって見えています。 写真では撮りきれていませんが、視野いっぱいに広がる映像です。

ひとつひとつのガラス細工がいろいろな色の組み合わせでできているので、それらがさらに鏡に映りこんで反射して、こんなに細かい模様に見えています。
真鍮の輝く筒とガラスのホイールの組み合わせは、飾って置くだけでも美しく、中を覗いてまた違った世界を楽しめる作品となっています。

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Paula's Rapture

2010-02-21 16:45:22 | 万華鏡ブログ
キテルソン夫妻の工房から、2010年新作の「Paula's Rapture (ポーラの歓び)」をご紹介します。このブログでも何度かご紹介してきましたポーラ・ナーデルスターンさんの万華鏡キルトは、ポーラさんが万華鏡映像からインスピレーションを得て、繋ぎ合わせる布の一片、一片を選んで、創造なさったものです。キテルソン夫妻の万華鏡映像からも、多くの作品が生まれたと聞いています。
昨年秋にニューヨークで開催されたポーラさんのキルトの個展では、キテルソン夫妻がこの催しのために製作した大型のパーラータイプの万華鏡が飾られていました。その作品と同じガラス表現を使って、手持ち型の小ぶりな作品になったものが、この万華鏡です。

この模様は、黒いガラスに金箔や銀箔と透明なガラスを重ねて焼付けたもので、細い黒い線も見えています。渋いけれど、なかなか味わいのある万華鏡の筒の表情です。
映像は、ポーラさんのキルト作品を強く意識していることがわかります。オブジェクトは例によって、ペギーさんのバーナーワークによるもので、外からセルを見ると、透明なガラスが多く、そのほかダイクロイックガラスやシャンパンゴールドを組み込んだガラスなどが目立っています。

ガラスのテクスチャーを変えることで、いろいろな表情が生まれて、キルトの布地を思わせるような映像に驚かされます。

万華鏡のアートがキルトのアートを生み出し、そこからまた万華鏡へと繋がってくる面白さをみごとに表現した作品です。その根底にはキテルソン夫妻とポーラさんの友情、そして互いへの尊敬の念があり、そのことを感じられるすばらしい万華鏡だと思います。


 

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一輪の薔薇

2010-02-19 22:33:23 | 万華鏡ブログ
白いガラスに深紅の薔薇が今にも咲きそうな万華鏡は、ペギー&スティーブ・キテルソン夫妻の限定版、フラワーシリーズの一点です。少し細めの筒ですが、花びらや茎、葉を一枚一枚、ガラスを重ねて焼き付けた一輪の薔薇が立体的に浮かび上がり、存在感のある作品となりました。薔薇の花束も素敵だけれど、こんな風に一輪あるのも気持ちの良いものです。

フラワーシリーズには何種類かあって、たくさんの花が咲いているものと、このように一輪を飾るものがあります。筒の大きさは少し違いますが、ペギーさんの作り出す映像はどれも大変美しく、うっとりとします。 必ずテーマの花がオブジェクトに加えられているのも特徴で、この万華鏡もよく見るとオイルセルの中に深紅の薔薇が浮かんでいます。

ペギーさんのオブジェクトの美しさには定評がありますが、ひとつひとつのオブジェクトを組み合わせて生まれる映像美こそ真骨頂です。ガラスなのにまるでオーガンジーのベールをまとったような柔らかさや透明感を感じたり、絵の具の色を流したようなグラデーションがあったりして、その流れるような動きに目が離せません。

花によってミラーシステムも異なり、この「Rose」は2ミラー7ポイントの映像展開です。

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ガラスとアイアンで・・・

2010-02-18 23:52:00 | 万華鏡ブログ
松宮真理子さんの作品展から、パーラータイプの万華鏡「TEWA(テーヴァ)」をご紹介します。ヘブライ語の古語で「言葉」もしくは「船」を指すと説明されていました。この作品は昨年のIKA展に出品されたものです。

氷のかけらをちりばめたような万華鏡の筒と黒っぽい鉄のスタンドの組み合わせは、大胆さと美しさを兼ね備えたデザインです。 中のオブジェクトセルを回転させるハンドル部分もお洒落なデザインで、この造形作品を引き締めています。

外から見ると色の少ない作品に見えますが、筒の中にはガラスオブジェクトの入ったオイルセルがあり、その背景となっているのが、この先端に見えているガラスです。
この万華鏡がさらにユニークなのは、ミラーシステムの代わりに2つのプリズムを張り合わせて使っているところです。 反射しながら光を通すプリズムならではの映像です。

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ガラスの表情を楽しみながら・・・

2010-02-17 23:47:48 | 万華鏡ブログ

松宮真理子さんの出品する万華鏡展に伺いました。2008年12月5日のブログでご紹介しましたが、絵画の個展の一隅で、色味を抑えた絵画のようなデザインが素敵な万華鏡を、初めて拝見し、その斬新さに驚いたことを思い出します。
それからほぼ1年。中里保子さんの指導を受けながら、その世界を広げてきた足跡が感じられる作品展です。綺麗なガラスに自分の感性を重ね、イメージを膨らませて製作された万華鏡たちは、思いのほか色鮮やかでした。ひとつひとつの作品に個性のある万華鏡が揃いました。
今日ご紹介するのは、「ポルトフォィユ」シリーズの万華鏡です。フランス語で財布という意味だそうですが、カーブをつけたガラスを筒に使い、手になじみ易い感じです。「Rouge(ルージュ)」はその名のとおり、赤い被せガラスを削って、このような味わいのある表情になりました。濃淡に見えるような独特のサンドブラストの技法です。ボールチェーンで飾られたオイルセルやメタルワークの飾りなどもユニークです。そして中を覗くとこんな風に繊細な黒いシルエットが綺麗に映像を飾っています。

こちらは ポルトフォィユシリーズで、「Cerisier(桜の木)」と名付けられた作品。このガラスからイメージを膨らませたのでしょう。 


中に広がる映像はこんな風です。こちらは細かい草木のような緑のシルエットが映像の中を動き、花と緑の展開する優しい映像です。


2月16日から21日まで。
~華やぎの空間~万華鏡の世界
松宮真理子 ◆ アトリエKRC
西荻窪 カフェ・ギャラリー 「西の風」にて開催中。
杉並区松庵3-31-3
電話 03-3334-4504

 

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Sweeeet 16

2010-02-15 22:43:45 | 万華鏡ブログ

チャールズ・カラディモスさんの2010年新作のご紹介です。16個の限定版で、ブラック、ホワイト、レッド、スカイブルーの4色があります。タイトルは「Sweeeet 16」で、映像は2ミラー16ポイントです。
カラディモスさんといえば、その精緻な映像表現に定評がありますが、この作品も例にもれず、細かくて美しいシンメトリーをもち、そしてドライセル特有の一瞬の劇的な変化がとても印象的です。次にどんな映像になるのか見たくて、セルを回し続けてしまいます。
ボディーはスランピングの技法で、模様を浮き立たせ、段をつけて形作っています。珍しく水平に置いて飾る万華鏡で、脚の部分もスランピングによってガラスを形作っています。この写真だけでは大きさがわからないと思いますので、アンビアンスという作品と並べて見ましょう。

使われているミラーシステムは、定番のコーン型万華鏡とも同じ位のもので、ガラスの本体はウィングのように広がっている分、大きめに見えるかもしれません。 ガラスに浮き出たドットと同じように、ハンダ部分にも点でアクセントをつけました。
オブジェクトセルの背景はすりガラスになっていて、中のオブジェクトがぼんやり見えるのですが、ガラスを割って細かくしたようなものばかり目に付きます。でも映像から想像できるオブジェクトは全く違うようです。

テイパード2ミラーシステムは先端を少し広めにしている2ミラーシステムで、通常の2ミラーシステムは三角柱のようであるのに対し、三角錐の先端を切ったような形にミラーを組むものです。狭い方から覗くと映像が大きくシンメトリカルに見える効果があります。彼の作品は視線を固定するために小さな覗き口になっていますのでとても撮影が難しいのです。 内部映像を完璧に」写真でご紹介できないのが残念です。

いろいろなガラス技術で生み出されたオブジェクトひとつひとつを丁寧に選び出し、組み合わせています。でも最終的には偶然性が生み出す映像であり、その偶然を気持ちよく演出するための色のバランスを考えて、オブジェクトセルを製作なさるそうです。

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