今日は中里保子さんのガラス造形の粋を集めた「万華鏡 中里保子展」をご紹介します。
毎回新しい挑戦をなさり、大きなエネルギーを注いで作品を生み出す中里さんの万華鏡は、万華鏡のジャンルを超えた斬新で魅力的なガラスアートとして、私たちの目を惹きます。
"手吹きのアンティークガラス" というのが、中里さんの作品の根っこにあります。
熟練した職人が一枚一枚宙吹きの技法で作るガラスは、質感や色合いなどさまざまな魅力的な表情を見せています。 中里さんの作品に出会うまで、こんなにいろいろなガラスがあるとは知りませんでした。
トップは、新作の一つ「秋嶺」です。 茶系の作品は今までにない新鮮さがあり、その茶色のグラデーションのガラスと金属の色合い、そして描かれた木立が素敵な風景を表現しています。
ガラス製の薄いパネルと万華鏡の筒を組み合わせるために、金属を曲げたり、接合したりするのがとても大変だったと伺いましたが、中里さんでなくては実現できない異素材のマッチングがよい味を出し、粋で現代的な作品になっていると思います。 それに加え、パネルを支える積層ガラスの台の力強い美しさと、トップの稜線の流れがとても印象的でした。
次の作品は、「WA 2012」。透明で薄い万華鏡です。 透明感がありながら表情が豊かなガラスを組み合わせた作品で、色のあるガラスや金属、積層ガラスをはめ込んだ、凝った作りの万華鏡です。
透明で、薄いと書きましたが、この中にちゃんとミラーになる部分が入っています。中里さんが今までにも取り入れてきたプリズムを使用した万華鏡なので、透き通っていて見えないのです。
オブジェクトは、このようにたくさんのガラスをワイヤーでまとめて球状にしています。
とてもきれいですね。この球を回転させて上から覗くのです。
今回気がついたことのひとつに、オブジェクトの工夫があります。 上の作品もそうですが、外から見えるオブジェクトが多く、それらのオブジェクトが新しいなと思いました。 外のガラスに合わせて、オブジェクトの見せ方を考えています。 美しいと同時に、回転させるためのスマートな工夫が凝らされています。
KATAGAMI というシリーズの手持ち型の作品から「オーバル」です。 こちらも茶系のお洒落な作品ですね。 組み合わせたガラスの模様、型紙の模様がそれぞれ違っています。
辻優子さんとのコラボレーション作品も新作が登場です。 半磁器の作品で、「花紋」。
4ポイントの映像がとても素敵です。 左端は「ウィング」。
アメリカでの受賞作品も新たに製作されました。 万華鏡ですから、同じものはなく、新たな感動を覚えます。
「秋草2012」
「スターファクトリー」
どうしたら、こんなに斬新で、アーティスティックな作品を次から次へと生み出されるのでしょう。
中里さんのお話を伺うと、それぞれの作品への深い思いが伝わってきます。 魅力的な手吹きアンティークガラスを見つけたら、そこから作品の構想が膨らんだ話、いつかどこかで気に入って求めておいた部品や飾りなどが、ずっと後に作品の中で生かされた話、他の作家さんとの交流の中でヒントを見つけた話などなど・・・どの作品にもいろんなストーリーがありそうで、それもまた魅力になっているのでしょうね。
万華鏡 中里保子展
2012年11月26日から12月8日まで
12:00ー19:00 土曜、日曜 17:00まで
休み 29日、3日、4日
SAN-AI GALLERY
東京都中央区日本橋蛎殻町1-26-8
三愛水天宮ビル1F