昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第一章:親父への旅   雨のち晴れ ②

2010年10月14日 | 日記
休憩室は、珍しく老夫婦一組のみ。2度目だが、前回と同じように、奥さんが二つに千切ったタバコの一方を煙管に差してもらい、旦那がいとおしそうに吸っている。肺癌を警告するポスターが目の前になければ、麗しい光景だ。 ちょこんと僕にお辞儀をし、むせかえりながら、千切られたタバコのもう一方をおねだりする。「駄目、駄目!」とたしなめた険しい顔を緩めながら、奥さんは僕に話しかける。 「肺癌なんですよ~。でも、 . . . 本文を読む