昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

天使との4泊5日       ⑤(最終回)

2017年10月12日 | 日記
天使との4泊5日       ⑤(最終回)   リビングの床、バスタオルの上に寝転び、晴れ渡った空を遠く眺める。初夏の日が煌いている。暑いくらいだ。南西向きの窓は、これからさらに日差しが強くなるだろう。 リビングの片隅でトイレシートにメグがしゃがんでいる。希子はなんとも無防備な姿で眠っている。 腰にバスタオルを巻き、冷蔵庫に立ち上がる。食料と飲料をチェック。冷凍庫を開けると、買い . . . 本文を読む

天使との4泊5日     ④

2017年10月11日 | 日記
天使との4泊5日     ④   バスルームから戻ると、希子はまだ熟睡の中にいた。隆志の足音にメグが顔を上げる。昼光の下で見ると、もう子猫ではなさそうだ。 そこに希子がいる、その横にメグがいる、そんな光景が休日の午後の陽だまりの中にあることに、自然と笑みが漏れる。 家庭を存在し継続させていくことができるのは、“あるべき処にあるべき存在がある安心感”。そんな . . . 本文を読む

天使との4泊5日     ③

2017年10月10日 | 日記
天使との4泊5日     ③   小学校6年の時、同じクラスにA君という男の子がいた。みんなから少し煙たがられている子だった。普段はさしたる問題も起こさない子なのだが、気の短い所があるのが玉に瑕で、一旦怒りに火が付くと止めようがなくなった。だが、何が彼の怒りを誘発するのかは誰にもわからなかった。ある男の子は、学校帰りに肩を組んだ瞬間に殴られた。また、ある女の子が「消しゴム貸してあげよ . . . 本文を読む

天使との4泊5日   ②

2017年10月09日 | 日記
天使との4泊5日  ②   リビングに通す。希子はすぐにメグを移動ハウスから解放。メグは辺りを少し嗅ぎ回り、キッチンから隆志が運んできたトレイの水に口を付ける。 「お腹空いてないかな?」 隆志はメグにしゃがみ込む。と、笑い声がする。見ると、フローリングを撫でる希子の笑顔がある。凭れたソファの上にはストールが丸められている。 「隆志、緊張してない?」 「いや。&hellip . . . 本文を読む

天使との4泊5日

2017年10月08日 | 日記
*これまでの連載に加筆修正をして完成させたものです。 最終決定のタイトルは「天使との4泊5日」です。 本日より、5日連続で掲載します。 かなり変わっていると思います。改めてお読みください。   天使との4泊5日  ①   GW最後の朝。カーテンの開け放たれた東南の窓に初夏の日差しが眩しい。 隆志は瞼の裏を白く照らされ、ベッドを転々とする。両手がシーツの上を探るが . . . 本文を読む