昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

しばしのお休み

2012年11月29日 | 日記
1週間、お休みします。 再開まで。お待ちください。 次回は12月6日(木)となります。 注:第一章はドキュメンタリーです。第二章は経験が元になっています。第三章は、経験を元にしていますが、ほぼ創作です。 人名は、第一章以外、すべて架空のものです。 “昭和少年漂流記”は、第四章か第五章で終わります。 *第一章:親父への旅 http://blog.goo.ne.jp/k . . . 本文を読む

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   23.東京から京都へ。奈緒子から学生へ

2012年11月27日 | 日記
東京から京都へ。奈緒子から学生へ 3時間後。僕は新幹線の座席に深く埋もれていた。晴れやかなけだるさが心地よかった。奈緒子のお蔭で取り戻した肉体の、奥深くに巣食っていた卑しい虫たちは姿を消したようだった。初めて知った人肌の染み入るような温かさや、肌と肌を貼り付かせる汗の余韻を懐かしく噛みしめていた。 身体は睡眠を求めているのに、頭は冴えていた。目を閉じると、彼女の表情や小さな仕草が思い出された。 . . . 本文を読む

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   22.奈緒子との“始まり”

2012年11月25日 | 日記
奈緒子との“始まり”  瞼の裏が焼けるほど熱くて目を覚ました。目を開けると日の光に直撃された。痛いほど眩しくて、また目を閉じた。首を上げ、薄く開けた片目で周りを見回した。辺りはすべてが白く霞んでいた。どこか見知らぬ所に置き去りにされたようで不安だった。 しかし、素っ裸の自分に気づき、汗ばんだ胸や下腹部に手で触れると、現実が一気に蘇ってきた。ひどくお腹が空いてい . . . 本文を読む

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   21.奈緒子の告白

2012年11月23日 | 日記
奈緒子の告白 僕が痛みに小さく呻くと、「痛かった?」と上目遣いに言うや、また僕の乳首を捻った。 あまりの痛さに奈緒子の手を払いのけた。 「痛かった?」とまた上目遣いの奈緒子に、僕は「痛いに決まってるやないか!」と睨むふりをした。 「ちょっとね、試してみたかったの」 「なにを?」 「痛みがどの程度わかる人なのかな?って」 「身体の痛みに鈍い奴って……、まあ、 . . . 本文を読む

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   20.奈緒子との一夜

2012年11月21日 | 日記
奈緒子との一夜 ゆっくりと湯船に浸かり、上気した身体を冷やして銭湯を出ると、奈緒子が待っていた。横向きの肩には赤いタオルが掛けられ、濡れた髪が夕日に光っていた。 「わ!顔が白くなった~~」 僕を見て笑う顔も艶やかに光っている。 「何食べる?」 奈緒子が前を行きながら、斜めに振り向く。上気した顔が晴れやかに見える。 「なんでもいいよ~~」 と近づくと、シャンプーの香りがした。僕と同じ香 . . . 本文を読む

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   19.初めての、二人の行動

2012年11月19日 | 日記
初めての、二人の行動 一つ目は、思い出したばかりの高校1年生の奈緒子。テニス部の新人だった。 秋の校庭の片隅で、校舎にもたれかかりながら同級生の進学の悩みを聞いている時、視界の片隅にテニスボールが転がり込んできた。話を中断し拾い上げると、目の前にショートパンツ姿の奈緒子がいた。左脇にラケットを挟み、左手にボールを一個持っている。右手には、通学鞄とピンクの布袋。首には赤いタオルがぶら下がっている . . . 本文を読む

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   18.奈緒子の部屋へ。

2012年11月15日 | 日記
奈緒子の部屋へ。 新宿駅に着くと、午後2時を少し回っていた。約束の時間を過ぎている。人ごみを縫うように改札へ急ぐ。人の群れの中から、すぐに奈緒子を見つけることができるのだろうか、と思った矢先、奈緒子と思しき声が聞こえてきた。弾けるように明るい声だった。 「こっちよ〜!」 好奇の視線を浴びるほど大きな声で手を振る奈緒子が見えた。その瞬間、僕の中でずっと縮こまっていた感情が大きく背 . . . 本文を読む

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   17.奈緒子の過去?

2012年11月13日 | 日記
奈緒子の過去? 「誰もお前を責めるつもりはないんだけどさ」 清水が僕の肩を叩き、「ちょっと、コーラでも買ってくるよ」と部屋を出ていく。高校時代から彼はいつも穏やかで、彼が友人の輪の中にいるだけで、どんな諍いも深刻になる一歩手前で踏みとどまることができた。 「確かに、誰かが責められなくちゃいけない話でもないんだけどさ」 険しかった宇沢の顔が緩む。 「駅前の“白鳥”に . . . 本文を読む

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   16.奈緒子を巡る小さな諍い

2012年11月11日 | 日記
奈緒子を巡る小さな諍い。 豪徳寺駅で落ち合い同級生のアパートに着くと、二人が待ち構えていた。そのまま酒宴に突入。それから3日間というもの、次々と現れる小田急沿線の同級生達と酒を飲んで過ごした。毎朝、高くなった日の光を浴びて目を覚ますと、友人達の酒に疲れた寝顔が間近にあった。一人でトイレに行くと必ず、僕はポケットの中のメモを取り出した。 奈緒子の電話番号を確認。1〜2度口の中で反復 . . . 本文を読む

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   15.東京へ。奈緒子へ。

2012年11月09日 | 日記
東京へ。奈緒子へ。 コックの弟耕介が照れくさそうに復帰して一週間、彼と僕との間には自然にいくつかのルールができていった。朝の仕込みは、僕。午後、コックの休憩時間の店番は、耕助。夜の片付けと掃除は、二人一緒に。などだった。耕助のアパートからの距離と彼が朝に弱いことを考慮した結果だった。午後数時間の自由になる時間を必要としていた僕が、早朝の仕込みを積極的に引き受けた結果でもあった。 ランチタイムが . . . 本文を読む