「第46回」…最終回
「あ!ハーレイだ!」
大賀が高山を指差す。胸にハーレイ・ダビッドソンとあるのが、見てとれる。
「フライングジャケット風だけどさ。懐かしいだろう~~」
高山は身体を回転させる。背中に大きく、ハーレイのロゴがある。
「刺繍してあったんだよ。いいだろう。古着屋回ったよ、いっぱい。ほら!ライダーパンツも、ブーツも、ぜ~~んぶ、ハーレイだぞ~~」
高山の顔が輝 . . . 本文を読む
第45回
「お陰さまで、力が湧いてきました」
久美子は改めて全員を見回し、両肩から垂らしていた二本のマフラーを首に巻く。
「いっしょにクリスマスやっていきませんか?」
高山が声を掛けた時は、もう背中を向けている。
「まだこれからですから、よかったら一緒にどうですか?」
あゆみが肩に手をかけるが、振り向こうとはしない。そっと手を離すと振り向いた。
「ありがとうございまし . . . 本文を読む
第44回
「みなさんに証人になっていただきたいんです」
そう言いながら、久美子はピルケースを開ける。指先で取り出されたのは、小さな石。久美子がライトにかざすと、きらりと緑に輝いた。
「それ、見たことある!」
あゆみが声を上げる。
「安達ちゃんが兵藤さんにあげたパワーストーンだよ」
高山の説明に、みんなの首が2度3度頷く。
「安達君、パワーストーンは幸せな未来を運んでき . . . 本文を読む
第43回
「すっかり中年サーファーになっちまった吉野君が言ってたけどさ、“波に乗ってるか、波に持って行かれてるのか。最初はわかんなかった”って。時代のせいにする感覚って、後者じゃねえか?時代に乗ってるつもりで、ただただ流されてたってことじゃねえか?」
高山の切れ長の目が光る。
「大きな流れを避けてきたしなあ、俺たち、きっと」
田端が竹沼の肩を叩く。竹沼は少し身を捩る . . . 本文を読む