昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

昭和少年漂流記:第五章“パワーストーン” ……46(最終回)

2014年12月16日 | 日記
「第46回」…最終回 「あ!ハーレイだ!」 大賀が高山を指差す。胸にハーレイ・ダビッドソンとあるのが、見てとれる。 「フライングジャケット風だけどさ。懐かしいだろう~~」 高山は身体を回転させる。背中に大きく、ハーレイのロゴがある。 「刺繍してあったんだよ。いいだろう。古着屋回ったよ、いっぱい。ほら!ライダーパンツも、ブーツも、ぜ~~んぶ、ハーレイだぞ~~」 高山の顔が輝 . . . 本文を読む

昭和少年漂流記:第五章“パワーストーン” ……45

2014年12月08日 | 日記
第45回   「お陰さまで、力が湧いてきました」 久美子は改めて全員を見回し、両肩から垂らしていた二本のマフラーを首に巻く。 「いっしょにクリスマスやっていきませんか?」 高山が声を掛けた時は、もう背中を向けている。 「まだこれからですから、よかったら一緒にどうですか?」 あゆみが肩に手をかけるが、振り向こうとはしない。そっと手を離すと振り向いた。 「ありがとうございまし . . . 本文を読む

昭和少年漂流記:第五章“パワーストーン” ……44

2014年12月08日 | 日記
第44回   「みなさんに証人になっていただきたいんです」 そう言いながら、久美子はピルケースを開ける。指先で取り出されたのは、小さな石。久美子がライトにかざすと、きらりと緑に輝いた。 「それ、見たことある!」 あゆみが声を上げる。 「安達ちゃんが兵藤さんにあげたパワーストーンだよ」 高山の説明に、みんなの首が2度3度頷く。 「安達君、パワーストーンは幸せな未来を運んでき . . . 本文を読む

昭和少年漂流記:第五章“パワーストーン” ……43

2014年12月01日 | 日記
第43回 「すっかり中年サーファーになっちまった吉野君が言ってたけどさ、“波に乗ってるか、波に持って行かれてるのか。最初はわかんなかった”って。時代のせいにする感覚って、後者じゃねえか?時代に乗ってるつもりで、ただただ流されてたってことじゃねえか?」 高山の切れ長の目が光る。 「大きな流れを避けてきたしなあ、俺たち、きっと」 田端が竹沼の肩を叩く。竹沼は少し身を捩る . . . 本文を読む