昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第一章:親父への旅   雨のち晴れ ③

2010年10月15日 | 日記
「どう?ええかね?入っても」。ドアが薄く開く。親父の義姉のお見舞いだ。親父が再々婚した人のお姉さんで、家が近いこともあって、大変お世話になっている人だ。 型通りのあいさつの後、手術の経緯と状況説明をする。 話をすべて僕に任せながら、親父は時折首を伸ばす。小さく口を挟みたいのだろうが、目で制すると素直に首を枕に戻す。 叔母の心優しい配慮と言葉に、心なしか親父の身体の力が抜けているように思える。 . . . 本文を読む