俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

3月4日(日)

2012-03-04 04:56:55 | Weblog
★身を固く春雪吹くを帰り来る   正子
春の雪は寒さのぶり返した感じで、特に身を固く震わせます。しかし、「身を固く」と「春雪吹く」とが並べられたとき、そこにはっきりと春到来の喜びが表出されていることに気付きます。俳句の不思議な力です。 (小西 宏)

○今日の俳句
春浅き空にミモザの軽き揺れ/小西 宏
「軽き揺れ」がよい。一句が重くないのだ。上五の「春寒き」を添削したが、ミモザの揺れる「空」には「春浅き」が相応しい。(高橋正子)

○第10回(雛祭)フェイスブック句会入賞発表
【最優秀】
★桃の花下照る道に車椅子/矢野文彦
桃の花が咲くその下も桃の花の色で明るい。「下照る」ところは、小さな桃源郷。そこに車椅子を進めれば、心も明るくやわらかに華やぐ。(高橋正子)

★野の池を空へ飛び発ち鳥雲に/河野啓一
野の池にいた鳥が飛び発ち、雲に入る。なんと広々と自由なことか。雲に入る鳥を見届けた心も遠く、自由だ。(高橋正子)

【高橋正子特選/7句】
★桃の花馴染みの声の店先に/藤田洋子
桃の花が店に活けてある。店先に馴染みの声が聞こえて、「あら」と思う。桃の花には、気取らない、明るい雰囲気があるので、「馴染みの声の店先に」言ってみるのだ。日常の一こま。(高橋正子)

★雨降るよ軒下で抱く桃の花/祝恵子
桃の花を買って帰る途中か。雨が降りだした。止むのを待って軒下で雨宿り。桃の花と春先の雨の湿った空気は馴染みがよい。桃の花の咲くころは降ったかと思うと上がり、また降るという雨の降り方が多い。(高橋正子)

★雛飾りなくてわが家のちらし寿司/高橋秀之
男のお子様ばかりのご家庭では確かに雛飾りは無いかも知れませんね。しかし、家族揃ってちらし寿司で雛の日を共にお祝いされている、雛飾りに勝る温かいご家族のお気持ちが伝わって参ります。(佃 康水)

★踏み歩く雪に雪降り解けゆくに/高橋信之
★手にのせて眉目合わせて雛飾る/藤田洋子
★ため池はみどりに春の播磨の野/多田有花
★屋根からの雪解のしずく日に弾む/安藤智久

▼その他の入賞作品
http://blog.goo.ne.jp/kakan106

○土佐みづき
★土佐みづき山茱萸も咲きて黄をきそふ/水原秋桜子

自生は土佐(高知県)だけなのでこの名があり、まんさく科の落葉灌木で庭木として栽培される。
花屋を覗いら、花バケツに桃の花と土佐みづきが入れてあった。桃の花を買う間に、「これは土佐みづきですか。」と話すとうれしそうに「そうですよ。」という返事をもらった。レモンイエローの小さな房様の花が7、8個連なって垂れ下がって咲く。花のときは、葉がない。まだ風の冷たい春先、この黄色はうれしいものだ。

★植木市巡ればすぐに土佐みづき/高橋正子

◇生活する花たち「梅・三椏の花・菜の花」(伊豆修善寺2011)
コメント (2)
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