俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

3月31日(水)

2010-03-30 10:14:33 | Weblog
晴後曇
俳句
 不器男記念館
詩人死してただ春風の竹葉吹く  正子

○今日の俳句
春鳥の飛び去り棒の揺れるのみ/祝恵子
たとえば、畑に突っ立っている棒に、鳥が飛んで来て止まり、辺りを見たり、鳴いたりして、飛び去る。飛び去るときのはずみで棒が揺れる。春になると特に小さな生き物がいきいきと動き始める。春らしい景色。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇生活する花たち「桜・すみれ・ムラサキナズナ」(横浜日吉本町)


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3月30日(火)

2010-03-29 09:20:03 | Weblog
晴れ
俳句
花あしびしずけきものに山の路  正子
自解:東山銀閣寺での作。光は明るく空は高いものの、京都の春寒い日のこと。寺苑をめぐり山路にかかると、眼に映るものは低く咲くあしびの花。すれ違う人もたまにはいるが、人のいることを忘れさせる山路。銀閣寺の姿と相俟って、「しずけきもの」とは、こういうものかと実感する。山路からは、竹の秀先越しに京都の霞んだ町並みが見える。

今日の句
寒気来て花咲く空の青深し

○「俳句界5月号」の結社広告の原稿校正と、6月号結社広告の原稿を送る。

○昨日は、3度まで気温が下がる。寒気のせい。

○今日の俳句
水色のそらに連翹の明るい岸/小西 宏
元の句は、「水色のそら」で切れ過ぎ。感動のありどころを、論理的に詰めて表現するとリアルな句になる。水色の空であるから、真っ黄色い連翹の咲く岸がくっきりと眼前に見える。そのコントラストが美しい。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇生活する花たち「桜・馬酔木・連翹」(横浜日吉本町)
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3月29日(月)

2010-03-28 20:40:43 | Weblog
雨のち曇
俳句
春雷のいなづま明かりを胸に受く  正子
自解:春雷は夜、寝についたころ、突然に鳴ることが多い。眠ろうと胸に手を置いていると、ガラス窓からカーテンを越して、いなづまが胸をさし照らす。胸に受け止めるしかない。

○昨夜から気温が下がり、午前11時でも5度。

○今日の俳句
残る鴨みずから生みし輪の芯に/川名ますみ
「残る鴨」なので、みずからが生んだ輪の中心にいるという事実が生きる。温んだ水が、しずかに輪を描き、その中心にいる鴨に、独りでいる意思が読み取れる。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇生活する花たち「桜・ソケイ・パンジー」(横浜日吉本町)
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3月28日(日)

2010-03-27 06:54:41 | Weblog

俳句
芽柳のるると色燃ゆ向こう岸  正子
自解:「るると」がお分かりだろうか。柳のさみどりの小さい芽が「る」という字に似て、また、小さな芽のつながる枝が「るる」と発音すればよさそうな具合に風に揺れていた。それが水を隔てた向こう岸にあるので、そこまで行って見たいような、こちら側から見ていた方がよいような風景だった。

○松山へのお土産と、月間賞の賞品にする扇子と葉書に俳句を書く。家事をした後は、気のせいか腕が重く感じるので、家事は目をつむる。夕方、どっさり洗濯。外に出ると冷え込んでいる。4度らしい。

○町内会の班長を次の方に引き継ぎ、一年3ヶ月の任務を終える。
班長の仕事は、回覧を月2回程回す、毎月広報の配布、秋の防災訓練に参加、防災班の担当を割り振る、年2回の募金集め、班長会、総会に出席。町内会費の徴収など。結構あるのです。

○今日の俳句
桜咲く島へと長き水脈を曳き/柳原美知子
島に桜が咲くこと自体に抒情がある。その島まで船が長い水脈を曳いて、穏やかなみどり深き海が想像できる。島へゆくのは生活の船であろう。一景の画だ。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇生活する花たち「桜・雪柳・菜の花」(横浜日吉本町)
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3月27日(土)

2010-03-27 06:12:39 | Weblog
晴後曇
俳句
春の夜のむかし炭火を持ち運び  正子
自解:「むかし」というのは、昭和30年代の終わりから40年代の初めごろ。火鉢を使っていて、台所で熾した炭火を炭斗(すみとり)に入れて、各部屋の火鉢に火だねを持ってゆく。春の夜は、がらんとして寒い。炭火の匂いがなんともよい。そういった時代があったことを思い出して作った句。

○今日の俳句
青空の青を返して犬ふぐり/渋谷洋介
犬ふぐりは、地に咲く星に例えられたり、その他、いろいろな表現で称えられてきた。この句のよさは、「青を返して」にある。青空の青を映し、その青をまた空へそっくり返す。この力が花の生命力、あるいは生命感というものであろう。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇生活する花たち「桜・ラベンダーの蕾・菜花」(横浜日吉本町)
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3月26日(金)

2010-03-26 08:30:34 | Weblog
曇時々晴
俳句
春の塩ぱらぱら振れば菜はみどり  正子  
自解:台所は、家のなかでも冷えている。台所に立ち漬物用の菜に塩を振ると、塩は塩壺の中でで少し湿りを帯びて、掴んで降れば、霰のように菜にかかる。春愁に近い気分。

○俳句雑誌「花冠」5月号校了。
http://blog.goo.ne.jp/kakan12/

○川柳のかもめ舎主宰の川瀬晶子先生に、第19回インターネット俳句コンテスト審査員依頼の件で電話。
http://www.kamomesha.net/

○今日の俳句
花冷えの夜も賑わえる我が家かな/高橋秀之
花冷えとは一見お構いなしの元気な子どもたちで賑わう我が家。とはいえ、花冷えの空気が大きく家を包んでいる。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇生活する花たち「桜・パンジー・いちごの花」(横浜日吉本町)

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3月25日(木)

2010-03-25 09:17:02 | Weblog

俳句
春の蕗提げしわれにも風が付く  正子
自解:蕗を油揚げと煮る。これは、お惣菜の定番。しかし、茎が1メートルほどの栽培蕗で風情もなくて、つまらないが、それでも季節のせいか、いいおかずになっている。丈の短い、茎の細い蕗。これが本当の蕗。筍もそろそろ。蕗と煮るのも定番。

○昨日は、真冬のような寒さ。今朝も雨で寒い。

○松山へ行く準備をはじめる。

○今日の俳句
まんまるい蕾もろとも花菜漬け/藤田裕子
まんまるい、黄色も少し見える蕾もろとも漬物に付け込むには、心意気がいる。日常生活が身の丈で表現された句。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇生活する花たち「馬酔木・菜の花・金盞花」(横浜日吉本町3丁目)

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3月24日(水)/彼岸明け

2010-03-24 18:41:56 | Weblog

俳句
らんまんの一花こぼさぬ花強し  正子
咲き満ちて日に輝き、仄かな香を漂わせている桜。風に吹かれて撓う枝に、優美な花がひとつだに零れ落ちることなく戦いでいる。爛漫の花に秘めらた強靭さに驚嘆し、短い花の生命の限りを精一杯輝かせて咲いている、美しくもけなげな桜への愛しさが込み上げてきます。透徹した観察眼と女性ならではの感性の感じられる生命の讃歌に心惹かれます。(柳原美知子)

○彼岸明けというのに、寒波の再来。最高気温が9度とか。「暑さ寒さも彼岸まで」が、眉唾物になってきた。苺が届いたのに、冷たそうで、食べる気にならない。

○川柳のかもめ舎から柳誌「かもめ舎」第5号が届く。

○今日の俳句
チェロの夕果てて仰げば春の月/佃 康水
チェロの演奏会が果て、余韻を引いて外に出れば春の月が出ている。「秋の月はさやけさを賞で、春の月は朧なるを賞づ」と言われるが、「澄んであたたかい感じ」の春月もよい。チェロの余韻が広がる。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇季節の花「ソケイ・パンジー・チュウリップ」(横浜日吉本町3丁目)

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3月23日(火)

2010-03-23 08:40:14 | Weblog
曇時々晴
俳句
コーヒーに水の旨味よ花の朝  正子
自解:この句は、愛媛県久万高原町にある久万中学校での作。映画のロケにも使われた木造校舎。この校長室でいただいたコーヒー。窓には桜が咲き満ち、ひんやりとした山の朝の空気。出されたのは、インスタントコーヒーだが、おいしかったこと。水の旨みを実感した。

○全国俳誌協会の俳句コンクールの正子選30句を郵送。

○今日の俳句
一山の花明りして暮れゆけり/藤田洋子
一山が桜の花で見事であるが、暮れてゆくときは、花の色が発光するようように暮れ残る。「花明かり」にある華やかさと寂しさの混じった抒情がよく詠まれている。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇季節の花「曙つつじ・黄水仙・ラッパ水仙」(横浜日吉本町)

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3月22日(月)/放送記念日

2010-03-22 07:05:09 | Weblog
晴れ
俳句
水菜洗う長い時間を水流し
 こんな句は、地味なようで、実は派手な句と言えましょう。自分の感動をよく吟味し、工夫して、表現した新しさがあります。(川本臥風)

○今日の俳句
咲き初めし辛夷湖へと枝を張る/黒谷光子
 この句の眼目は、景色がよいことである。「咲き初めし辛夷」も、「湖へ枝を張る」も、これからのさらに美しい景色を想像させて、芯にしっかりとした力の強さがある。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇季節の花「桜・レンギョウ・雲間草」(横浜日吉本町3丁目)
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3月21日(日)/春分の日

2010-03-20 18:40:26 | Weblog
俳句
ようやくの桜蕾が灯の中に

晴れ
○「俳句界4月号」が到着。3冊。

○お彼岸なので、餡も自分で炊いておはぎを作る。つぶ餡、青海苔、胡麻の三種。胡麻は摺り胡麻に醤油を少し垂らす。胡麻に醤油を入れるアイディアは、「お菓子の教科書」(川上文代著/新星出版社)のおはぎの作り方で教えてもらった。おいしいですよ。

○ラベンダーの蕾が覗く。雲間草が花盛り。日光を好むらしい。夕方から風が強くなる。夕べは、風の声が歌のようにも聞こえ、なんどもラジオかもと確かめたが、やはり、風の音。
ローレライの話を思い出した。

○今日の俳句
湧水の流れに椿一花あり/小川和子
 きれいな湧水に一花の椿が落ちてまだ色鮮やかである。水と花のクリアなイメージが美しい。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇季節の花「桜・花ニラ・雲間草」(横浜日吉本町3丁目)
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3月20日(土)

2010-03-20 18:33:44 | Weblog
俳句
花すもも散るや夜道の片側に
春嵐夜道を戻る髪弄り

曇り時々晴れ
○下記ブログの更新
インターネット俳句コンテスト協会事務局
http://blog.goo.ne.jp/ihck/
インターネット俳句コンテスト実行委員会
http://blog.goo.ne.jp/contest2009/

○仙の絵と書のある出光のカレンダー。三月には次のようにある。
「楽しみハ花下より鼻の下」「農其天下之本乎」
鼻の下とくれば、鼻の下が長いを連想するが(現にこういう男性の顔を知ってはいるが)鼻の下というのは、生活の糊という意味らしい。桜花の下で、花見の宴がくり広げられる頃には、農民たちは額に汗して忙しく働いている。人々が花見を楽しむことができるのも休む間も惜しんで働く農民たちに支えられてのことである。

思い返してみると、桜が咲くは、苗代の準備を始める頃だったのかもしれない。種籾をみどり色の消毒液に浸し、それから苗代に蒔く。苗代床はなんだか暖かそうに思えた。農家の人は、花見どころではなかったような気もする。苗代ができたり、田の畦がきれいに塗られたりすると、咲いているれんげそうが土に鋤きこまれたりはしたが、楽しい季節がはじまったという記憶がある。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇季節の花「すもも・ソケイ・ヒアシンス」(横浜日吉本町3丁目)
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3月19日(金)

2010-03-19 19:26:28 | Weblog
俳句
囀りの抜け来る空の半円球
 読み手に快い思いを与えてくれるのは、作り手の心が新鮮で、句を楽しんで作っているからであろうと思われます。句が生き生きとしています。(高橋信之)

曇り時々晴れ
○月刊俳句界の依頼原稿の校正。作品6句掲載。

○第19回インターネット俳句コンテストの準備。作品募集期間は、9月1日から9月30まで。
http://internet-haiku.info/contest/index1.html
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3月18日(木)/彼岸入り

2010-03-18 15:12:36 | Weblog
俳句
境内に水音のして黄水仙

晴れ
○わたしの住まいは、横浜市営地下鉄日吉本町駅から、100mほどのところ。歩いて数分のところに天台宗の古刹金蔵寺がある。徳川家康の寄贈した大鐘もある。午後、その金蔵寺まで花の写真を撮りに行く。雪の後の陽気に、ひょっとしたら、桜の蕾に色が見えるかと思ったが、一つ、二つは色が見えたものの、まだまだ。蕾はきみどり色に見える。花の写真を撮りはしたが、最高の花ではなく、普段の花。垣根、電線、屋根、ボールなどが入っている。題して「生活する花たち」。HPの表紙にアップ。

◇季節の花「ラッパ水仙・チューリップ・白木蓮」(横浜金蔵寺界隈)


○ますみさんから送られてきている150句を読む。一箇所、旧かな表記になっているところにチェック。

○沖縄土産のサーターアンダギーの粉があったので、作る。沖縄ドーナツのようなもの。膨らみが足りなかったが、味は合格。

○印刷所から、原稿はPDFではなく、wordがよいと電話がある。出来上がったものをHPに出すには、PDFがいいと思う。
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3月17日(水)

2010-03-17 11:46:50 | Weblog
曇時々晴
○オンライン版「花冠」5月号を<pdfファイル>に。花冠同人は、原稿ファイルをそのまま見て、各自、自分の原稿の校正を済ます。5日間ほどで校正が終わる。
http://blog.goo.ne.jp/kakan12/

○花冠同人の句にコメントを書く。

まんまるい蕾もろとも花菜漬け/藤田裕子
まんまるい、黄色も少し見える蕾もろとも漬物に付け込むには、心意気がいる。日常生活が身の丈で表現された句。

不揃いの芽を一列にチュウリップ/黒谷光子
チュウリップが一列に芽生え、その芽生えも不揃い。球根の大小もあるだろう、自然に任せれば、芽の出かたもそれぞれ。「一列に」は、花を心待ちに植えた人の気持ちも読める。

水色の空の三月摩天楼/桑本栄太郎
煙るような摩天楼が聳える空は、もはや三月の水色。新鮮で明るい都会の風景ではあるが、「空の三月」は、大きな自然に委ねられるもの。

ブラウス白し三月の風に干され/藤田洋子
三月になると光も風も明るさを増してくる。着るものの色も軽やかな色へ。ブラウスの白が風に初々しい。

セロファンにあふるるミモザの黄をもらう/柳原美知子
ミモザの花は、やさしい黄色。それを、透明なセロファンにあふれるように包んでもらった時の幸福感。

籠の目にきらっと見えて菜花の黄/佃 康水
春の明るい光と風まで感じさせてくれる。

雛わきに蕾を高く桃の枝/小西 宏
雛のわきに飾ってある桃の花は、真っ直ぐな枝に丸く可愛い蕾が付いている。高々と活けられた桃の枝は、健やかである。

姨捨の山は雪解や蕗の薹/小口泰與
姥捨とは、その名も悲しく恐ろしいが、それは昔のこととして、姥捨山も雪が解け、蕗の薹があちこちに出始めた。通り一遍ではない、春の来た喜びがある。

反芻の目つむる牛に風光る/古田敬二
冬が過ぎ、だんだん春になると、光りが強くなる。風がきらりと光るように感じられる。そんな中、牛は日を浴びながら、目をつむり、ゆっくりと反芻している。泰然とした牛と風の鋭い光が好対照。

空席の椅子にたたまれ春ショール/成川寿美代
淡い色目のきれいな、ふんわりとした春のショール。開演前であろうか。ちょっと立った間の椅子にそっと乗せられている。開演を待つ、そわそわと華やいだ雰囲気が伝わる。

芽吹き待つ雑木林の明るさよ/渋谷洋介
雑木林の芽吹きは、想像してもうれしい。芽吹きを待つ林が明るい雰囲気に満たされている。すぐにも、様々な木々が薄緑色に芽吹いてくるだろう。

なつかしく来し方思う涅槃西風/井上治代
陰暦に2月15日ごろ一週間ほど吹く風で、この風が吹くと寒さが戻る。西方浄土からの風とも思われ、この季節の、なにか懐かしさをもっている。来し方を思ってみたりする。

白木蓮咲き初めたれば空広し/小西 宏
白木蓮が咲くと、花を見上げずにはおれない。空は一度に明るさを増す。空の広さを感じると、なお白木蓮が際立つ。

三月と聞けば親しき山の雲/桑本栄太郎
「三月」は、桃や辛夷など木々の花や、草花も咲き始め、雛まつりがある月。山の雲もぽっかりと浮かんで、親しみを覚える。三月は、自然への親しみを覚える初めの月。

青麦の色濃き中の道一本/黒谷光子
青麦が色濃くなり、匂いまでしてきそうな道である。真っ直ぐに青麦の中を通る道であろう。添削は、青麦を貫く「道一本」のイメージをはっきりさせた。

六甲の山路を埋めて芽吹きかな/河野啓一
六甲山系は、神戸・芦屋にかけての東西30キロほどの山の連なりで、阪神に生活する人たちには親しい山。アウトレジャーのメッカでもあるが、植物も多く楽しめる。山路を辿れば、山路を「埋める」ほどの芽吹き。さまざまの色の芽吹きに感動する。

強風のなか子供等の卒業式/村井紀久子
卒業式のころは、寒さが戻って強風に見舞われることがある。穏やかな日ばかりではないが、子どもたちは、元気に学校を巣立ってゆく。前途に幸多かれと願う。
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